ファンでもなかったくせして意外と記憶が鮮明な田島和子さんを前稿で採り上げた際、赤座美代子さんを同型女優にしてしまった。が、これには余意がある。古風(保守的)な役所(やくどころ)が多い点では共通するものの、中身がやや異なる。
奇しくも、『三匹の侍』第5シリーズ(昭和42年)、第6シリーズ(昭和43年)の各第一話にゲスト出演なさっている。そして、飯盛り女と武家娘という配役が、いみじくもお二方の性格(もちろん「演技」上の)を二分しているようで興味深い。翳りの濃い田島さんに、恵まれたお姫様役や幸せいっぱいの笑顔は、失礼ながら似合わない。事実、ここでは一度も笑わない。つまり、あらゆる艱難辛苦を堪え忍ぶ「薄倖の女」がはまり役ということ。そこへいくと赤座さんは、多少の明るさを備えるだけに、境遇が暗転しやすいタイプ。お姫様役は無理(失礼!)でも概して中流層との設定が多いせいか、普段はノ~天気で自身の立場に無頓着みたい。従い、不意のカタストロフィ(破局)に襲われたらもう耐えられない。この明暗の対照が、視る側にとっては堪らない。
結論を書くと、喩えが悪いかも知れないが、田島さんの演技上の性格が“頼れるお姉さん”とすれば、赤座さんは“護りたくなる妹”と言えよう。現実には、赤座さんだって自分より四つ年上だし大学の先輩でもある。しかし、なにぶんにも50年近く昔のTV映画ゆゑ、「妹」より更に若い自分の「娘」の如く映ってしまう。
それでは「今時の顔」のほうに移ろう。地上波は低俗なバラエティ番組が中心でまず視ることはない。ただし、テレビ埼玉(通称「テレ玉」)だけは別格。若かりし一時期に埼玉県民(昭和46年~昭和50年)だった誼もあるが、その時はまだ開局してなかった。実は子供の頃からの「西鉄」ファンで、「西武」に変わった後も追っかけ続けていた。開局当初、試合の完全中継放送があって視るようになったわけ。今では、初期の「必殺シリーズ」を再放送していて、毎朝その録画でお世話になっている。
まぁ、そんな個人的な“謂われ”はどうでもよいが、地上波他局と一線を画したコンセプトが気に入っている。何よりも、放送局のイメージキャラ“テレ玉くん”が視る側を和ませる。
テレ玉CM
クイズで正解が見えてしまう場面は、何度視ても笑い転げてしまう。むろん、はじめから笑わせる意図があってのシーンなのだが、そんな「作為」を感じさせないところが素晴らしい。『あなたにカンケイあるテレビ』というキャッチフレーズも秀逸。
テレたまくんのうた
流行りの「ゆるキャラ」を逆手にとった歌詞が好い。『それは言わないお約束』の箇所で、「言(い)わない」を「言(ゆ)わない」と訛って発音するところにローカル(地方)色が出ていて、むしろ新鮮な響きに聞こえる。これも計算のうえだろうが、わざとらしさがない点を偉としたい。
毎日曜夜の音楽番組『HOT WAVE』では、今時のアイドルグループとのコラボもやっているんですね。
テレ玉 『HOT WAVE』 ももクロ
「ももクロ」も、前稿で触れた「モー娘。」や「AKB48」と同系のアイドルグループなのだろうが、“テレ玉くん”とのコラボということもあってか、他グループより更に若い子供たちがファン層といった雰囲気ですな。それがむしろ良い方向に作用し、お色気抜き(?)の天然自然な健全イメージに繋がっており、ファン層以外から毛嫌いされることもなく、「アンチ派」を生まない素地になっている気がする。「クロ」の文字が入っているからその誼でいうわけじゃないが、今時のアイドルグループの中では、「ももクロ」だけがおのれの性に合う気がする。
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