「タイの音楽メディア評」の第九回目です。
13.MP3 นิธิทัศน์ ที่สุดของ เพลงรักดนตรีจีน
リンク先は、買った物とは装丁が異なるし収録曲も若干違うが、アルバム名及び収録歌手が同じであることから、類似の再発売物と考えられる。アルバム名を直訳すると《チャイナミュージックのすべて》とたいそうな入れ込みようである。
実際に聴いてみると、なるほど中国風味ではあるが、これが本当に中国起源の歌かいな、と疑わざるを得ない曲も含まれている。企画物としてはなかなか面白いので、歌手それぞれの一曲を選んで聴いて(視て)いただきましょう。
13-12.พบรัก(ぽっぷらっく;愛の出会い)
by ASIANA
何処かの航空会社みたいなグループ名が凄い。聴いたようなメロディだと思ったら、タイ映画『フレンドシップ君と僕』(2008年)の挿入歌として使われていた。'80年代にヒットした歌で、タイでは広く歌われているようだが、果たして中国起源の曲なのだろうか。
*ご参考* 映画の挿入盤
by แกรนด์เอ็กซ์(GrandEX)
実はGrandEXのこの曲、映画より先の2000年前後に買ったCDの中に入っていて、既に持っていたのでした。
13-14.ระบำยอดหญ้า(草上の踊り)
by ดอกไม้ป่า(どくまいぱー;森の花)
映像にソンクラン(水掛祭り)が出てくるから、元歌は傣族起源なのだろうか。傣族発祥の地は現中国雲南省、だから「中国音楽」って理窟を成り立たせたのかも知れない。単一民族国家(厳密には違うが)の我々から観れば奇異に映るが、多民族国家タイでは、【民族=国家】なんて発想がまるでないのですよね。
13-20.อ้ายซั่ง(あいしゃん;爱上;恋に落ちて)
by เพ็ญโพยม เรืองโรจน์(ピンパヨム・ルンチョロー)
曲名はタイ日辞典にも載ってない。ただし、「王麗珍」の華字名も持つ歌手だけに、お得意の北京語で歌っている。したがい、曲名も原曲の音訳と勝手に判断した次第。しかし、『爱上』なんて華字曲はないし、《อ้ายซั่ง》でも該当なし。まったく摩訶不思議な曲名である。
13-23.ใจคนคอย(待つ人の気持)
by พัชรา แวงวรรณ(パチャラー・ウェンワン)
このYouTube版は、買ったMP3の中国風編曲とは音源が違うようである。それにしても、この曲の何処が中国起源なのか、理解に苦しむ。
13-34.คิดถึงพี่ไหม(きとぅんぴーまい;寂しくないかい)
by ดอน สอนระเบียบ(ドン・ソンラビー)
この曲もタイ映画『わすれな歌』(2001年)のエンドタイトルに使われていた。確かに中国風味の編曲だが、少なくともこの歌が中国起源であるはずは断じてない。オリジナルはพยงค์ มุกดา(プヨン・ムクダー)という四年前に亡くなった1926年生まれのオールド歌手。
13-49.แหวนแลกใจ(指輪交換)
by ไพจิตร อักษรณรงค์(パイチット・アクソンヨロン)
YouTube版はライブ映像で、買ったMP3とは音源が別物のようだが、演奏自体は酷似している。この曲は、โอเวชั่น(Ovation)盤を所有しているので既知の曲である。
*ご参考* โอเวชั่น 盤
by พรพิมล ธรรมสาร(ポンピモン・タムサン)
以上、おしまひ。
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