何度も書くが、韓流ドラマには“文化の違い”を禁じ得ない。おもしろおかしく痛快なだけの喜劇や活劇ならさして気にもならないが、内面の葛藤を抉り出すシリアスドラマとなると、もういけない。日韓ともに儒家思想の残滓が窺えるとはいえ、なにゆゑこうも正反対の顕れ方をするのだろう。
私奴(わたくしめ)は、登場する特定人物に我が身を置き換えて劇中に入りこむ、という変わった鑑賞法を採っている。そして、“男は人前で涙を見せちゃいけない”とか、“謹厳実直”といった昔ながらの美風を大切にしたいと思っている。ところが、大の男が人目を憚らず泣きわめき、思い通りにならないと周囲に当たり散らしたり、虚飾に満ちた嘘偽りの大安売りでは、感情移入するに足る人物など出て来やしない。
それでもどういうわけか、主題歌や挿入曲には琴線に触れる佳曲が多い。その一つ、『아름다운 날들(美しき日々)』(SBS-TV 2001年)のサントラ(OST)を採り上げてみましょう。
物語のほうは、“美しき日々”の題名とは裏腹な、歌謡界を舞台とするドロドロした男女の愛憎が本流。また傍流ではあるものの、とかく憎しみや恨みが強調されて、お決まりの復讐劇的要素も盛り込まれる。どうでもいいけど韓流恋愛劇では、一組のカップルに対して必ずその恋敵が登場し、敵・味方がはっきり色分けされる。一種の“恋愛ゲーム”的感覚なのでしょうか。あまり感心しません。
歌謡界が舞台なので、歌手兼業のリュ・シウォン(♂)、イ・ジョンヒョン(♀)といった人も出演しています。
☆ 그대 뒤에서(君の後から) - zero ☆
タイトルバックでも流れる事実上の主題歌。歌詞の意味はわからないけれど、アコースティックな響きで好きですねえ、この曲。
☆ 약속(約束) - zero ☆
慢性白血病に冒されたチェ・ジウが、別れたイ・ビョンホンに「今日だけ恋人みたいにして欲しい」とせがみ、心の叫びとして「どうしたらいいの? わたし、もっと生きたいの」が入る。難病とは知らない彼が困惑する場面。
台詞が重なって聴きづらいので、恋敵でもある異母弟役リュ・シウォンが歌う同曲異演版を貼っておきましょう。
☆ Heaven - 이정현(イ・ジョンヒョン) ☆
挿入歌としてではなく、彼女が劇中で実際に歌う場面が出てくる。大した曲ではないし上手とも思えないが、NHK紅白の出場経験があるんだそうですね。韓国枠でもあるのかな。
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