《 第58話 》 「消えたオルゴール」
【 あらすじ 】 柳木博士を訪れた五郎八は、あや子に耳打ちする。何か秘密の話に違いないと怪しむお由。五郎八が帰ったあと、お由をすっかり信用しているあや子は、月光仮面を呼ぶオルゴールのことを話してしまう。戻ってみると、オルゴールが消えていた。
柳木博士邸。あや子の部屋。
あや子 「あら、どうしたの?」
お由 「へへ、今朝のお掃除が気に入りませんのでもう一度。はい。」
あや子 「まあ、婆やってきれい好きなのねえ。」
お由 「はい、もうお掃除が何よりの趣味でして。へへ。おや、お嬢様、それは何でございます?」
あや子 「あっ、これ? 魔法のオルゴールよ。」
お由 「というと、何か仕掛けでもあるんでございますか?」
あや子 「え、開けるととっても綺麗な音楽が流れ出て・・。うふふ。あとは内緒よ。」
お由 「まあ、お人の悪い。それじゃ、あたしの信用がまるでないのと同じじゃございませんか。」
あや子 「あら、そんな意味じゃないわよ。・・・。いいわ、婆やは家の人なんだから、教えてあげるわ。」
お由 「教えていただける? そりゃあ、ほんとですか。」
あや子 「あのね、このオルゴールは、もしも、もしもよ。あたしたちに何か危険が迫ったりしたときに、いつでも神様がお助けしてくださるという約束の印なのよ。」
お由 「まあ、そんな便利な・・。で、その~う、神様というのは?」
あや子 「月光仮面のことよ。だから婆やは、安心して働いてちょうだい。」
お由 「は~い、はい。そうですか、これを鳴らすと月光仮面がねえ。ふ~む。」
あや子 「じゃ、あたし、お父様にお紅茶差し上げてくるわ。」
お由 「はい、どうぞ。」
あや子が部屋に戻ると、オルゴールはなく、『オルゴールはもらってゆく』とのどくろ仮面の貼り紙が。
博士 「なに?どくろ仮面があのオルゴールを?」
お由 「はい。わたくしの不注意から、申しわけのないことになりまして。」
あや子 「婆やが悪いんじゃないわよ。ねえ、お父様。」
博士 「無論だとも。しかし、何のためにあのオルゴールを。」
あや子 「あたしが、月光仮面とあのオルゴールの関係を、婆やに話していたとき、きっと盗み聞きしてたんだわ。」
ここは、第52話の続篇、といった内容のところです。それにしても、お由の究極のテクニック、秘密の聞き出し方の巧いこと巧いこと。第53・54話のカボ子といい、こういうことに関しては、女の得意技。男など、子供みたいなものですね。
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