ここ最近、海外ドラマに凝っている。お目当てである昭和50年頃迄の主要国内ドラマ(時代劇・現代劇を問わず)は、ほとんど録画済みだからだ。一口に海外ドラマと言っても、昔は概ね米国物ばかりだったのに、近頃では隣国中・台・韓流が主流となっている。近隣諸国とはいえ、そこは外国。言葉はもちろん、風俗習慣や物の観方・考え方まで違って当然。
グローバルスタンダード(国際標準)に名を借りた世界的な米国化(「禍」の字を充てたほうが適切かも)が侵攻するなか、隣国物と比較すれば国内ドラマは未だコアな(核心)部分まで毒されていないように思う。つまり、見た目(外見)こそ洋風なれど、登場人物の観方・考え方がまるで違うということ。長年、民族横断的な征服王を戴いてきたのが世界の歴史であり、チャイナ文化圏の中・韓も同様である。ただし、台湾のみ当時の宗主国(清国)から「化外の地(王権が及ばぬ土地)」呼ばわりされてきたことで、若干事情が異なる。
そこへゆくと我国は、同一民族かつ万世一系の天皇を戴く世界に類例のない歴史を紡いできた。したがって、中・韓相互間では外見も精神もよく似ているが、姿形を除いて我国とはまったく異質である。なまじ人種的な近似性があるゆゑに、内心(精神・思想)まで共通するかのように錯覚しがちだが、本質は正反対と言ってよい。今や世界の趨勢はゼロサム(弱肉強食)ゲームの利益体社会(ゲゼルシャフト)になりつつある。相互扶助を旨とする共同体社会(ゲマインシャフト)の名残を未だに留める我国のほうが絶滅危惧種の【特殊な国】なのである。数年前、国政選挙戦で某自称保守政党が、「日本を普通の国に」などと頓珍漢なスローガンを掲げていたが、とんでもない。世界に誇る【特殊な国】だからこそ存在価値(raison d'être)があるのだ。
話が逸れた。特に韓流ドラマは【恨(ハン)の文化】と呼ばれるだけあって、時代劇・現代劇を問わず、苛斂誅求を窮めた身分(階層)格差が凄まじい。時代劇なら王侯貴族対奴婢階層、現代劇でも大財閥御曹司・令嬢対生活困窮層といった具合。大抵、主人公は王侯貴族か大富豪御曹司・令嬢であり、奴婢階層や貧困層が主人公であることはまずない。あらゆる刺激を取り去ってしまったかのような微温湯的国内ドラマと違って、セクハラ・パワハラはもとより、全篇が暴力(バイオレンス)に満ち溢れている。そんななか、珍しく一般庶民(商人)が主人公の『商道(サンド)』(MBC;2001年)という番組がある。
19世紀、李氏朝鮮時代に実在した豪商林尚沃(イム・サンオク、임상옥)がモデル。当時の朝鮮四大商団、松商(現;北朝鮮開城市)、京商(現;ソウル市)、湾商(現;北朝鮮新義州市)、菜商(現;釜山市)間の仁義なき商売競争(というよりもはや「戦争」)が展開される。営業妨害など朝飯前、ゼニ儲けのためにはあらゆる権謀術数を巡らし、究極は商売敵の暗殺まで正当化するありさま。我国で言えば幕末の頃、我が社祖が会社を設立(1880年)する50年ほど前の時代を扱ったドラマだが、【商道】の意味からして我が社是(顧客第一主義)と対極にあって、金銭を至高の価値と崇めるマンモニストの【商道】とは聞いて呆れる。もちろん、主人公イム・サンオクだけは、失敗なら度々あるものの、【商道】に外れたことは決してしない。
まぁ、サントラ盤が本題だから、聴いてみよう。
- 商道(상도) ost -曲目リスト
01. 財上平如水 人中直似衡 (재상평여수 인중직사형) - 器楽
02. 緣 (연) -器楽
03. 相思夢 (상사몽) -J
04. 約束 (약속) -Bora
05. 多寧 (다녕) -器楽
06. 藍舞/チェヨンのテーマ (난무/채연) -器楽
07. 美今 (미금) -器楽
08. 祈り (기도) -器楽
09. Heart Of Mine-Anael
10. 統軍亭 (통군정) -器楽
11. 路中 (로중) -器楽
12. 天下第一官 (천하제일관) -器楽
13. 約束 (약속/Remix) -Bora
14. ナナニ(나나니)-器楽
まずは、タイトルバックに流れる事実上の主題曲をどうぞ。
01. 財上平如水 人中直似衡 (재상평여수 인중직사형) - 器楽
상도 OST - 01.재상평여수(財上平如水) 인중직사형(人中直似衡)
この作品にも「約束(약속)」という歌がありますね。
04. 約束 (약속) -Bora
どうも、媚び諂うような歌唱が気持悪い。どうして「普通」に歌えないんだろう。
コメント