1984年(昭和59年;民国暦73年)は、テレサ・テン(鄧麗君)『つぐない(償還)』が大ヒットした年。この年買ったカセットテープには、鳳飛飛『仲夏』、費玉清『夢駝鈴』の二大アルバムが手許にある。量的に多くなりそうなので、今回は前後二回に分けてご紹介することにしよう。
つぐない(償還)
by テレサ・テン(鄧麗君)
個人的には好みの歌とは言い難いが、1974年日本デビュー以来啼かず飛ばずだったテレサさんを、この曲が日本歌謡界のスターダムにのし上げたと言っても過言ではなかろう。
償還(つぐない)
by 鄧麗君(テレサ・テン)
12月23日付記事にした蕭孋珠(シャーリー・シャウ)さんとはまったく逆に、外国語(日本語)の持ち歌を母国語(北京語)でカバーした珍しいケースである。必ずしも原詞(日本語)の北京語訳とはなっていないが、日本語を前提として書かれた曲だけに、メロディラインと北京語との間には多少の齟齬が垣間見える。
把心留住
by 楊林(やん・りん)
楊林さん、年齢や活動期が重なっているためか、何故か個人的には「中森明菜」のイメージがまとわりつく。素人っぽいぶっきらぼうな歌い方が、不思議と耳を惹き寄せるのですよね。来日活動歴はないものの、日本にもそれなりにファンがいたみたい。
*ご参考*
北ウィング(1984年)
by 中森明菜
う~む、違うなぁ。この人、失礼ながら“不良少女”的イメージしかなく、悪女ぶった投げやりな歌い方とばかり勘違いしていたが、いやはやどうして、巧拙を別にすれば甚だオーセンティック(正統的)な歌唱法ではありませんか。
走過歲月
by 林慧萍(りん・ふぃぴん)
曲名を訳すと【過ぎ去った歳月】になる。前々稿で聴いてもらった『往昔』の亜流ですな。ジャケット写真も、松田聖子の髪型を模したみたい。当時の台湾(というより「中華民國」)では放送での日本語使用が禁止されていたが、日本語の書物が公然と売られ、日本のドラマも放送数日後には中文字幕付で貸ビデオ店に並ぶありさま。日本語学習塾も大盛況であった。秋の政府がどう足掻こうと、台湾の人々にとって日本が“憧れの国”であったことは疑いようがない。
心中城堡
by 沈雁(ちぇん・やん)
曲名は【心の砦】といった意味らしい。アイドル系歌曲としては、耳に残るなかなかの佳曲だと思うが、それが却って徒(あだ)になり、あまりヒットしなかったのではなかろうか。
テレサさんを除き、奇しくもアイドル系女性歌手ばかりを採り上げてしまいました。次稿では、鳳飛飛『仲夏』と費玉清『夢駝鈴』の両アルバムから聴きましょう。
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