社会人としては生命保険会社にお世話になったから、国内外を問わず生保業界には少なからぬ関心がある。当然ながらタイにも生命保険会社があって、そのうちの一つ、第二次世界大戦中の1942年(昭和17年)創業であるไทยประกันชีวิต(たい・ぷらかん・ちうぃっと;タイライフ生命保険)が、ユニークなCMを流している。
☆ タイライフ生命保険CM 2014(โฆษณาไทยประกันชีวิต 2557) ☆
アップ者は奇特な方のようで、邦訳してあって有り難い。別の日本版紹介サイトには、『親切にして彼が得たものは何か?』というキャッチフレーズが付いていた。何事も算盤(損得)でしか価値判断できない《利益社会》型人間が考えそうな着眼点で、これではコトの本質が見抜けまい。
実際、似た台詞も出て来るからまんざら誤訳でもないのだが、彼は【何かを得よう】として他人に親切を施しているのではない(と思う)。なぜなら、仮に何らかの見返りを得ようとした瞬間、もはやそれは「親切」ではなく、「背徳」であり「偽善」に変質してしまうのだから。
動画では《お金では買えないものが得られる》みたいなニュアンスだが、その誘導に乗って敢えて算盤を弾くなら、他者が喜ぶ姿を見て自分も満ち足りた幸福感が得られるから、ではなかろうか。道徳規範面で観るなら、完全《利益型社会》の隣国中韓よりも、仏教国タイのほうがよほど日本に近いように思う。
話は変るが、最近のマスコミで気に入らないのは、日本代表チームを「侍ジャパン」とか「なでしこジャパン」とか、やたらに【異名】を作って呼びたがること。【侍】【大和撫子】自体に“美称”の意味があるから構わないのではと観る向きもあろうが、こうも“安売り”をして欲しくない。
つまり、【侍】【大和撫子】とは全ての日本男性・女性を指す語ではない。それにふさわしい資質を備えた者にだけ贈られる“称号”である。「日本代表」なのだから当たり前、と反論されたら返答に窮すが、美称を冠す以上、コロコロ負けてもらっては困るのですよ。
サッカーW杯出場32チーム中、日本代表(「侍ジャパン」)はFIFAランキング世界48位。C組4チーム中では最下位にすぎない。日本チーム勝利を願うのは当然としても、過大な期待は裏切られること必定。数字上は、未勝利のまま終わる確率のほうが高い。これでは【侍】の名が泣いてしまうではないか。
同じサッカーならFIFAランキング世界3位の女子チームのほうが男子よりよっぽど強い。したがって、【侍】を冠すなら女子チームこそがふさわしい。なのに、こちらは「なでしこジャパン」ですからね。ネーミングした人は、【大和撫子】の意味を知ってるのかしら。
やまとなでしこ【大和撫子】
日本女性の清楚な美しさをほめていう語。
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