いつも通りお土産にしたい音楽メディアを物色していたところ、面白いKaraokeDVDを見つけた。จิ๋ว อมรรัตน์ (ジウ・アモンラット)さんが歌う《สาวเข็นฝ้าย(サウ・ケン・ファーイ;綿紡車娘)》というアルバムがそれ。昨年暮れに発売されたものだとか。何が面白いかって、イサーン地方(タイ東北部)特有のモーラム・リズムに乗って、さながら観光旅行してるかのような気分にさせてくれるのですよ。未だイサーンへ行ったことがないので非常に有り難い。このアルバムから二曲ほど聴いて(観て)みましょう。
☆ สาวเข็นฝ้าย(綿紡車娘) - จิ๋ว อมรรัตน์(ジウ・アモンラット)
アルバムタイトル曲だけあって、みなさんノリがお宜しい。
☆ สวรรค์เมืองลาว(極楽浄土ラオス) - จิ๋ว อมรรัตน์(ジウ・アモンラット)
十年ほど前、二度ほどラオスを旅行したことがある。曲名に偽りはない。今はどうか知らないが、インフラが整わない不便さはあっても、物質文明とは無縁の旧き佳き風情が残っていた。映像にある首都ビエンチャンのド真ん中バトゥーサイ(凱旋門)の大通りさえ未舗装だった。
タイのイサーン地方は、北側でラオスと国境を接する(南側はカンボジア)。そしてラオス語は、文字も言葉もタイ語と親戚関係にあって、よく似ている。一緒に行った日本語ガイド(タイ人)によると、タイ語に比べてラオス語は、女性的で優しい言葉なのだそう。言葉が優しければ国民性も穏和で、ラオス人は概ねおっとりしていておおらかである。
両者の決定的な違いを一点挙げるとすれば、道路交通法。タイが日本と同じ左側通行(車)なのに対し、ラオスでは大陸方式の右側通行。件のガイド氏、自ら運転もするのでたいそう面喰らってましたよ。
国境の続きで言えば、北部から西部にかけてはミャンマー(ビルマ)、南部はマレーシアと接する。カンボジアを含めて隣接四カ国とも、一度は訪れている。2006年には、タイのメーサイからミャンマー側タチレクへと陸路国境を越え、中国打洛(だろぅ)との国境の町モンラーを目指して二泊三日の旅行に出た。件のガイド氏のジープ(四輪駆動車)をゆるゆる走らせて。彼はタイ国籍だが、民族的にはシャン族なのだそうで、ミャンマーのシャン州は謂わばご先祖様の故郷ということになる。
モンラーに住む傣族の言葉は古いタイ語だそうで、日本語に喩えるなら平安時代の言葉遣いとなろうか。ただしこの町、実態は中国の植民地(乃至は租界)といった風情。通貨が人民元なら、町内での会話は専ら北京語である。ホテルやカジノの客も中国人だらけ。中国人観光客は、最寄りの打洛国境からは陸路で入れないのだそうで、香港、シンガポール辺りの華字圏を経由して空路ミャンマー入りするらしい。
まあ、言っちゃナニだけど、マナーの悪さでは人後に落ちない。彼らの行く先々がゴミの山といったありさま。中国国内では虐げられているからだろう。国外へ出て共産党幹部のマネをし、鬱憤を晴らしているのかも知れない。
なお、中国打洛の入管職員(といっても18歳の少年)と筆談を交えて話してみた。パスポートはメーサイのタイ国入管に預けさせられて持ってなかったが、日本人と言い当てたし、建物周辺という条件付で中国側への入境を許された。人の往来が全くない世にも珍しい国境であった。
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