台湾映画に『魯冰花(るぅぴんふぁ)』(1989年)というのがある。原作は1961年に発表された鍾肇政の同名小説。今はもう削除されてしまったが、YouTubeに全篇が上がっていて視聴できた。1950年代台湾の苗栗縣という田舎が舞台、且つ小学生が主役なので、自分の子供時分と重なり、日本統治時代の残滓も感じられて何となく懐かしい映画である。まあ強いてケチをつけると、舞台が1950年代とすれば、学校ではともかく日常の会話は台湾語だったはずで、そういう時代考証に若干の齟齬がある。
☆ 1989年映画版『魯冰花』(オープニング部分)
本来悲劇なのに、明るいコメディタッチで描かれていて愉しめる。また、主題歌が好い。
この主題歌を巡っては《甄妮?それとも曾淑勤?》という謎の論争があるみたい。
クレジットに名前が出ないので判然としないし、どちらが本家本元でもいいけど、ほかの歌手も歌っています。
☆ 蔡幸娟 魯冰花(1991年)
☆ 蔡幸娟 魯冰花(2006年)
同じ歌手による同じ歌でも、25歳時と40歳時の違いに止まらず、亡き母を偲ぶ歌詞内容だけに、単なる“女性歌手”か“ママさん歌手”かという心境の変化がよく出ているのではないでしょうか。
話が変な方向へ行ってしまいました。
なお、未見なるも、2006年にはTVドラマとしてリメイクされている。但し、舞台が1990年代の都会に置き換えられ、甚だしく今風な仕上りらしい。ゆゑに、そちらに興味はない。
コメント