目下、アナログレコードを聴いていることは既に書いた。実はたった一枚だけ、台湾旅行で買ったLPレコードがある。1980年(昭和55年)の初訪台時、台湾も音楽帯(ミュージックカセットテープ)が主流であったが、台湾語歌曲 黄西田のとおり、黃西田さん目当てで購入したものと思われる。
アルバムタイトルが『轟動歌壇懐念台語紅歌星金曲精選集』などと如何にも仰々しい。ただ、馴染みのない台湾語だし好みに合わなかったのか、長らく放かったままだった。凡そ三十五年ぶりに針を下ろしてみたところ、なかなか好いじゃありませんか。せっかくだから、どんな案配か全曲聴いていただきましょう。ただし、一部に異なる音源が含まれていることをお断りしておきます。
A-1.流浪到台北 by 黃西田(デビュー曲当時16歳;1964年)
=原曲;高田浩吉『伊豆の佐太郎』(昭和28年)=
A-2.最後的火車站 by 方瑞娥
A-3.舊皮箱的流浪兒 by 林峰
=原曲;水前寺清子『娘ざかり』(昭和40年)=
A-4.三聲無奈 by 林秀珠
A-5.流浪魔術師 by 郭大誠
B-1.酒女夢 by 胡美紅
B-2.再會呀港都 by 文夏
=原曲;藤島桓夫『さよなら港』(昭和31年)=
B-3.何時再相會 by 良山
=原曲;藤島桓夫『雨の港』=
B-4.黄昏嶺 by 紀露霞
=原曲;美空ひばり『夕やけ峠』(昭和32年)=
B-5.可愛的馬 by 敏朗
=原曲;三橋美智也『達者でナ』(昭和35年)=
う~む、《旧き佳き時代》って香りがするなぁ。日本の歌謡曲を台湾語でカバーしたのが六割。それも、日本ではほとんどヒットしなかったような聴き憶えのない曲が多い。が、藤島桓夫『雨の港』なんて今回初めて聴いたけど、健康的で明朗な佳曲じゃありませんか。今日、アメリカニズムに毒され、歌謡界がそんな昔日の面影を失くしてしまったのは寂しい限りである。
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