春闘が事実上スタート
「日本型雇用」も論点に
1/28(火) 14:47配信/讀賣新聞オンライン
経団連の中西宏明会長と連合の神津里季生会長が28日午前、賃上げや雇用のあり方などを巡って東京都内で会談し、2020年春闘が事実上、スタートした。米中貿易摩擦による企業業績への影響が懸念される中、賃上げの勢いを維持できるかが焦点となる。年功型賃金など日本型の雇用システムも論点になりそうだ。
中西氏は会談の冒頭で、日本の賃金が先進国に比べて低いと指摘し、「これまで続いてきた賃上げのモメンタム(勢い)は大事だということが大前提だ」と、賃上げの重要性に言及した。
一方、神津氏は「賃上げのうねりが社会全体のものになっているとは思えない」と述べ、中小企業や非正規雇用を含めた幅広い賃上げで、格差是正を進める必要があるとの考えを強調した。
政府が賃上げの旗を振る「官製春闘」が始まった14年から、大手企業の賃上げ率は2%超が続く。今年の春闘では、企業の景況感が悪化する中、この水準を維持できるかが課題となる。
経団連は基本給を底上げするベースアップ(ベア)を「選択肢」とし、ボーナス(賞与・一時金)なども含めて多様な賃上げを促す構えだ。これに対し、連合はベアを2%程度、勤続年数に応じて増える定期昇給分を含めて4%程度の要求を掲げる。
終身雇用や年功型賃金といった「日本型雇用」を巡る議論も注目される。
中西氏は「これまでの日本の仕組みをかなり見直さないと駄目なところも出てきた」と述べた。経団連は日本型雇用について「時代に合わないケースが増えている」としている。高い専門性を持ったデジタル人材の獲得競争は激しく、高額報酬で迎える企業が増えていることが背景にある。
これに対し、神津氏は「(大企業の)先端的な問題意識もあるだろうが、(格差是正など)置き去りにされた問題の解決と整合しない恐れもある」と述べた。連合は、長期雇用による人材育成が崩れたことが、非正規雇用の増加につながったとみている。
この日は主要企業の経営側と労働組合側の関係者らが講演する「経団連労使フォーラム」も開幕した。労使は3月中旬の集中回答日に向け、交渉を本格化させる。
コメント;
1.この二十年の労使関係がいびつだった最大の原因は、都合の良い所では「もう日本型経営はダメだ」「従業員はただの使用人であり会社は株主の物」と言いながら、他方では「従業員は家族なのだからもっと頑張れ」「そういうのが日本の良い所だろ」と同調圧力で束縛されていたところだと思います
もし経営が脱日本型を訴えるなら、従業員も「は?納期が間に合わない?そんなの俺の契約には関係ないですよね?明日から二週間休みます」「へ?人が足りない?へぇ大変ですねぇ、でもそれは私の契約とは関係ないんで残業とかしませんよ」とドライに当たってもいい、問う事なんでしょうか?恐らく経営側はそんなこと考えてないと思いますよ
2.正直なところ終身雇用は働く人の幸せに適っているのか疑問。わが社にも本当に仕事ができなくて、孤立している人が多々いる。この人たちには他社にチャンスがあるのかもしれず、雇用の流動化が進んで転職が当たり前になれば、自分に向いている会社を見つけることができるかもしれない。このまま、定年まで元の会社にいることは不幸だと思う。ある程度、まとまった金を払うことで転職を促すことが良いと思う。終身雇用義務がなくなれば、賃金も上がるでしょう。
3.日本人には日本型雇用が合ってるように思うが、最近の個人主義には合わないんだろうなあ、じゃあ格差は受け入れないといけないと思うがそれも嫌なんだろう
高度成長して国民総中流社会って言ってた時代が懐かしい
現役引退した身には、もはや”他人ごと”としか映らないが、現役時は労組中枢に身を置いた経験上、「春闘」の語が懐かしい。
外国の圧力による日本企業(=日本型雇用制度)の解体は、何も今に始まったことではない。戦前は西洋列強に並ぶ「五大国」の一員だったため、我国の風土に合わないものは撥ねつけるだけの発言力があったが、今や昔日の面影はない。
労働者保護の国際機構にILO(国際労働機関)がある。国際連盟(UL)に付随して1919(大正8)年に設立された。我国は創立以来の常任理事国である。然しながら、第1号条約(一日8時間・週48時間制)や47号(週40時間制)、132号(年次有給休暇)などの基本的条約を未だに批准していない。
戦後出来た「労働基準法」では、”一日8時間・週40時間”を超えてはならない、となっているので、不思議に思われるかもしれない。国内法で実質的に承認しながら条約を批准しないのは、圧力に屈したように見られたくないというせめてもの抵抗なのかもしれない。
記事に戻ると、経営者側も労働者側も、伝統的日本型雇用制度を旧弊のようにしか観ていないのは問題である。確かに負の部分がないでもないが、西洋流では株主(投資家)と経営者の私有財産という考え方に対し、我国は経営者+従業員+顧客の三位一体組織と考えられてきた。つまり根本の思想が異なるのだ。どちらが良いかという問題ではないが、何事も無批判に西洋流を模倣するから、矛盾が露呈するのではないだろうか。
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