《心と口と行いと生きざまは》BWV147
聖母マリアのエリザベツ訪問記念日用カンタータ。書簡章句は「イザヤ書」、福音章句は「ルカ伝」が出典。
【 解 説 】
全二部、十曲からなる大作であるが、トランペットを交えた弾むような冒頭合唱から叙唱、詠唱、コラールに到るまで、全てに瑞々しい美しさに溢れており、神の子を身ごもったマリアの喜びが、しみじみと伝わってくるような音楽となっている。コラール楽曲は、《主よ、人の望みの喜びよ》の題名でピアノほかに編曲されて有名。
聞き物は、やはり有名なコラール(第六・十曲)ですね。他では、第一曲の合唱と第九曲のバスアリアが好きです。
☆ 第一曲 合唱(四声部;トランペット、オーボエ、ファゴット、弦楽、通奏低音)
Herz und Mund und Tat und Leben
心と口と行いと生きざまは
Muß von Christo Zeugnis geben
なべてこれキリストの証たらざるべからず。
Ohne Furcht und Heuchelei,
恐れを去り偽善を捨てて言い表すべし、
Daß er Gott und Heiland sei.
キリストこそ神にして救い主なれ、と。
☆ 第六曲 コラール合唱(四声部;トランペット、オーボエ、弦楽、通奏低音)
Wohl mir, daß ich Jesum habe,
幸いなるかな、我はイエスを得たり。
O wie feste halt ich ihn,
おお、我はイエスをいかに固く抱きしむるか、
Daß er mir mein Herze labe,
そは彼、我が心を慰め活かし給うゆえに、
Wenn ich krank und traurig bin.
我が病みて悲しみおる時しも。
Jesum hab ich, der mich liebet
イエス君を我は得たり。彼我を愛し、
Und sich mir zu eigen gibet;
己が身を我が身代わりに与え給えり。
Ach drum laß ich Jesum nicht,
ああ、されば我はイエスを離しまつらじ。
Wenn mir gleich mein Herze bricht.
よし我が胸は破れ果つるとも。
☆ 第九曲 詠唱(バス;トランペット、オーボエ、弦楽、通奏低音)
Ich will von Jesu Wundern singen
我はイエスの奇しき御業を誉め歌わん、
Und ihm der Lippen Opfer bringen,
而してイエスに唇の献げ物を上げ奉らん。
Er wird nach seiner Liebe Bund
彼はその愛の契りに従いて、
Das schwache Fleisch, den irdschen Mund
この弱き肉と、土くれなる拙き口をば
Durch heilges Feuer kräftig zwingen.
聖なる火もて力つけ、奮い立たしめ給わん。
☆ 第十曲 コラール合唱(四声部;第六曲と同一楽曲)
Jesus bleibet meine Freude,
イエスは変わりなき我が喜び、
Meines Herzens Trost und Saft,
我が心を慰め潤す生命の君、
Jesus wehret allem Leide,
イエスは諸々の禍を防ぎ、
Er ist meines Lebens Kraft,
我が生命の力、
Meiner Augen Lust und Sonne,
我が目の喜び楽しむ太陽、
Meiner Seele Schatz und Wonne;
我が魂の宝また嬉しき宿りとなり給う。
Darum laß ich Jesum nicht
ゆえに我はイエスをば離さじ、
Aus dem Herzen und Gesicht.
この心と眼を注ぎ奉りて。
所持するCDは、リヒター指揮アンスバッハ・バッハ週間管弦楽団のハイルブロンに於けるステレオ録音(昭和三六年)盤です。なかなか気に入ってます。
ありがとうございました。
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