感動の大金星再び
スタンドは号泣と熱狂の渦 「新しい景色」へ日本代表が挑戦権
12/2(金) 8:14配信/産経新聞電子版
【ドーハ=小松大騎】2度目の大金星を成し遂げたサムライブルー。ドイツ戦を彷彿(ほうふつ)とさせる奇跡の逆転勝利にスタンドでは感動から号泣するサポーターが続出するなど、大いなる歓喜に湧いた。決勝トーナメント進出をかけ、ドーハの地で行われた「無敵艦隊」の異名を持つスペインとの一戦は、前半に先制される苦しい展開ながら後半に怒濤(どとう)の連続ゴールで逆転。試合終了のホイッスルが鳴り響くと、選手たちがピッチに飛び出し、歓喜の輪ができた。興奮状態の日本サポーターから大きな声援が送られ、日本代表は悲願のベスト8という「新しい景色」への挑戦権を手にした。
スペイン戦の舞台は「ハリファ国際競技場」で、初戦のドイツから大金星をあげた縁起の良い競技場。スタンドは約3割が日本カラーのブルーで埋まり、大きな日の丸の横断幕が掲げられた。試合前から2度目のジャイアントキリング(大番狂わせ)を願い、日本サポーターの力強い「ニッポン」コールがこだまする。膨らませた青色のゴミ袋を振り回しながら応援する人もいた。
試合は前半、巧みなボール回しのスペインに主導権を握られる。攻め込まれる場面も目立ったが、その度にスタンドからは「粘って!」と、選手を鼓舞する熱い声援が送られた。試合が動いたのは前半11分。アルバロ・モラタの高い打点のヘディングで先制ゴールを許し、日本サポーターから大きな悲鳴が上がった。日本は前田大然の献身的な守備からシュートチャンスを作るも決定機は作れず、前半は0-1で折り返した。
苦しい展開ながら、サポーターたちの懸命の応援を背に、日本は後半から快進撃をみせる。途中出場の堂安律が強烈な左足のミドルシュートで同点弾をたたき込むと、3分後には田中碧が右ひざでゴールに押し込み逆転。スタンドのボルテージは最高潮に達し、涙ぐむサポーターが続出した。
その後もスペインによる波状攻撃が続いたが、吉田麻也を中心に必死の守備で耐え忍ぶ。日本サポーターを中心にスタンドは日本を応援する雰囲気に包まれ、スペインの攻撃中はブーイングの嵐に。アディショナルタイムは7分で、多くのサポーターが声援を送りながらも日本がリードしたまま終了する瞬間を待ち、時計を何度も見ていた。
そして、試合終了を告げるホイッスルが鳴り響く。スタンドからは大歓声があがり、死力を尽くして戦った選手たちを総立ちで祝福。スタンドに満面の笑みであいさつする選手に「感動をありがとう」などと絶叫してねぎらっていた。
「何度も気持ちを揺さぶられた。こんなに感動した試合は始めて」。3大会目のW杯観戦という千葉県市原市の自営業、西村敬史さん(44)は興奮した様子でこう振り返る。タイ在住の会社員、平田謙一さん(34)は「勝ったことが信じられず、ふわふわしている。堂安選手の同点弾で会場の雰囲気が一気に変わった」。長友佑都の妻で女優の平愛梨さん(37)も「本当に良かったです」と笑顔だった。
1993年にW杯アメリカ大会出場への夢をあと一歩で絶たれた「ドーハの悲劇」から29年後、そんな因縁の地でドイツ・スペインを破る歴史的勝利をあげた日本代表。ベトナム在住の会社員、柴裕一さん(50)は「大学生の頃にリアルタイムで、『ドーハの悲劇』をテレビ観戦していた世代なので、ドーハの地での勝利は喜びもひとしおです」と感慨深い様子。「競技場のみんなが日本を応援してくれて感動した。ドイツとコスタリカ戦の試合結果も気になったし、目の前の試合もドキドキで、何度も気持ちが揺さぶられた」と振り返った。
熱狂の渦となった競技場では、試合後も多くのサポーターがとどまり、「ニッポン」コールをあげた。家族4人でドバイから来た会社員の松山喜典さん(41)は「ここまできたらベスト8以上を目指し、日本の『強豪キラー』ぶりをさらに発揮してほしい」とエール。長男の小学5年、翔君(11)は「ゴールがいっぱい入って感動しました。日本代表頑張れ」とさらなる躍進を期待した。
コメント総数;5件
一、守田田中のコンディションが上がってきた
遠藤を休ませることができたし次板倉出られないけど谷口で十分に代役が務まることも確認できた
完璧では?
ピークをベスト8に持ってきてるのかと思うくらい
期待せずにはいられないよ
二、前田と久保がプレスかけていたのが後半になって効いてきた、この2人目立たなかったが決して消えていたわけではない
三、これはフロックなんかではない
クロアチアもやっちゃって
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W杯優勝国ドイツに続いてスペインも撃破したとは凄い「事件」とはいえ、未だ予選(グループリーグ)を突破しただけの話である。現に格下と観られていたコスタリカには負けている。ただし、そこがまた〝弱きを救け強きを挫く″を正義のお題目に据えた我が日本らしいと言えなくもない。
個人的には、日本代表選手のスポーツマンシップ、選手を支えるスタッフの献身的利他精神、サポーターの観戦マナー、どれをとっても心技体を備えた今大会の〝三冠王″だと思う。なお、我国では、あらゆるスポーツに「スポーツマンシップ」が最重要視されるが、世界大会では未だ勝利至上主義が跋扈している。世に先進国と呼ばれる土地柄ほど「スポーツマンシップ」が優先され、発展途上にある地域ほど「勝利至上主義」に奔り易いのではないか。
【スポーツマンシップ】-sportsmanship-
スポーツマンに求められる、明るく正々堂々と全力をつくして競技する態度、精神。
【勝利至上主義】
スポーツ競技などで、相手に勝つことを絶対的な目標とする考え方。
結果的にルール軽視・不正などの行為を惹起しがちな点で問題視される。、
神仏にも似た高い人倫道徳性を、なにゆゑ我が国民は備えるに到ったのだろうか。聖徳太子の時代から我国は、賢人でも愚人でもない凡人(凡民)の国なのだ。
【凡人(凡民)】-ぼんじん-
① 皇族や貴族に対して身分の低い人。平民。ぼんにん。
② 世間に普通の、なみの人。ただの人。凡夫。ぼんにん。
【常人(常民)】-じやうじん-
特別の身分・地位を有する人に対して、普通一般の人。
また、普通の才能や精神状態にある人。なみの人。じょうにん。
【賢人】-けんじん-
知恵があり、行ないのすぐれている人。
聖人に次いで徳のある人。賢明な人。賢者。
【愚人(愚民)】]-ぐじん-
おろかな人。思慮の足りない人。おろかひと。
[出典]日本書紀→賢聖(さかしひとひじり)に対する『おろかひと』として。
ここで留意すべきことは、【賢人】の複数形である「賢民」という語が存在しないこと。古代ギリシャに於いて、プラトン(BC427-347)が提唱した「哲人(賢人)政治」は実現しなかった。凡人愚人に比して賢人はマイノリティ(少数派)に過ぎず、世間を代表しているとは言えないからだ。ならば凡人と愚人ではどちらが多数派かと言えば、誰もが前者と答えるだろう。
ところが、西洋近代主義の根幹に【選民思想】というのがある。
【選民】-せんみん-
神に選ばれた、すぐれた民族。
特に、ユダヤ民族(イスラエル人)が旧約聖書によって自らを指していう語。
これが今日の【エリート】に収斂され、ユダヤ金融資本などのグローバリズム勢力と結び付いて闇の世界で暗躍しているのである。
【エリート】-フランス語(élite)-
社会や集団で、指導的、支配的役割を受け持つ層。選良。
西洋発祥の「デモクラシー(=democracy;邦訳「民主主義」とは別物)」の正体は、斯くの如しである。我国で用ゐられる「民主主義」の主人公は最大多数派の凡民(普通一般の庶民)であって、決して【選民(エリート)】や【愚民】などの少数派ではない。これが独裁・独善・独占などの権力濫用(専制政治)を許さない御先祖様の智慧であり、和(やわらぎ・なごみ)の世界を招来せしむる凡民衆議政治の奥義なのだ。
人間に生まれながらの貴賤・上下はないことを説いた福沢諭吉『学問のすゝめ』ではないが、「民主」とは本来【凡民】が主人公という意味なのだ。つまり、西洋の【選民(エリート)】も、習近平中国共産党の【民の主(あるじ)】も、実は根が少数派支配の〝からくり″になっていることに気付くべきである。物事は極限を追求すれば必ず破綻してしまう。「人並み」とか「中庸」とか「平衡感覚」とかが暗示するように〝丁度よいのが丁度よい″のだ。
W杯の論評が妙な民主主義論になってしまった。お赦し願いたい。
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