ちょうど10年前に会社を辞め(定年扱)て以来ヒマをもてあまし、旅行に出かけるかさもなくばBDレコーダー(Panasonic DMR-BWT560)を使い、映画・TVドラマや偶にクラシック音楽会の中継放送を録画していることはこれまでも何度か書いてきた。映画・ドラマ類に限ると、1980年(昭和55年)より前の作品に集中している。近年になるに従い、自分の価値観とは大きく乖離していて、ドラマ番組自体が退屈でつまらないからである。
これは、おのれの価値観の変節を意味する出来事なのだろうか。それとも放送業界(世の中)のほうが変わってしまったのか。おそらく、どちらも理由の一つであることは間違いあるまい。と言うのも、1966年(昭和41年)に放送されていたドラマを、奇しくもDVDを含め幾種か所有している。『泣いてたまるか』『三匹の侍第4シリーズ』『若者たち』『ザ・ガードマン』がそれ。
大学一年生だった当時の好みで順位をつけると、第1位『若者たち』、第2位『三匹の侍』、第3位『ザ・ガードマン』、第4位『泣いてたまるか』となろうか。ところが、67歳のロートルとなった今では、順位が完全に逆転してしまう。いずれも、生命至上主義・拝金主義に基づく戦後価値観で貫かれている点では共通するが、戦前に繋がる共同社会(ゲマインシャフト)的要素をどう捉えているかで、視聴感が大きく異なる。
飽くまで個人的主観にすぎないが、大学生時分の好み上位二作品は一種の階級闘争的色彩を帯びていて左翼思想丸出しの感を否めない。対する下位作品は、世の中が利益社会(ゲゼルシャフト)化しつつあるなかでも、日本古来の共同社会を肯定的に描いてあるということ。つまり、大学生時分は、世の中がそうであったように、自分自身も知らず知らずのうちに左傾化していたのだろう。逆に現在は右傾化してしまったのかもしれない。
面白いと思ったのは『ザ・ガードマン』の配役。犯罪をテーマとする捕物(刑事物)の亜流だけに、正義の集団(レギュラー陣)に対するゲスト出演者のほとんどが悪役ばかり。しかも、別ドラマでは主役級の俳優までが悪役を演じるのだから、その対照が凄まじい。描かれる【悪の世界】が、究極の利益社会である点も興味深い。かつて、韓流ドラマを利益社会的として再三再四批判してきた手前、実はその原型が日本の国内ドラマにあったとは。なんだか急に後ろめたくなってしまった。当時は、架空のドラマ且つおのれの日常生活とは別世界の物語として、気にもとめなかったが。
さて、今やその韓流ドラマが氾濫する日本のTV業界だが、昔は海外ドラマと言えば大多数がアメリカのTV映画だった。西部劇、アニメ、アクション、コメディ、SF空想物、戦争物など、ジャンルも多種多様。『名犬ラッシー』『アンタッチャブル』『ライフルマン』『ルーシー・ショー』『ミステリーゾーン』『珍犬ハックル』『逃亡者』『ベンケーシー』などなど。選べる時代ではなかったので、視るというより見せられていたが、SF物や西部劇が比較的好きでしたね。。
1966年(昭和41年)頃なら前年に『0012捕虜収容所』(東京12チャンネル)というコメディ番組が始まり、毎週愉しみに視ていた。後に他局(ネット情報ではTBSとあるが、自分の記憶では日テレだった気がする)へ移り、『OK捕虜収容所』と題名を変えて放送が続けられたはず。
笑いネタが国内ドラマとはやや異なるが、思想信条に関係なく愉しめるので、昔からコメディが好きである。この種のドラマは、日本語吹替版しか知らないので、原語(米国)版では当時の雰囲気が感じられない。DVD商品化もされてないレア物ですが、奇特な方がYouTubeにアップしてくれています。
米国連続TV映画『OK捕虜収容所』(再生リスト;5作品)
おぉ、懐かしいなぁ。主人公ホーガン大佐(戸田皓久)より敵役のドイツ軍クリンク所長(大木民夫)とシュルツ軍曹(神山卓三)のファンでした。声質からしてニューカークは愛川欽也、ヌボーは久野四郎だと思う。
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