日本と台湾、与党間で初の安保対話
防衛協力の可能性も議論
2021年8月27日 16時29分/フォーカス台湾(中央通訊社)日本語版
(台北中央社)与党・民進党は27日、自民党と初の「外交・防衛政策意見交流会」をオンライン形式で開催した。双方は中国の台頭に対応するため、対話の枠組みを継続させ、地域情勢の変化に共に立ち向かっていきたい考えをそれぞれ示した。民進党の広報を担当する謝佩芬(しゃはいふん)氏が会談後に明らかにした。
会談には民進党から羅致政(らちせい)立法委員(国会議員)と蔡適応(さいてきおう)立法委員、自民党からは佐藤正久外交部会長と大塚拓国防部会長が出席した。会談は非公開で1時間半にわたって開かれた。
謝氏によると、会談ではまず佐藤氏が発言。与党議員の交流を通じ、日台双方の協力関係を強化していきたい考えを示した。中国が近年、一方的に地域の現状を変えようとしていることは、台湾海峡の安全のみならず、日本の安全にも影響すると言及し、日本側として台湾との交流を強化すべきだとの考えを有していることを明らかにした。その上で、今回の交流が今後も継続されるよう期待を寄せた。
大塚氏は、日台が同じく東シナ海付近に位置し、同じように中国に直面していることに触れ、日台は運命共同体だと指摘。中国が軍事力を大幅に向上させ、地域の状況を不安定にしていることに言及し、自民党国防部会が提出した防衛力の抜本的強化のための提言や防衛関連費の増強などが抑止力となればと述べた。
羅氏は、自民党外交部会の台湾政策検討プロジェクトチームが6月、提言をまとめたことから、台日関係の推進における日本側の決意と方向性を感じたと言及。地域情勢の変化を前に、台日は共同の利益と価値観、共同のビジョンを有しているとし、将来的に共同の行動によって目標を達成したい考えを示した。また、今回の対話は政党間だけでなく、両国の人々からも支持されているとし、このようなやり方の対話によってポジティブで具体的な成果を得られればと強調した。
蔡氏は、今回の対話は両国間の絆を象徴していると述べ、この対話の仕組みが慣例となり、既存のルート以外に、新たな意思疎通のルートが切り開かれることに期待を寄せた。
会談後の記者会見で羅氏は、台湾積体電路製造(TSMC)を含む半導体産業の協力を政府が後押しするかが会談の焦点になったと説明。また、日本側からは環太平洋経済連携協定(TPP)への台湾の参加を全力で支持、支援する意向が示されたと明らかにした。米日台の協力の今後の方向性や、第三国における台湾と日本の具体的な協力の方法についても話し合った。
(温貴香、郭建伸/編集:名切千絵)
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対中抑止で連携「日台与党間外務・防衛2プラス2」
五輪開催中も続いた軍事的覇権拡大
井上和彦氏「中国の反発は正しい道というバロメーター」
2021.8.29/zakzak(夕刊フジ)WEB版
日本と台湾で外交、防衛を担当する与党議員が27日、「日台与党間外務・防衛2プラス2」と位置付けられるオンライン形式の会談を初めて開催した。「平和の祭典」である東京五輪や東京パラリンピックの開催中も、沖縄県・尖閣諸島や台湾の周辺で、中国共産党政権による軍事的覇権拡大は進められた。日台の与党議員は、東アジアと世界の平和と安定に向けて、外交・安全保障分野で緊密に連携していくことを確認した。
「日米が台湾を重視する流れのなかで、非常に大きな意味がある。『台湾と沖縄が運命共同体』であることは周知の事実であることからも、さらなる連携は重要になる」
評論家の石平氏は、「日台与党間外務・防衛2プラス2」について、こう語った。
注目の会談には、自民党の佐藤正久外交部会長と大塚拓国防部会長、蔡英文総統を支える台湾の与党・民主進歩党で外交、防衛を担当する羅致政立法委員(国会議員に相当)と蔡適応立法委員が出席した。
佐藤氏は「(日台の)与党間の政策協議を進めていく必要がある。特に防衛面では関係強化がますます必要だ」と呼びかけ、台湾の羅氏は「日本と台湾は手を携えて(中国に)立ち向かわなければならない」と危機感を共有した。
4月の日米首脳会談の共同声明には、52年ぶりに「台湾」が盛り込まれ、台湾海峡における平和と安定の重要性が確認された。
一方で、中国側による暴挙・挑発は、東京オリパラの間も続いている。
防衛省統合幕僚監部は26日、中国軍の偵察・攻撃型無人機など3機が同日、東シナ海から沖縄本島と宮古島の間を通過し、太平洋に飛行したのを確認したと発表した。このルートでは25日も中国軍機3機が飛行していた。航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)して対応した。
沖縄県・尖閣諸島周辺の接続水域では連日、中国海警局の武装船が航行し、19日には4隻が領海に相次いで侵入した。中国当局が東シナ海での休漁期間を解禁した16日以降は、接続水域外側に連日、中国漁船が数十隻単位で押し寄せている。
台湾の防空識別圏(ADIZ)には、15日に中国軍の戦闘機「殲16」「殲11」や対潜哨戒機「運8」など28機が進入し、一部はバシー海峡を越えて台湾東部の海岸まで飛行した。17日には、中国軍が台湾の南西と南東の空域・海域で、艦艇や対潜哨戒機、戦闘機を出動させて火力を使った軍事演習を実施した。
沖縄・台湾周辺が緊迫するなか、日台間には正式な外交関係はなく、政策調整のルートも確立されていない。
「日台与党間外務・防衛2プラス2」では、外交・安全保障分野における価値観やビジョンを共有することで、政策を近づける狙いがある。
会談ではこのほか、日台の海上保安機関などによる海難救助協力や、世界保健機関(WHO)といった国際機関への台湾の参加を促進していく方針で一致。台湾と国交がある国に断交を迫るなど、中国の外交圧力に連携して対処すると申し合わせた。
台湾の中央通信社が運営する日本語サイト「フォーカス台湾」(27日)によると、同会談では、半導体の世界最王手「台湾積体電路製造(TSMC)」を含む半導体産業の協力を政府が後押しするかが焦点になったとされ、「経済安全保障」についても意見交換されたとみられる。
日台の接近に、中国は素早く反応した。
中国外務省の趙立堅報道官は27日、「日本は中国内政への干渉をやめ、台湾独立勢力に誤ったシグナルを発することがないよう求める」と反発、「日本は台湾問題で中国人民に歴史的な罪責を負っており、特に言行を慎む必要がある」と牽制(けんせい)した。
前出の石平氏は「中国の反発は『いつものこと』であり、放っておけばいい。日台は協力しなければ破滅に向かうだけだ。今後は台湾を国家として認め、政府の『2プラス2』を開催するなど、長期的に連携を図らなければならない」と強調した。
この件については、菅義偉政権を評価する声もある。
軍事ジャーナリストの井上和彦氏は「ようやく日台による交流ができるようになり、意義は大きい。佐藤氏は『外交・国防のプロ』であり、会談が形式的なものでないことがよく分かる。この点は菅政権を評価したい。中国の反発は、正しい道であるという外交政策のバロメーターでもある。今後も継続して国益を守らなければならない」と指摘した。
コメント総数;23
一、我国が急ぐべきは「日中友好」という実現不可能な夢を捨て「中国は敵国。しかも先に手を出しているのは中国。」という現実を国民が共有することだ。
二、かつて国際社会では中国を代表していたのは中華民国、台湾だった。それを日米を始めとする国際社会は台湾を見捨てて中国(中華人民共和国)に乗り換えた。お陰で中国は横滑りで国連の常任理事国になり、経済力の増大と共に益々増長する一方である。国際社会は中国の増長、暴虐を防ぐためにも過去を反省して台湾との関係を再構築せよ。中国が掲げる「一つの中国」というマヤカシを叩き潰すためにも国際社会は台湾を国際復帰させよ。
三、日本の領土を脅かしたり、個人ならケンカになるであろう程の嫌がらせをする国とまだ「仲良くしましょう!」とホザいている党や人間がいる事自体が信じられない。
これらの国と経済・文化・人材交流して一体何の得があるのか?よくよく考えて欲しい‥って、バカだから考えてないんだろうな。
反面、日台交流は着実に進めるべきである。
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戦後最大の誤謬は、台湾(中華民国)と断交し、抗日・抗美(米国)を唱える敵性国家中華人民共和国との国交樹立(1972年)したことだろう。そういう意味で、田中角栄内閣は傾国政権だったと批判せざるを得ない。日台交流が盛んになったのも、中国共産党の品性下劣な〝戦狼外交″により、非人道的な国家体質が世界中にバレた御蔭とは皮肉なことだ。つまり、日中国交樹立以前の状態に戻りつつある、ということだろう。
中共がどのように変節したかを知る好例がある。1947年2月に台湾で起きた所謂「二二八事件」の際、シナ大陸は国共内戦が続いており、国号も未だ「中華民国(蒋介石政権)」であった。台湾は日本軍武装解除の名目で侵攻した中国国民党軍に占領されてはいたが、国際法上は日本領のままであった。中国共産党軍(八路軍)は、『敵(中国国民党)の敵(台湾人民)は味方』という論法からか、何と台湾独立を支持していたのである。
国共内戦に敗れた蒋介石が台湾に逃れた(1949年)後も、中華人民共和国(中国共産党政権)と中華民国(中国国民党台湾臨時政府)との間で暫く砲撃戦が続いたが、中共軍の真の敵は台湾に立て籠もった中国国民党であって、台湾人民まで敵視する認識などなかったのである。中国国民党占領下の台湾は、支配層(中国国民党員=中国人)と被支配層(台湾人;嘗ては日本国籍)の格差が歴然としていた。
当時の台湾人はみんな、日本統治時代を実体験していた。つまり、日本人と中国人の違いを目の当たりにしてきたのだ。誰が言ったか知らないが、『犬(日本人)が去ったら、ブタ(中国人)が来た』と揶揄する言葉が囁かれたのだとか。その心は、〝犬は煩いが番犬には役立つ。しかし、ブタは汚いうえに無為徒食″という意味が籠められている。
中共が台湾に領土的野心を見せ始めるのは、日中国交樹立以降である。極めて重要な事実として、シナの歴史上、「台湾省」なる行政区分は存在しない。清朝時代は〝化外の地″でしかなく、日清戦争の結果、台湾は日本領となった。我国には、海外領土に〝道州・省制″を採用する伝統はない。当然、台湾は「台湾」のままであり、併合後の大韓帝国は単に「朝鮮」と呼ばれた。
然るに、台湾に逃れてそのまま「占領」を続ける中国国民党は、大陸反攻を唱える一方で、「台湾省」なる行政区分をでっち上げたわけだ。
*ご参考*日台戦後史
1945年8月14日→大日本帝国ポツダム宣言受諾通告(戦闘中止)
1945年8月15日→昭和天皇の玉音放送(大東亜戦争終結の国民向け説明)
1945年9月2日→大日本帝国陸海軍の降伏文書正式調印
1945年10月17日→日本軍武装解除の名目で中国国民党軍が台湾へ侵攻し占領。
1947年2月28日→中国国民党による台湾人(国籍上は日本人)大虐殺(二二八事件)
1949年~翌年→中華人民共和国成立に伴い、国民党+民間人200万人以上が台湾へ
1951年9月8日→サンフランシスコ講和条約調印(帰属先明記せず台湾領有権放棄)
1952年4月28日→サンフランシスコ講和条約発効(日本国の主権回復)
1979年→国連(UN)の中国代表権、中華民国(台湾)から中華人民共和国へ移管
サンフランシスコ講和条約で我国政府(吉田茂内閣)が台湾放棄に伴う帰属先を明記しなかったのは、何故が? 当時の台湾は中国国民党(蒋介石総統)によって占領され、現代中共と同じ一党独裁の弾圧が公然と行われていた。だからこそ、非人道的な「政府」に台湾人民を売り渡したくなかったからに相異あるまい。その心は、台湾人による台湾統治、即ち「台湾独立」である。
台湾の作家黄文雄氏に依れば、中国人の国民性を漢字一文字で表すと「詐」、日本人は「誠」なのだとか。台湾人には言及していないが、少なくとも「詐」より「誠」を是としているように思われる。とにかく、「騙す」「盗む」「奪う」「犯す」の匪賊国家とは出来得る限り関りを持たないことだ。
【 蛇 足 】
自分が子供時分の教科書(「中等地図」「高等地図」など)は、大陸側が「中華人民共和国(中共)」、台湾側が「中華民国(国府)」と表示されていた。テレビやラジオの放送では、大陸側とは国交がなかったため専ら「中共」の略称で呼ばれていたが、台湾側は、それに呼応する「国府」ではなく〝台湾″だった。だから「中共」とは、「中華人民共和国」の略称だとばかり思っていた。しかし、現代では〝中国共産党″の略称で「中国(中華人民共和国)」の国号と区別する意味で用ゐられているようだ。逆に「国府」の略称は死語同然で、現代人には意味不明ではなかろうか。
なお、中国国民党に略称はないが、台湾国民党なる政党が出現(2005年)、こちらは「台国党」と略称されたが、2020年に解散した。現政権与党の民主進歩党は専ら「民進党」の略称で呼ばれている。「自民党」と同じで、国号を類推させる枕詞は冠していない。
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