「飽きた」と書きながら。またぞろ韓流ドラマの話題になるけど、BS11にて『帝王の娘スベクヒャン(原題;제왕의딸수백향)』(MBC;2013年)が再放送されており、近く最終回(全108話:但し日本放送局向け全72話再編集版)を迎える。主人公スベクヒャンが登場しない(つまり生まれる前の物語)序盤を視ただけで退屈してしまい、暫く放してあったがヒマなので今になって最初から視直している。
基本的には韓流時代劇特有の血で血を洗う凄惨な権力闘争物語にすぎないし、「恨(ハン)の文化」なればこそ【恨み辛み】の所以を知らしめるべく屡々主人公が生まれる前から物語が始まるため、冗漫なこと夥しい。しかし、スベクヒャン(実名;ソルラン)が登場する第10話頃から俄然面白くなる。そして今風な韓流主題歌を散々貶しておきながら矛盾するものの、何より古謡調主題歌(挿入歌)が素晴らしい。K-pops系流行歌手の媚び甘えるような作り歌いでなく、ぶっきらぼうなほど虚飾を排したパンソリ式語り部口調なのが佳い。とりわけ間奏を挟んだ後半昂揚部分が堪らない。一度聴いたら耳に着いて離れなくなること必定。妙に懐かしさを呼び覚ますメロディである。
정읍사 (드라마 '제왕의 딸, 수백향' OST) - 판소리;김나니
『井邑詞(チョンウプサ)』(帝王の娘スベクヒャンOST)-パンソリ(歌);キム・ナニ
정읍사 (드라마 '제왕의 딸 수백향' OST) - 판소리;김나니
・原語歌詞
달하 노피곰 도다샤 어긔야
머리곰 비취오시라 어긔야
어강됴리 아으 다롱디리
져재 녀러신고요 어긔야
즌 대를 드대욜셰라
어긔야 어강됴리
어느이다 노코시라 어긔야
내 가는 대 졈그랄셰라
어긔야 어강됴리
아으 다롱디리
어긔야 어강됴리
아으 다롱디리
어긔야 어강됴리
아으 다롱디리
달하 노피곰 도다샤 어긔야
머리곰 비취오시라 어긔야
어강됴리 아으 다롱디리
져재 녀러신고요 어긔야
즌 대를 드대욜셰라
어긔야 어강됴리
달하 노피곰 도다샤 어긔야
머리곰 비취오시라 어긔야
어강됴리 아으 다롱디리
져재 녀러신고요 어긔야
즌 대를 드대욜셰라
어긔야 어강됴리1
・邦訳(放送字幕より)
月よもっと高く 昇っておくれ
はるか遠くまで 照らしておくれ
オギヤ オガンドリ アフ ダロンディリ
オギヤ オガンドリ アフ ダロンディリ
《 追 伸 》
劇中、“スベクヒャン(수백향)”という名前の由来について、母親チェファ(彩花)により語られる場面がある。それによると「100年に一度しか花を咲かせないが、咲けば百済国を安寧に導く(=百済の守り花)」なのだとか。したがって、漢字も“守百香”が充てられている。ところがサントラ盤販売上の漢字は“手白香”となっており、単なる当て字かと思いきやそうではないようだ。韓国語版ウィキペディア(日本語版は無し)を調べてみたら、興味深い事実が判明した。
そもそも百済国にスベクヒャンなる王女は実在せず、端からMBC制作陣の創作(架空の人物)である。それも、ほぼ同時代の手白香皇女(たしらかのひめみこ)>をどうやらモデルにしたらしい。だから当初は“手白香”のまま準備したところ、有識者(もちろん韓国の)から非難を浴びたため、急遽同じ発音の“守百香”とこじつけたうえ、命名由来まで新たに捻出したという。
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