中国、若者の「横たわる主義」が議論呼ぶ
「非暴力による非協力運動」との見方も
2021年5月26日配信/大紀元時報WEB日本語版
中国では最近、若者の間で「躺平(横たわること、または仰向けに寝そべること)主義」が流行している。専門家は、社会的・経済的な圧力に対する若者の絶望的な感情が浮き彫りになったと指摘した。
「躺平主義」という言葉は、金儲けをせずカネの奴隷にならないことや、生活水準に対して欲が低く贅沢な暮らしはいらない、マイホームを買わない、恋をしない、結婚をしない、子どもを産まない、職場での昇進を望まないことを指すという。
この言葉は、中国コミュニティサイト「百度貼吧」に掲載された投稿、『横たわることはすなわち正義である』に由来する。
投稿者は文の中で、「2年間ぐらい仕事をせずに遊んでいる。間違っていないと思う。圧力というのは、周りの人と比較した後の自分自身についての位置づけと、親の伝統的な考え方から来ている。圧力は常に現れる」と訴えた。投稿者は、「大樽を住処にしていた古代ギリシアの哲学者、ディオゲネス(Diogenes)に学び」、横たわり何もしないことを決めたという。
同投稿はすでに削除されたが、ネットユーザーによって他のソーシャルメディアに転載された。ネットユーザーの間で議論が繰り広げられ、「躺平学」という新しい言葉も生まれた。
中国版ツイッター、微博(ウェイボー)では、ジャーナリストの「重慶新聞哥」を含む一部のネットユーザーが、「躺平は暴力を使わない非協力運動だ」との見方を示した。また、ネットユーザーらは、「躺平」は「『ニラ』たちの声なき抗議で、やむを得ない行動だ」と指摘した。
中国の中下層の人々はネット上で、自分たちを中国当局に搾取されている「ニラ」と喩えている。
あるネットユーザーは、「躺平というのは、人々が将来に対して非常に失望し、社会の不公平に絶望していることの現れだ」と指摘した。
「自分の月収が1000元(約1万7000円)にも満たず、(生活のために)自分の家族と配偶者の家族からお金を借りなければならない時、一生かかってもマイホームが買えない時、あるいはようやく人生の目標に達した時に、すでに数世代にわたって贅沢に酒色におぼれ、すさんだ生活を送っている人がいることに気づいた。この時、あなたはどう思うだろうか」
「中国人口のうちの2%の人が、中国社会の80%の富を支配している。貧富の格差はますます広がっている。6億人の国民は月収が1000元もない。これが、ますます多くの人が欲を我慢し、『躺平』を選んだ理由だ」
中国政府系メディアは現在、「躺平主義」について批判を行っている。
中国人評論家の呉特氏は、「中国の若者は学力競争問題や就職問題、職場での勤務労働問題などで重圧を受けている。『躺平主義』はその消極的な抵抗方法である」と大紀元に語った。
呉氏は、中国の若者が実際に横たわって何もしないことは非常に難しいとした。「親に認められないだけでなく、収入がないため自分を養えないからだ。中国には完全な福利・生活保護制度がないので、働かないと飢え死にする」
同氏によると、中国当局は若者の絶望的な感情を不安視し、メンツを潰されたと感じているため、政府系メディアを通して批判を始めたという。
呉氏は「このような抵抗では、社会が変化しない」と否定的な姿勢を示した。
法曹界で働く許氏は、「中国人には努力の精神がまだある。しかし、自分がいくら努力しても報われないとわかった時、反抗的な感情が必ず生まれる。躺平というのは、若者の個人の選択肢にすぎない」と、「躺平主義」に理解を示した。
(翻訳編集・張哲)
コメント;53
一、いつも国民のための情報をありがとうございます。
米国との対比で考えると面白いのではないか。つまり、専制全体主義の中国と民主主義国家の米国という社会構造の違いはあるものの、米国でも人口の1%が全体の富の50%を支配していると言われていて、―中国人口のうち2%の人が中国社会の80%の富を支配している―という中国の事情と、貧富の格差の面ではほぼ同様の傾向を示している。
そのうえで、決定的に違うのは、”アメリカンドリーム”という言葉が示すように、米国では基本的に人種や家柄や血筋などに関係なく本人の努力次第で富や名声を得られるが、中共が支配する中国では本人の努力のみで富と名声を得ることはほぼ不可能でしょう。
二、>呉氏は、中国の若者が実際に横たわって何もしないことは非常に難しいとした。
だろうな。
中核都市の賃貸すら借りれない6億の貧困層には無理。
ネット環境を維持しながらただ飯食らいができる身分てことは、実際のとこ共産党員の身内じゃないかね。富裕層の子弟でさえ、就職先が容易に見つからないってことじゃないかな。中共が出してくる経済指標のインチキぶりが透けて見える。
三、素晴らしい考え方を支持する。
下層階級が働かなければ上層階級は絞り取る財源が無くなる訳だから凄いダメージを与えることが出来ると思う。身を呈して相手を倒す最高の切り札となるだろう!
《ご参考》石平の中国週間ニュース解説・5月29日号
①政権を焦らせた若者の「横たわる主義」
②プーチンに翻弄された習近平「片思い外交」
③著名学者が警告する「債務危機」爆発の可能性
些か旧聞に属するニュースだが・・・。引用した大紀元時報は、中国共産党の弾圧を受けて海外亡命した法輪功集団の機関紙的ネット新聞。石平氏は天安門事件時('89)、中国民主化推進派の一人で、中共を嫌い我国に定住・帰化した人。ゆゑに、反中共色が濃いのは致し方あるまい。
躺平主義とは耳慣れない語だが、「躺平(たんぴん)」の邦訳は〝寝そべるor横たわる″といった意味なのだとか。「主義」が付いているので大層な思想であるかのように錯覚するが、はっきり言って「ぐうたら若者」と呼ぶほうが実態をイメージし易いと思う。ぐうたらな自分が言うのだから間違いない。
忍び寄る少子高齢化と並び、虚勢立国シナならではの社会問題である。将来を担う若者が虚勢を張る気力すら失くしている、とみるからだ。「虚勢」は〝強がり・空威張り″を示す語だが、その心(ウラ)は、「弱虫・臆病者・小心者」なるがゆゑの事由に他ならない。関係ないけど、〝小心″の漢字は、北京語で「気を付けて;注意して」という意味なのだとか。
要するに、弱い者ほど虚勢を張りたがるものだ。シナの伝統的文化【溺れる狗を叩く(弱い者いじめ)】が産んだ生活の知恵(=自衛手段)でもあったろう。それを自らの弱さを隠そうともせず、私利私欲に乏しい若者が増えていることは、【弱きを救け強きを挫く】を文化とする我国に靡いているとむしろ歓迎すべき兆候ではなかろうか。なぜなら、「悪の社会」は、私利私欲を巧みに利用することで成り立っているからだ。
裏を返せば、マネートラップ、ハニートラップの誘惑に引っ掛かり難い若者が増えているということだ。政治・思想的背景を帯びた組織的集団的活動とも思えず、多分に個人的内心の問題が一大社会現象となって顕われているだけなのに違いない。だからこそ「強い(精神的武器、という意味で)」のだ。如何に「自由だ!人権だ!」と叫んだところで、我々は表面に現れた言動によってしか判断できない。個々人の内心(俗に謂う「胸の内」「腹の中」)まで窺い知ることはできない。悪の権化中国政府でさえ、自国を然も人権国家であるかのように抗弁しているではないか。換言すれば、内心こそが、あらゆる誘惑・圧政・暴力に対抗する〝最後の砦″なのだ。
既に述べたように、彼ら(中国の若者)を躺平主義に奔るまでに追い詰めたのは、皮肉にも中国政府自身なのである。ウソや騙しが罷り通る虚構社会で生き抜くためには、表向きは「悪」に加担するしかないが、反作用として弱者ほど「諦観(あきらめ)」や「絶望感」に襲われる。幾ら足掻いても、そんな財力も能力もない、と野心から解放される。分相応の慎ましい暮らしが出来ればそれで満足、と野望からも解放される。これって、大袈裟に言えば仏教的「悟り」の境地なのですよ。つまり、「執着心」が失せたことで、仏道(仏の教え)に一歩近づいたわけ。
案外、中国共産党一党独裁体制を覆すきっかけになるやもしれない。計画的意図的組織的でない、自然発生的現象であるところが着眼すべきキモとなる。新疆ウイグル、チベット、内モンゴル等の辺境地だけでなく、もはや中国全土が強制(奴隷)労働社会構造と化しているのだ。皮肉なことに、社会主義・共産主義の理想(富の公平分配)を国民総中流意識という形で成し遂げたのが、帝国主義(富国強兵)を放棄させられた戦後ニッポン(但し、前世紀まで)なら、帝国主義の悪い部分(他国侵略植民地化、民族差別、人権無視の政策など)だけを猿真似したのが中国共産党と観ることも出来よう。
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