■ 第十八課 假名遣(かなづかい)
假名の數はあまり多くはありませんけれども、それで、どんな言葉でも、自由に書きあらわすことが出來るから、大層便利です。
けれども、假名で言葉を書きあらわすには、昔から一種の假名遣があって、今日でも、それが一般に世間に行われて居ます。
例えば
コドモガ、テヌグイデ、カオヲフイテイマス。
と書いて、意味はよく分るのですけれども、世間では之を次の樣に書きます。
コドモガ、テヌグヒデ、カホヲフイテヰマス。
即ち「テヌグイ」は「テヌグヒ」、「カオ」は「カホ」、「イマス」は「ヰマス」と書くのです。
又、學校は「ガッコウ」、樂器は「ガッキ」と讀むけれども、世間では之を「ガクカウ」「ガクキ」と書きます。
此の假名遣は中々面倒で、一々こんなに書くことはむずかしいけれども、人の書いたのが讀めないと不便です。
・ 練 習
一、假名の便利なことをお話しなさい。
二、假名遣にはどんな面倒なことがありますか。
この課でようやく「仮名遣い」のことが出てきましたね。これまでは、日本語会話の上達を主目的として、敢えて発音に合わせた表記とし、意図的に仮名遣いを変更してあったことがわかります。
このことは、歴史的仮名遣いを使わなくなった現代人の私たちにも言えることかもしれませんね。読むのは何とか読めますが、書くとなるとなかなかうまく表現できません。むしろ、歴史的仮名遣いの名残があった頃、すなはち子供時分のほうが書けたかもしれません。
これは、おおげさにいうと「歴史の断絶」の一因でもありましょう。今日、豊臣秀吉時代の書物でもちゃんと読めるということは素晴らしいです。支那では、同じ漢字が使われていますが、中世とは言語体系が違っていて、現代中国人には意味が通じないそうです。それに度を超した簡体字、ありゃなんですか。若者が正字(繁体字)を知らなくなっています。日中とも、愚民政策には困ったものです。
今、少しづつ真似事をして思い出そうとしています。でも、正確にはなかなか書けません。こんなときこそ、お年寄りの出番だと思いますけどね。
ありがとうございました。
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