第六學年用第一四課「出征兵士」
一、行(ゆ)けや、行(ゆ)けや、とく行(ゆ)け、我(わ)が子(こ)。
老(お)いたる父(ちち)の望(のぞみ)は一(ひと)つ。
義勇(ぎゆう)の務(つとめ)、御國(みくに)に盡(つ)くし、
孝子(かうし)の譽(ほまれ)、我(わ)が家(や)にあげよ。
二、さらば行(ゆ)くか、やよ待(ま)て、我(わ)が子(こ)。
老(お)いたる母(はは)の願(ねがひ)は一(ひと)つ。
軍(いくさ)に行(ゆ)かば、からだをいとへ。
彈丸(たま)に死(し)すとも、病(やまひ)に死(し)すな。
三、うれし、うれし、勇(いさ)まし、うれし。
出征兵士(しゆつせいへいし)の弟(おとと)ぞ我(われ)は。
兄君(あにぎみ)、我(われ)も後(あと)より行(ゆ)かん、
兄弟(きやうだい)共(とも)に敵(てき)をば討(う)たん。
四、親(おや)に事(つか)へ、弟(おとと)を助(たす)け、
家(いへ)を治(をさ)めん、妹(いもうと)我(われ)は。
家(いへ)の事(こと)をば心(こころ)にかけず、
御國(みくに)の爲(ため)に行(ゆ)きませ、いざや。
五、さらば、さらば、父母(ちちはは)さらば。
弟(おとうと)さらば、妹(いもうと)さらば。
武勇(ぶゆう)のはたらき、命(いのち)ささげて
御國(みくに)の敵(てき)を討(う)ちなん、我(われ)は。
六、勇(いさ)み勇(いさ)みて出行(いでゆ)く兵士(へいし)。
はげましつつも見送(みおく)る一家(いつか)。
勇氣(ゆうき)は彼(かれ)に、情(なさけ)は是(これ)に、
勇(いさ)まし、やさし、ををしの別(わかれ)。
当然のように知らなかった唱歌でしたが、家族ぐるみで出征する兵士を送り出す良い歌ですね。国民歌謡としては、林伊佐雄作曲の「出征兵士を送る歌」がありますが、それよりずっと前からあるのが、この唱歌です。
おそらく、お祖父さんもお父さんも、お祖母さんもお母さんも、兄弟姉妹も、みんなこの曲を習っていたでしょうから、家族ぐるみで歌える曲だったのでしょうね。
その意味でも、いくら時代に合わないからといって、「唱歌」が消えていくのは許し難いことであります。モーツアルトの「すみれ」や「春のおとずれ」が、時代に合わないからといって消えていくでしょうか。
「唱歌」はもう、日本の「古典音楽」になっているのですから。
ありがとうございました。
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