オーディオに凝り始めるとキリがない。本来なら立派なリスニングルームを設け、高級オーディオ装置を侍らせれば済む話だが、金銭面ならともかく、騒音が社会問題になる昨今とあってはそれも適わない。自分には“良い音”であっても、聴く気のない近所の人々にとっては単なる“騒音”としか聞こえないからだ。
現在の住家に引っ越し(昭和57年)てからすぐに揃えた据置型中級オーディオ装置が鎮座ましますものの、壊れてはいないけどかれこれ四半世紀(25年)以上も鳴らしたことがない。もはや大音響に身を委ねられる時代ではなくなっている。
ゆゑに、不本意ながらパソコンや携帯型プレーヤーの音楽をヘッドフォン(イヤホン)で聴くしか手段がない。しかし、大音響で聴いた据置型の味を覚えてしまっているから、如何に技術革新が著しいとはいえ、どうしても物足りなさを感じてしまう。
いずれも【帯に短し襷に長し】である。先稿で書いたイヤーチップにしても、ジェル型スーパーチップスSサイズにいちおう落ち着いたものの、位置が少しでもズレると大幅に音色が変わってしまう問題があって、どれもこれもピッタリ適合しない。
iPod touch(4G)との比較で褒めちぎったウォークマンNW-F887にしても、“iPodに比べれば”という枕詞が付く。ウォークマンに直挿しした場合、携帯プレーヤーそれなりの音しかせず、壮大な管弦楽曲の醍醐味にはほど遠い。
例えばこの曲(↓)。
☆ Rシュトラウス『アルプス交響曲』
by ルドルフ・ケンペ指揮ドレスデン国立管弦楽団(昭和48年)
3分40秒「夜明け」辺りから全強奏になるが、直挿しだとSE-535LTDはもちろん、いかなIE80を以てしても音の厚みに乏しく薄っぺらく響く。かといってボリュームを上げたら、飽和状態になるためか、却って聴き辛い音になるだけで迫力が出るわけでもない。非力な内蔵アンプのせいだろう。どだい手のひらに乗るサイズに“音の迫力”を求めるほうが間違いなのだ。
で、実際には次のような組み合わせにすることで、一定水準の音響効果が得られる。
DAP→Walkman NW-F887
Dockケーブル→Fiio F5
ポタアン→HeadAmp Pico USB/DAC
イヤホンケーブル→Song's NightStalker
イヤホン→Sennheiser IE80
イヤーチップ→Monster SuperTips Gel Sサイズ
個人的な好みの音色とは、子守歌代わりに「寝ホン」することが多いので、モニター的な解像度を誇るものより、穏やかに雰囲気で聴かせるようなものがよい。したがって、シャープでクリアな音を追求する向きには参考にならないかも。
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