TPP(環太平洋パートナーシップ)を巡って妙な事態となっている。環太平洋地域に属さない英国が加入申請し、あろうことか中国が台湾に先んじて加入申請したことにより、事態がややこしくなってきた。本来は、中国の「一帯一路」に対抗する経済枠組みとして、米国が提唱した地域経済安全保障構想だが、言い出しっぺの米国がトランプ政権時代に離脱したため、我国が核となって運営・拡大に当たっている。現在の加盟国は11か国(日本、豪州、ブルネイ、カナダ、チリ、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナム)。早い話が、現EU(欧州連合)の前身であるEEC(欧州経済共同体)の環太平洋版組織である。
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台湾、TPP申請はWTO加盟以来の好機
9/23(木) 10:49配信/共同通信WEB版
【台北共同】台湾政府幹部は23日の記者会見で、環太平洋連携協定(TPP)への加入申請について「世界貿易機関(WTO)加盟以来のチャンス。国内法の改正など準備が整ったので申請した」と述べた。
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イ、渡辺浩志(エコノミスト)
先に加盟申請をした中国は国家資本主義の下、産業補助金の支給や政府調達で国有企業を優遇しており、公正な競争などのTPPの加盟条件を満たしていません。サービスや投資の自由化、データ流通や知的財産の取り扱いでも不適格です。中国の経済規模の大きさは魅力ですが、これに目がくらんで特例的に中国のTPP加盟を認めてしまえば、台湾の加盟は絶望的となるほか、米国の復帰も不可能になります。TPPを中国が主導するようになれば、透明で公正な通商ルールを作ることもできなくなるでしょう。
台湾は自由、民主主義、基本的人権、法の支配等の価値感を加盟国と共有していますし、半導体など世界のサプライチェーンでも重要な位置にあり、TPPへの加盟は歓迎されるところです。ただし、台湾の加盟を先に認めれば、中国の猛反発で軍事的緊張が走り、台湾の安定が損なわれる恐れがあります。中・台の加盟の前に米国を呼び戻すことを優先すべきでしょう。
ロ、台湾、TPP加入はWTO加入以来の好機
中国に牛耳られているWTOは機能不全となり、台湾の存在さえも認めてはいない。
しかし、TPPは異なる。台湾が中国の加盟が承認される前に、駆け込み申請したのは良策と言える。仮に中国が加盟を果たしたあとでは、台湾の加入は絵に描いた餅となる。更に、米国の加盟も急ぐべきだろう。
何れにしても中国がTPPに加入できる可能性は低いはず。必ずや対中強硬派のオーストラリアが反対の意向を示すからだ。
ハ、歓迎、台湾を先に入れて仕舞えば、TPP参加は全会一致だから中国の参加はほぼ不可能になる。中国も申請しているが、中国がルールを作る側から守る側に移行するとは思えない。WTOも中国入ってメチャクチャにされたから、参加をちらつかせて、中国側に巻き込めそうな国を値踏みする為に仕掛けてきているだけ。
仮に中国がTPPにもし入ることがあれば、自国に有利な事は守り、不利な事は経済力盾に守らないか、ルール変更を自国主導で行うはずで絶対に加入させてはいけない国。
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台湾のTPP正式加入申請に中国が猛反発!
戦闘機など24機が台湾の防空識別圏に進入も
石平氏「中国の加入さらに難航」
2021.9.24配信/夕刊フジWEB版
台湾政府が23日、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加入申請を正式発表したことに、中国が猛反発している。外務省の報道官が記者会見で反対したうえ、中国の戦闘機など24機が台湾の防空識別圏(ADIZ)に進入したのだ。中国も16日にTPP加入を申請しているが、このような傍若無人な態度で、全加盟国の同意が得られると思っているのか。
「石の上にも五年! 総統になってからこの水準の高い貿易協定の参加を準備してきました。われわれは全てのルールを受け入れる用意があり、TPPに加盟したいと思っています。日本の友人たちにはわれわれのこの努力をぜひ支持してほしいです!」
台湾の蔡英文総統は23日、TPP加入申請について自身のツイッターで、日本語で投稿した。
台湾行政院(内閣に相当)で通商交渉を担当する●(=登におおざと)振中政務委員(無任所相)らは同日の記者会見で、すでに加盟している世界貿易機関(WTO)と同様に経済圏として加入を目指す考えを示し、「加入できれば、GDP(域内総生産)で2%以上の経済効果が期待できる」と強調した。
茂木敏充外相は23日、台湾の正式申請に「歓迎したい。戦略的視点や国民の理解も踏まえて対応したい」と応じた。
これに対し、中国外務省の趙立堅報道官は同日の記者会見で「公的な性質を持つあらゆる協定や組織への参加に断固反対する」と反発した。
軍事的圧力も強めた。台湾国防部(国防省)は23日、中国の戦闘機「殲16」や、対潜哨戒機「運8」など24機が台湾の防空識別圏に進入したと発表した。
TPP加入には、全参加国の同意が必須である。だが、中国は加盟国のオーストラリアやベトナムなどと経済的・軍事的に対立し、沖縄県・尖閣諸島周辺にも海警局船を連日のように侵入させている。
中国事情に詳しい評論家の石平氏は「習近平政権としては国際的孤立を回避しようとTPP加入を申請したのだろうが、国有企業を支援する基本方針や、オーストラリアへ制裁関税を続ける姿勢など、そもそも無理筋だ。加入への障壁が少ない台湾が先に正式加入すれば、中国は台湾に同意を求める構図となる。加入は、さらに難航するだろう」と語っている。
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一、米国不在の中、TPPの実質的なチームリーダーは日本。
日本が台湾の参加を歓迎していることは頼もしい。
ぜひその実現に向けて、他の加盟国にも賛成を促してほしい。
逆に、中国の参加は全力で阻止しなければいけない。
あんな国が加盟したら牛耳られてしまう。
二、現在の流れから言って、シナが猛反発する事٠モノ٠ルールこそ正解です。
ましてや、あの趙 立堅の極悪人人相のハングレ報道官が額に青筋立てて反論する時は、ボディーブローが効いてる証拠です。
何れにしても、シナ包囲網でシナをT٠
KOするまで各国は連携して事を進めましょう。
三、中共は『鬼(アメリカ)の居ぬ間に洗濯(TPPに潜り込み)』で、あとからアメリカが加入しようとするのをブロックする積もりだろう。
しかし、今やあれだけ嫌われる行為を繰り返せば、自身がブロックされる事になるのに気が付いていないとは、どこまで傲慢なのか。
対照的に、台湾は国際的な組織から中共の妨害によって締め出されてはいるが、民主国家の一員として全加盟国からTPPへの加入が歓迎されるだろう。
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中国がTPPに加入したい本当の理由
9/25(土) 11:35配信/ニッポン放送WEB版
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月24日放送)に外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が出演。中国外務省の趙立堅報道官の、記者会見での台湾のTPP加入申請への反発について解説した。
■中国が台湾のTPPに反対
中国外務省の趙立堅報道官は9月23日の記者会見で、台湾の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加入申請について、「公的な性質を持つあらゆる協定や組織への参加に断固反対する」と反発した。台湾の蔡英文政権が認めていない「一つの中国」の原則を掲げ、台湾への圧力を強めるとみられている。
飯田)戦闘機などが台湾の防空識別圏に入って来たとか。
宮家)中国が台湾のTPP加入に反対と言いますが、自分は入りもしないで、「他人を排除する」などと言っている暇はないでしょう。「まずは入ってよ」という話です。中国の人は怒るかも知れないけれども、あえて比喩で言えば、仮にTPPが大学院だとしたら、はじめは小学生だった中国がやっと中学生くらいになって、まだ中学生なのにWTOへ入ってしまった。「中学生だからいいか」と下駄を履かせ、何も努力せずWTOのメンバーになっているわけです。
宮家)中国に比べて台湾は、私に言わせれば大学を卒業しているレベルです。だからもう少し勉強をすれば入れるかも知れない。そのくらい違うわけです。中国は他人のことを言う前に、まず入りなさい。入るためにはまず勉強をしなさい、たくさんある宿題をやりなさい、ということですよ。そもそもTPPは、中国に改革をさせるためのいろいろな仕掛けが入っている国際合意です。単なる貿易協定ではないのです。
飯田)関税云々の話だけではないわけですよね。
宮家)国有企業の改革も含めて、いろいろな仕掛けがあるわけです。朝日新聞には「TPP加盟争い」と書かれていましたが、別に映画館に入るわけではないので、早い者勝ちとか、お金を出せば入れるということではありません。
宮家)中国がTPPに入れないのはわかっていると思うのですが、アメリカが入っていませんから、日米などの分断のいいチャンスだということで、腹を括ったのだと思います。でも中国は、おそらく交渉してもなかなか入れないと思います。
飯田)分断の。
宮家)そういう動きを見せれば、台湾は当然、以前から入れる実力があるわけですから、加盟を考える。台湾が「入りたい」と言うと、中国は入ってもいないのに「排除しよう」ということになるわけです。
宮家)日本がどうしたらいいかと言われれば、中国に対しては、「入りたいのであれば、あなたは高校生なのだから、まず大学の試験を受けて卒業して、大学院に入るための資格を取りなさい。国内市場を積極的に開放しなさい、自由化しなさい、規制緩和をしなさい。国有企業も改革しなさい」と言うべきです。これがまず大事です。
飯田)自由化しなさいと。
宮家)同時に、いろいろ新聞は書いていますけれども、アメリカに対しては、「あなたがいないうちに、こんなことになっているのだから、復帰を考えてください」と。「もともとこういう目的で作ったのだから、早く帰って来てください」と言うべきです。ただ、TPPという名前では、いまのアメリカ国内では復帰は政治的に無理だから、少し難しいのですけれども。日本は、中国には改革を求めつつ、アメリカには復帰を求めるということだろうと思います。
飯田)茂木外務大臣がブリンケン国務長官に対して、復帰を促したという報道が9月23日にありました。
宮家)それは正しいのですけれども、アメリカはいま「イエス」とは言えないでしょうね。
飯田)国内問題が。
宮家)とてもではないけれども、そういう状況ではないと思います。それを中国が突こうとしているわけですから。よくよく考えて行動しなくてはいけません。
飯田)貿易と言うと、中国がWTOに加盟するときは、台湾との同時加盟という形でしたよね。
宮家)そうでしたね。忘れてはいけないのが、中国は「一つの中国だから」とおっしゃるけれども、貿易経済の世界では、関税区域というものが1つの加盟資格になっていますから、台湾はWTOに入れるのです。
飯田)香港は別で入っていますよね。
宮家)私は昔香港とWTOで交渉したことがありますよ。H、I、Jと席が近いから、仲よくしていました。ですから、別に加盟するのが国でなくてはいけないということはないのです。まったくお門違いだと思うのだけれど、それも中国がこの問題を政治化しようとするプロパガンダの一環だろうと思います。
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Ⅰ.来年前倒しでほぼ確実と言われているイギリスが加入すれば
EUと同規模の経済圏になるし 途上国が多いので近くEUを抜くでしょう
逆に米中が加入しないほうが上手くいきそうな気がします
台湾だけでOKです
イギリスの加入は加盟国はすべて賛成を表明している
Ⅱ.台湾の牽制と、TPP加盟国が増えるのを阻止したいのだろう
中国のTPP参加は不可能だと分かっていながらグズグズ言っているのは、中国がそれを理由に様々な方面で圧力を掛けてくるのが怖れているからだろう。しかし、トラブルを怖れて理念を捻じ曲げるような仕組みや組織は存在価値を失い、形骸化することは必定。
Ⅲ.TTPは、国連と違って、加盟国全部が常任理事国。あとから加盟申請の国に対し拒否権を持つ。先の大戦で敗戦国となった日本が、GDP世界3位の日本が非常任理事国になれないのも、中・ロの反対があるため。
今回の中国のTTP加入申請の真意は、台湾の加入申請の動きを察知し、これを妨害するため。自由貿易はさておき、加入要件である資本の自由化、投資の自由化等国有企業中心且つ優遇されている現状、企業幹部に共産党員の配置を義務化しているという国内の社会・経済体制の改革をしないままで… 噴飯ものだ。
先に申請のでているイギリスが、既存条項変更なしで加入するという手本を示し、その後同様に台湾加盟も承認すべき。
中国が既存条項の変更なしでも希望するなら、国内の政治・経済体制が整うのを待てばよい。日本は、全加盟国承認条件を外交カードとして最大限活用すべき。国連非常任理事国申請等で…
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掲題は、『論語』(「子路」より)に由来する。また、我国最初の貨幣「和同開珎」を連想させようと工夫した。
「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」
意味;立派な人物は、他人と仲よく付き合うが、安易に同調はしない。つまらない人物は、他人に安易に同調するが、決して仲よくは付き合わない。
流石は孔子様、言い得て妙である。国際関係も対人関係も、この句がズバリ言い当ててるように思う。で、TPP協定の目的は何なのか。
経済に疎いと言えど、何を目指しているのかぐらいは見当がつく。要するに、互助互恵・共存共栄の国際協調型経済ブロックである。言い換えれば、富の一極集中(寡占・独占)を排し、加盟国間の共栄を企図した考え方に基づく。現在、申請中の英国・中国・台湾各々が、どういう意図を以て加盟しようとしているのか、容易に想像できる。
そもそも「経済」という言葉は、近代に入ってから英語〝economiy″の訳語として造語されたものである。しかし、両者はニュアンスが多少異なる。
【economy】の意味
節約・倹約・むだを省くこと・効率的な使用・景気・有機的な組織・経済機構・経済
【経済】とは
「経世済民」の略語。←世の中をおさめ、人民を救うこと。
貨幣も「経済」の語もなかった古代の人々の経済活動(?)を想像してみるがいい。基本的に「物々交換」ではなかったか。自分に余って相手に足りない物を譲り、相手に余って自分に足りない物をを譲り受ける。結果として、お互いに譲り合うことが、双方の生活を助け合うことに繋がる。つまり、「経済」という概念そのものが、互助・互恵の精神に基づく仕組みになっているということだ。
何が言いたいか? 欧米と我国とでは、同じ「経済」の語でも、抱くイメージが異なる。「経済」は漢字圏で広く使用されているが、本を糺せば純然たる日本語(economyの訳語)である。例えば、航空機のビジネスクラス、エコノミークラスの漢文表記は、「商務客艙」「経済客艙」と綴られる。もともと英語からの翻訳なので、「節約」という英語の原意で「経済」が使われたとしても不思議ではない。尤も、我々だって「経済的」なる原意に近い用法があるのも事実である。
話が逸れた。ここで注目したいのが、TTPの決議方式だ。民主主義の根幹が「多数決」だと信じ込んでいる人が多いが、それを脆弱性と観て衝いてくるのが共産主義や全体主義なのだ。戦前のヒトラー独ナチ党は、国民の付託を得て合法的手段に基づき政権の座に就いている。欧米近代個人主義の歴史は、たかだか三百年程度に過ぎない。悠久の歴史と伝統を誇る我国は概ね全会一致方式を決議手段としてきた。独断専行を未然に防止するためである。
しかし、西洋流民主主義の出発点は、個々人が同じ意見であるはずがない、という意味で端から全会一致を否定する傾向が強い。但し、異なる意見をぶつけ合っていては、何事も決められない。ゆゑに、次善の策として生まれたのが多数決である。ところが、人間は過ちを犯す動物だから、必ずしも多数派の判断が正しいという保証はない。我国が全会一致を採用してきた理由もそこにある。
もともと全会一致は、小規模組織や共同体など仲間内の決議方式には向いているが、多様な意見が入り乱れる国際機関には不向きである。TPPから米国が抜けた今日、やむを得ず日本が主導せざるを得なくなったため、苦肉の策で如何にも日本的な全会一致方式になったのかもしれない。全会一致は、加盟を増やす組織拡大という攻勢には向かないが、逆に組織防衛(守勢)には都合がよい(=守り易い)。なぜなら、防御壁が高い(参加基準が厳しい)ため、組織転覆を企図する良からぬ勢力に付け込まれる余地が少ないからである。
国連(UN)の安保理事会が機能不全に陥っているのは、常任理事国(米英仏露中)だけに拒否権という「特権」を与えているからに他ならない。TPPにそんな不平等な条項はない。即ち、全加盟国が公平に拒否権(反対)を手にしていることになる。逆転の発想をすれば、(全会一致は)たった一票だけでも、多数意見を覆すことが出来るのだ。究極の少数意見尊重決議方式ではあるまいか。したがい、共同体(ゲマインシャフト)的残滓が色濃い中小企業や性善説に基づく高信頼型国家(シラス)など、いわゆる〝仲間内″でしか通用しない。利益体(ゲゼルシャフト)の権化たる大企業や独裁夜景国家(ウシハク)がその裏返しである。
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