一口にクラシック音楽と言っても 日常聴くのは殆どが独墺系楽曲ばかりである。かといって、独墺系以外の音楽が嫌いなわけではない。そこで、本稿ではフランス音楽を採り上げてみよう。
フランス音楽はどうしても「印象派」に収斂されがちだが、それ以前にも、クープラン(バロック)、ラモー(バロック)、ベルリオーズ(ロマン派)、サンサーンス(ロマン派)、ビゼー(ロマン派)、フォーレ(ロマン派)などがいる。印象派はドビュッシーを以て祖とし、ラヴェルもこの範疇に分類される。サティも同世代だが、なぢかは知らねど印象派でなく新古典派なのだとか。以降のイベール、オネゲル、ミヨーらは、もはや現代音楽になるらしい。言われてみれば、彼らは戦後(1945年~)も生き長らえて現役作曲家だった。
総じてとは言い切れないまでも、独墺系曲が雄渾で男性的・好戦的な響きを特徴とするなら、フランス音楽は遙かに繊細で女性的・感傷的である。別に偏食(?)するわけではないが、「女性的」と言う観点から性に合わず敬遠しがちなのは事実。でも、決して嫌いじゃありませんよ。
繊細で女性的とは言い難いベルリオーズ『幻想交響曲』、サンサーンス『動物の謝肉祭』、ビゼー『カルメン&アルルの女組曲』などは、子供の頃からよく耳にしてたし、レコードも買って保っている。しかし、ドビュッシー、ラヴェル、サティーら20世紀初頭のフランス音楽となると、大人になってからの趣味に過ぎない。どちらかと言えば、サティ『ジムノペディ(ドビュッシーの管弦楽編曲版)』やラヴェル『亡き王女のためのパヴァーヌ』など、アンニュイで感傷的な曲が好み。独墺曲の対極にあるからだ。
演奏にも拘りがあって、次の演奏でしか聴くことはない。
サティ『ジムノペディ #3&#1』(1888年/管弦楽編曲ドビュッシー1897年)
by オーリアコンブ/パリ音楽院管(録音;1967)
ラヴェル『亡き王女のためのパバーヌ』(1899年)
by ミュンシュ/パリ管(録音;1967)
ほんとうは、LPレコードを所有している1955年録音のボストン響との演奏を採り上げたかったが、古い音源ゆゑかネット上に見当たらなかった。こちらの演奏はCD盤で保っており、録音状態が良く旧盤と甲乙付け難い佳演。
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