今回はMP3の二回目、《5.(MP3) อาร์สยาม ชุด ศาลาคนเศร้า》を採り上げよう。e-Thai通販サイトで“Classic (70's - 80's)“に分類されてたし、試聴曲がツボに嵌って購入せしめた。曲目リスト等はリンク先を参照されたし。
あくまで当方の勝手な想像に過ぎないが、「懐メロ」としては前稿で書いた《4.(MP3) ลูกทุ่ง อมตะ โดนใจ 2》より新しく、おそらく1980年代の録音だろう。すべてステレオだし、歌手の顔ぶれが当時最盛期だった人たちばかり。
《4.》が歌われてた頃のタイは未知の国にすぎなかった。だから、当時を知らない自分が、《4.》を「懐メロ」と呼ぶには少々気が引ける。でも、こちらなら初訪泰(1989年)時と重なる。とは言え、その頃からルークトゥンに興味があったわけではなく、買ったカセットテープもタイはタイでもポップス系ばかりでしたけどね。
それでもなお、このMP3には言葉では表現できない“あの頃の空気”がたくさん詰まっているようで、何とも懐かしい。更に付け加えるならば、後年に懐メロ企画物として再録音されたものと違って、歌手たちの歌声にプロ然とした妙な“慣れ”がなく、初めて譜面に接する時のような乾坤一擲の気合が入ってることが窺える。
さて、試聴した曲とは次の二曲。
1.ใจจะขาด(満たされぬ心)
by ศรเพชร ศรสุพรรณ(ソンペッチ・ソンスポン)
伝統楽器も加わって如何にもタイ然とした楽曲構成が好ましい。自分が買ったのは、MP3だからもちろん映像はない。歌手の歌う姿も出てこない取って付けたようなYouTube映像は何ですか。おそらくMV化するため、後年になって適当な映像を持ってきたのだろう。懐メロのVCDやDVDを欲しがると、こういうのを摑まされる。
2.ไก่จ๋า(カイ・チャァ;鶏ちゃん)
by สายัณห์ สัญญา(サヤン・サンヤー)
なぜだか自分でもよくわからないが、堪らなく好きな曲。こちらの映像は、歌手も出てくるし正真正銘の当時のビデオテープ。何となく聴き憶えがあるような気もするので、初訪泰の頃流行ってたのかもしれない。
そしてこのMP3には、期待もしてなかったพุ่มพวง ดวงจันทร์(プムプァン・ドゥアンチャン)の歌まで二曲入っていた。
22.คอยรักที่สถานี(駅で待つ恋)
by พุ่มพวง ดวงจันทร์(プムプァン・ドゥアンチャン)
そっと瞼を閉じて物思いに耽りつつ聴くようなこの曲に、映像や画像は却って邪魔になるだけ。YouTubeのクリップは投稿者の手作りなのだろうが、曲名に“駅”があるからといって、なにゆゑ日本の新幹線が出てくるのか、甚だ理解に苦しむ。
プムプァンはタイの国民的歌手だが、30歳で夭折したせいか、没後は必要以上に神格化されすぎる感がある。初訪泰時はまだバリバリの現役歌手で、バンコクのレコード店のおばちゃんに強く勧められ、この人のカセットテープを買わされた。ところが、買ったことさえ忘れていたほどだから、好みに合わなかったのだろう。
何がイヤかって、晩年(といっても30歳なのだが)になるほど売れなかった頃の謙虚さを失い、『どうだ、畏れ入ったか』と言わんばかりのプロズレした歌い崩しが酷い。日本で言えば《美空ひばり》であろう。間違っても、先日亡くなったお千代さん(島倉千代子)ではない。
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