《神の時こそ最善の時》BWV106
哀悼行事用カンタータ。別名《Actus Tragicus》。バッハ最初期の作品。
☆ 第一曲 ソナチナ (縦笛、ヴィオラ・ダ・ガンバ、通奏低音)
☆ 第二曲 合唱・詠唱・アリオーソ(器楽はソナチナに同じ)
2a. [合唱] 神の時こそ最善の時
「我らは神の中に生き、動き、存在する」
神が望まれるかぎり。
神にあって死すべき時に私たちは死ぬ、
神の定められた時に。
b. [テノール] ああ主よ「私たちが死ななければならない者であることを教えて、熟慮させ、賢くならせて下さい」
c. [バス] 「あなたの家財を整理せよ。あなたはまもなく死んで命はないのだから」
d. [三重唱] 「これは古くからの契約の定め」
人よ、「お前は死ぬ定めにある」
[ソプラノ] 「はい、主イエスよ、来て下さい」
☆ 第三曲 詠唱・コラール(器楽はソナチナに同じ)
3.a. [アルト] 「御手に私の霊をゆだねます。
あなたは私を救って下さいました。真実なる神、主よ」
b. [バス] 「今日、あなたは私と共にパラダイスに入る」
[コラール] 平安と喜びの中で私はこの世を去る神のみ心の中で。
私の心と思いは慰めの中で穏やかで安らかです。
神が約束なさったように死は私には眠りになったのですから。
☆ 第四曲 コラール(器楽はソナチナに同じ)
栄光と賛美と誉れと威光が
あなたに、父なる神と御子と
聖霊と称えられる御方にありますように。
どうぞ神の力が私たちに勝利を与えて下さいますように。
イエス・キリストの御名によって、アーメン
この曲には思い入れがあります。もう三十年以上昔の荻窪勤務時代、直轄所長(上司ではない)が38歳でお亡くなりになり、東急池上線洗足池近くの葬儀に参列しました。自分がまだ二十代の頃です。教会でのお葬式は初めて。早く着きすぎて無人(?)の教会に流れていたのがこの曲です。遊技に誘っても、ほとんど遊ばない真面目な所長さんでした。でも、クリスチャンだとは知りませんでした。
牧師さんによるお説教は、まったく記憶に残っていません。ただ、その合間には、幾曲かの賛美歌を歌わされました。これも耳慣れたメロディばかりでしたね。言うまでもなく、歌詞は「日本語」でしたよ。
哀悼行事用だけに、辛気臭いカンタータではありますが、上記理由もあって、妙に好きな曲になってしまいました。CDは、昭和二八年録音のラミン盤がいい。冒頭のソナチナで、縦笛とヴィオラダガンバの沈んだ音色が奏でられると、「あの時」を思い出して身体が震えます。もしかして「あの時」も、このラミン盤だったのかもしれません。
Ein Thomaner, Sopran
Ein Thomaner, Alt
Hans-Joahim Rotzsch, Tenor
Johannes Oettel, Baß
Thekla Waldbauer, Johannes Wagner, Blockflöte
Walter Schulz, Karl Riedel, Viola da Gamba
Gernot Schwickert, Cembalo
Thomanerchor Leipzig
Gewandhausorchester Leipzig
Günther Ramin
aufnahme; Leipzig Thomaskirche 10/1953
以上をもちまして、カンタータ・シリーズを終わります。
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