数年前、チェンマイでヒマツブシのために買ったDVDの中に、『ぼくの恋人』(2003年)という映画があった。タイ国内盤なので、もちろん邦題や日本語字幕は付いていない。原題が《แฟนฉัน》といって片仮名では「フェーン・チャン」と表されるが、"แฟน"とは英語の"fan"をタイ文字化しただけで、外来語としての日本語「ファン」と同義。英題が"My Girl"だし、二人の年齢(小学生)から考えても「恋人」というより、「ガールフレンド(女友達)」に限りなく近い。今は日本語字幕盤も所有しているが、タイ語と邦訳との間で微妙なニュアンスのズレがあるように思う。
まあ、そんなことはどうでもよく、これからが本論。この映画に次のシーン(↓)が出てくる。
☆ เจี๊ยบให้ดอกไม้น้อยหน่า(ジアップがノイナーに花を贈る) ☆
バックに流れる歌が、なぜか耳に残って離れない。曲名が判らず、サントラ盤にも入ってないので長らくお手上げ状態だった。そんな折、5月中旬からの訪タイに備え、現地で購入するCDやDVDを物色していたところ、ネット通販のサンプラーから偶然に捜し当てた。
☆รักคือฝันไป(夢見る恋)-歌;สาว สาว สาว(三人娘) ☆
歌手名"สาว สาว สาว"を直訳すれば、《若い(15歳以上の)女の子、若い女の子、若い女の子》になる。日本語なら「三人娘」で済むものを、同じ語をクドクドと三つ並べるところが如何にもタイ語らしい。ローマ字表記は"sao sao sao"だが、片仮名にするなら《サウ・サウ・サーウ》のほうが実際の語感に近いかもしれない。
このグループ、活動時期(1982~90年)が十年ほど遅れているものの、さながらタイ版のキャンディーズといったところでしょうか。しかし、アイドル系とは違って、悪いけど可愛いとは言い難い。にも拘わらず、田舎のイモ娘風情のまま飾ろうとしてないから、むしろ逆に親愛の情が呼び覚まされ、なぜか虜(ファン)になってしまうんですね。
因みに、タイ語版ウィキペディアによると、三人娘の愛称はリーダー格のแอม(Amp)嬢(デビュー時17歳)、最年下のแหม่ม(Mam)嬢(同15歳)、最年長のปุ้ม(Poom)嬢(同18歳)とある。件の歌は翌年(1983年)の発売ですから、それでもみなさんハイティーンだったんですよ。
曲自体が歌い手側より更に若い年齢層(つまり児童・生徒)を狙ったのでしょうか。タイのお遊戯・学芸会・予餞会では、幼稚園・小・中・高校を問わず、女の子の定番の歌になっているみたい。どうして異国人である私奴の耳にも残るかというと、オールディーズ風なメロディやリズムが体質にピッタリ合っていて、何とも心地よく響くんですね。
YouTube版はKaraoke映像のため、ボーカルが右耳に偏って聴きづらいので、AUDIOのみを貼っておきます。
รักคือฝันไป(夢見る恋)-対訳歌詞
รักมิใช่ ดวงดาว เมื่อพราวแสง
恋は燦めく星じゃない
ใช่ร้อนแรง ดั่งแสง อาทิตย์ส่อง
輝く太陽の光でもない
รักมิใช่ภูผา สุดจับจอง
恋は聳える山じゃない
ใยใครมอง หารักกันทำไม
なぜ私たちは恋を探し求めるの
รักของเธอ พาใจข้าเศร้าหมอง
恋のせいで時には悲しくなる
บางครั้งจอง ให้ใจ ฉันสุขสันต์
恋のおかげで幸せにもなれる
เมื่อมีรัก ไม่จริง ใจต่อกัน
だから毎晩夢を見る
ทุกคืนวัน ผ่านมา ฉันฝันไป
幸せになれる夢だけを
รักคือดวงจันทร์ รักคือตะวัน
恋は月のよう 恋は太陽のよう
รักคือไฟอัน ร้อนแรง ไร้จุดหมาย
恋は熱く燃え上がる炎のよう
แต่รักฉัน คือฝันไป
でも私の恋は幻に終わった
ค่ำลงดวงใจ ฉันได้แต่ฝัน
毎晩夢に見ただけだった
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