前稿は思いつくままに書き綴ったので、支離滅裂になってしまった。読者によっては、意味不明と受け取られたかもしれない。要は同じ日本人でありながら、先人と現代(=戦後)人とでは、物の観方・考え方(価値観)があべこべ(正反対)になってはいまいか、と言いたかっただけである。その辺りをもう少し書いてみることにする。
最たる例が、あたかも【暗黒時代】であったかのような過去(歴史)への思い込みである。映画やTVドラマを観ていると、制作年度が新しくなるにつれて顕著になる。もちろん明確な境界線などないものの、先人(=戦前の日本人)との価値観の倒錯が始まったのは、概ね1970年(昭和45年)頃だろうか。例えば『最後の特攻隊』(東映;昭和45年)。戦争体験者がまだ現役だった頃でもあり、必ずしも戦後的価値観のみが横溢しているわけではないが、時代にそぐわぬ生命至上主義的作風には底知れぬ違和感を禁じ得ない。
『最後の特攻隊』予告篇(昭和45年)
【過去=遅れた暗黒時代】との思い込みは、大いなる錯覚であり誤解である。錯覚に陥りやすい原因については、昨年11月15日付記事で「タネ明かし」しているので参照されたい。では具体的に、先人たちはどのような価値観を抱いていたのだろうか。尤も、自分は「戦後生まれ」なので、戦前の映画や知己の戦前人(両親・先生・長老・その他大勢)の言動などから想像するしかないのだが・・・。
・生命よりも【名誉】
・万物に対する【恐れ】
・祖先(=先人)に対する【畏敬】
・新しい物より評価の定まった古い物
・浪費より倹約
・剛より柔
・私益(利己主義)より公益(利他主義)
・科学的合理主義より自己の経験則(いわゆる「勘」)
・弱きを助け強きを挫く【義侠心】
・教えるより学び取らせる
・努めて明るく振舞う。男は人前で泣かない(女は人前で高笑いしない)
・喧噪を嫌い静寂を好む
まぁ、ザッとこんなところですかね。当然個人差はあろうし、戦前だからといって戦後的価値観の人が皆無だったわけでもなかろうが、大勢は上記のような物の観方・考え方を持っていたと思われる。翻って現代人はどうか。まるで正反対になってはいまいか。もとより優劣を論じるつもりはない。でも個人的には、昔気質の日本人って、憧れるなぁ。
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