「たとえ白い紙でも買うという思い、心震えた」台湾総統
8/12(水) 17:44配信/朝日新聞デジタル版
香港で民主派の有力者であるメディア創業者らが相次いで逮捕された問題について、台湾の蔡英文総統は12日、「香港社会の争いを解決し、安定を取り戻すには、北京当局(中国政府)が香港の人民と誠実に対話するしかない」と訴えた。
蔡氏は党主席を務める与党民進党の会合で、談話を発表。台湾の民主化の歴史を振り返り、「人民は自由と人権を守るために、専制と抑圧に反対している。人民の意志を阻もうとする試みは徒労に終わり成功しない」と述べた。
香港警察の捜索を受けた「リンゴ日報」は台湾でも日刊紙を発行している。蔡氏は「香港人が街頭に並んで新聞を買い求め、多くの地域で売り切れになった。たとえ白い紙であっても買うという人々の思いを聞いて心が震えた」と語った。
(台北=西本秀)
ニュースソース(朝日新聞)を訝る向きもあるか知らない。しかし、〝反日新聞″とのレッテル貼りは簡単だが、記事は人間が書くものだから、当然筆者の思想信条なりが反映する。しかも、記者が独断で載せたのならともかく、そもそも編集者の諒解(掲載可否・校正・編集)を経なければ掲載されない仕組みのはずである。ゆゑに、〝社内検閲済″の記事であることは間違いない。
何が言いたいか? とかく中共寄り(つまり左派系紙)とされる新聞社だが、まともな記事(おそらく大半は)もあることを認識すべきだと思う。第一、中共に忖度するなら、中共が最も嫌がるこんな記事を載せるはずがないではないか。キモは記事タイトルにある。恐怖政治の強権発動を無力化させるヒントが隠されている。そう、「白い紙」という部分。これまでの経緯で話題の〝蘋果日報″が反中共系紙であることは、世界中に知られている。したがって、記事内容に関わらず、購読すること自体が抗中共運動への資金援助になるという考え方だ。同様の考え方で、何も書かれていない白いプラカードやゼッケンを着けて外出するだけで中国政府に対する示威行動になる。香港に於いて、中共支持の官製デモなどないからだ。
この記事にはないが、現地(香港)では中国国歌の大合唱が突如として大流行してるとか。すわ、中共の逆襲かと思いきや、さにあらず歌詞を逆手に取った香港住民の抗議活動なのだ。
義勇軍進行曲(中華人民共和国国歌=2004年憲法にて正式制定)
作詞;田漢/作曲;聶耳=1935年制作映画『風雲児女』主題歌
起来!不願做奴隷的人們!
把我們的血肉、築成我們新的長城!
中華民族到了最危険的時候、
毎個人被迫着発出最後的吼声。
起来!起来!起来!
我們万衆一心、
冒着敵人的炮火、前進!
冒着敵人的炮火、前進!
前進!前進!進!
立ち上がれ!奴隷となることを望まぬ人びとよ!
我らが血肉で築こう新たな長城を!
中華民族に最大の危機せまる、
一人ひとりが最後の雄叫びをあげる時だ。
立ち上がれ!立ち上がれ!立ち上がれ!
我々すべてが心を一つにして、
敵の砲火に向かって進め!
敵の砲火に向かって進め!
進め!進め!進め!
内心(替え歌ではなく)で「敵」を「中国共産党」と置き換えれば、合法的な〝抗中共歌″に早変わりという寸法。まさか、自国国歌を歌う者をどう足掻こうと取り締まれまい。これは恐るべき超高等心理戦術である。やがて中国共産党幹部どもは、自国国歌が歌われるたびに、ひょっとして自分たちを「敵」として歌ってるのではないかと疑心暗鬼になる。現状で香港民主派の「敵」が「中国共産党」であることぐらい、子供にも分かり切った話だ。終いには、香港住民のみならず自国民が歌う時でさえ、おのれら(中国共産党)を「敵」として歌われてるような錯覚に陥り、堪え難き精神的苦痛に苛まれるだろう。ベトナム戦争でベトナムが列強米国に勝利したのも〝この手″を使ったからだ。日頃、不必要に居丈高で尊大な振る舞いをする者は。その実、弱虫・小心者・臆病者の証左でもある。
因みに、1980年代、『現代中国映画上映会』の会員だった。その際、この映画を見た記憶がある。原曲は抗日戦争を得意の嘘八百で描いた映画なので、原詞の「敵」とは我が「大日本帝国」に他ならない。けれども、我国が仮に戦勝国となって中国(当時の支那)全土を支配していたら、果たして支那人を奴隷扱いしただろうか。その答えは、終戦までの台湾・朝鮮・国連(UL)信託統治南洋諸島・満洲国など一般現地民の暮らしぶりを観れば明明白白だ。
周庭チャンネル
2020年8月13日配信
【追伸】
急に想い出したが、自分が周庭(23)さんぐらいの頃(学生時分=1966~1970年)、ちょうど文化大革命の最中だった。走資派とされた老人が紅衛兵の少年少女に取り囲まれ、三角帽子を被せられて糾弾されるニュースが盛んに流された。子供が無抵抗の老人を集団リンチしているように映り、激しい嫌悪感を覚えた。ノンポリだったので文革そのものが理解し難かったが、少なくとも正しい行為とは思えなかった。半世紀前を振り返って、この判断は間違ってなかったと確信している。
今や中共幹部自体が走資派に成り果てた。しかし、香港民主派は紅衛兵ではない。簡単に洗脳される「愚民」とはわけが違う。智慧比べなら、中共最高指導者など足下にも及ぶまい。
香港情勢を巡り、中華圏に詳しい福島香織氏が、周庭さんを「民主化の女神」などとアイドルタレント並みの娯楽目線で報じる日本メディアを厳しく批判していた。自分もそう思うし、周庭さん自身も不本意だろう。市井の政治運動は、政治家と違ってごく自然で目立たないほうがよい。周囲が英雄に祭り上げた途端、敵側の見せしめ標的にされかねないからだ。知的劣化が著しいマスコミは引っ込んでろ!と言ってやりたい。
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