武漢ウイルス緊急事態下なのにアレですが・・・・。中国古典音楽について書いてみよう。
”中国古典音楽”となると、民族楽器を想定した伝統古曲と思われがちだが、そうではない。古典音楽即ちクラシック音楽のこと。要するに西洋書式に基づく音楽である。近代化(国辱的近代史でしかないので現地では“現代化”と呼ぶ)が遅れた中国では、この分野でも我国より半世紀ほど後発国である。先の大戦前、大戦中は国共(中国共産党と中国国民党)の内戦が続き、観るべき作品は殆どない。国民党を台湾へ敗走させ、中華人民共和国成立以降、共産党独裁下で、革命舞劇(バレエ)、革命映画付随音楽などの専ら政治宣伝(プロパガンダ)を目的とした作品が盛んに公開されるに至った。因って社会主義革命先進国のソ連がそうであったように、総じて嘘八百の政治宣伝臭が横溢して情緒面に乏しい作風である。
広く人口に膾炙した作品としては、『黄河』『梁祝(梁山泊と祝英台)』の二大協奏曲(片や鋼琴=ピアノ、此方小提琴=ヴァイオリン)が挙げられよう。
* ピアノ協奏曲『黄河』(1970年初演;殷承宗、儲望華、盛礼洪、劉庄ら改作)
1.前奏曲「黄河の船頭の歌」(黄河船夫曲) Allegro molto agitato
2.黄河をたたえる (黄河頌) Adagio maestoso
3.怒れる黄河(黄河憤) Andantino grazioso
4.黄河を護れ (保衛黄河) Allegro
但し、これがオリジナルではない。原曲は1939年に冼星海が作曲した交声曲(カンタータ)『黄河大合唱』である。
1.前奏:黄河船夫曲
2.黄河頌
3.黄水謡
4.川辺対口曲
5.黄河怨
6.保衛黄河
7.怒吼吧 黄河
黄河鋼琴協奏曲
by 王俊霖(ピアノ);黄德励指揮/アジアン文化交響楽団
*ヴァイオリン協奏曲『梁山泊と祝英台』(1959年初演;何占豪、陳鋼共同作曲)
西洋楽器のために作曲されているが、浙江省地域の伝統越劇『梁山泊と祝英台』の悲恋物語から題材を得ているため、上記『黄河』よりも遥かに情緒纏綿たる作風になっている。個人的にはこちらのほうが好み。事実、『黄河』が中国国内以外であまり演奏されないのに対し、『梁祝』は海外でも人気が高い。因みに、西崎崇子が得意とし、諏訪内晶子も彼国に招かれて客演したりしている。
梁祝小提琴協奏曲
by 呂思清(ヴァイオリン);簡文彬指揮讀賣日本交響樂團
1.カンタータ《黄河大合唱》‐1987年5月録音(PHILIPS@香港盤)
厳良堃指揮/北京中央交響楽団&合唱団
独唱者;瞿弦和(ナレーター)、楊洪基(テノール)、汪燕燕(ソプラノ)、
2.『黄河』+『梁祝』(OLYMPIA@英国盤=中国唱片原盤)
韓中傑指揮/北京中央交響楽団;陳澍城(ピアノ)、湯宝娣(ヴァイオリン)
3.『梁祝』-1989年録音-(福茂唱片@台湾盤)
湯宝娣(ヴァイオリン);袁方指揮北京中央交響楽団
4.『梁祝』-1984年録音-(香港唱片盤=中国唱片原盤=CD制作;日本コロムビア)
何樹英(琵琶):夏飛雲指揮/上海民族楽団
5.『梁祝』-1985年録音-(香港唱片盤)
許斐平(ピアノ);施明漢指揮/香港管弦楽団
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