自分が就学したのは昭和29年(1954年)だが、夏休みになると子供たちは毎早朝ラジオ体操に駆り出された。
生来のナマケモノゆゑ、前奏曲(?)の『朝』が聞こえてくると、堪らなく苦痛であった。参加の都度出席カードに証拠のスタンプが押され、皆勤すると賞品(文房具)が貰えた。しかし、大抵三日坊主に終り、就学以降の三年間で一度も賞品は手に入らなかった。
国民歌謡『朝』(昭和11年)
by 藤山一郎、加古三枝子
島崎藤村作詞/小田進吾作曲
朝はふたたびここにあり
朝はわれらと共にあり
埋(うも)れよ眠り行(ゆ)けよ夢
隠れよさらば小夜嵐(さよあらし)
諸羽(もろは)うちふる鶏(くだかけ)は
咽喉(のんど)の笛を吹き鳴らし
今日の命の戦闘(たたかひ)の
装ひせよと叫ぶかな
野に出(い)でよ野に出(い)でよ
稲の穂は黄にみのりたり
草鞋(わらぢ)とく結え鎌も執(と)れ
風に嘶(いなな)く馬もやれ
調べてみたら、これとは別に『ラジオ体操の歌』というのがあるそうな。
ラジオ体操の歌(昭和31年)
by 藤山一郎
藤浦洸作詞/藤山一郎作曲
新しい朝が来た 希望の朝だ
喜びに胸を開け 大空あおげ
ラジオの声に 健(すこ)やかな胸を
この香る風に 開けよ
それ 一 二 三
新しい空のもと 輝く緑
さわやかに手足伸ばせ 土踏みしめよ
ラジオとともに 健やかな手足
この広い土に伸ばせよ
それ 一 二 三
確かに聴き憶えがあるし、現在もなお使われているらしいけれど、時期が合わない。仮に聴いたとしても、小三の夏休みだけになる。この歌は何でも“三代目”だとか。二代目が昭和26年とある。が、試聴してみたらやっぱり聴き憶えがなかった。ひょっとすると、会場広場でスピーカーから流れていたのは、ラジオのナマ放送でなく、レコード盤だったのかなぁ。
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