《 第69話 》 「脱がされた仮面」
【 あらすじ 】 アジトに戻ったどくろ仮面は、ドラゴンに祝が一味に変装して潜入したことを知らされ、配下たちに覆面を取るように指示する。覆面を取って正体を明かした祝。そして、正体を見抜かれたどくろ仮面は遂に素顔を現すのだった。
どくろ仮面月島埠頭第四アジト。
どくろ 「いいか。いよいよ我々の目的が実現するのだ。この地図によると、ジョー発爆弾は、安全な所に隠されているらしい。我々は、ジョー発爆弾の機密を手に入れたら、直ちに欧州に飛ぶ。そのつもりで、みんなも頑張れっ。」
手下ども 「お~うっ!」
どくろ ドラゴンが耳打ち 「なにい? この中に祝十郎が? おい、一人一人マスクを取って顔を見せろっ。」
ドラゴン 「早くしなさい。」
手下ども 「はっ。」と言って、黒覆面を取る。
どくろ 「わかった。」 指さし 「貴様、祝だなっ!」
祝 「ふっふっふ。さすがはどくろ仮面。いかにもマスクを取って見せよう。」 黒覆面を取る。
どくろ 「ひゃはっはっはっは。思った通り祝十郎。気の毒だが生きては帰れんぞお。」
ドラゴン 「このアジトを見納めにするのだ。」
祝 「ふっふっふっふ。お前がドラゴンだな。タイガーを射殺した犯人だ。」
ドラゴン 「よろしい。そうわかれば、なおさら生きていられては拙い。」
どくろ 「おい、おとなしく降参をしろ。」
祝 「動くなっ。悪魔に屈服はせん。それより、そのどくろ仮面を取って、もっと気楽な顔を現したらどうだ。どくろ仮面とは、すなはち、外には科学者の良心を売り物にし、内には悪魔の爪を忍ばせた赤星博士以外の誰でもない。」
どくろ 「ふっへっへっへっへ。よ~し、そうと知られたからには仕方がない。地獄への土産に見せてやる。」 仮面を取る。 「さあ見ろ。ふっはっはっはっは。驚いたか。」 拳銃を取り出し 「おい、覚悟をしろ。」
祝 とみを盾に 「君たちの仲間であるとみさんが撃てるのか。」
とみ 悲痛に 「待って。待ってよ。」
赤星 「ん~ん、くたばれっ。」 定まらぬ照準の拳銃を発射。
とみ 「うう~ん。」 崩れ落ちる。
赤星 「しまったっ。」
しばらく銃撃戦。祝は姿を消し、そこへ「月光仮面の歌」
赤星 恐怖に 「あっ、おのれっ。」 と、めくら撃ち。 「何をボサッとしとるかっ。早く周りを調べろっ。」
手下ども 「はっ。」
どくろ仮面が祝を撃とうとして、心ならずも愛人のおとみさんを撃ち殺してしまいました。しかし、普通は、如何に悪逆非道な人間であろうと、最愛の人を盾に取られたら、容易に撃てるものではない。祝には、その「読み」があったはずです。
だが、運命とは皮肉なもの。正邪ともに思惑が外れて、「今や世界は正義も邪もなく・・。」(第48話)の月光仮面の台詞が成就されてしまいます。
ここが「作り話」たる所以なのでしょうが、一旦悪に走れば、気づいても時既に遅し、末路は身内に裏切られて死ぬしかない。このことを作者(川内康範)は訴えたかったのではありますまいか。
柳木博士邸。
博士 「月光仮面、それに祝君はどうしたか・・。みんなを巻き込む事件が、お父さんの発明したジョー発爆弾のためだとしたら・・。(嘆声)ああ~、私は科学者というものの立場がわからなくなってきた。」
節子 「先生、兄のために、いろいろご心配をおかけして、申しわけありません。」
博士 「いや、そうじゃない。この世の中に悪い者がいる限り、誰かがその悪と戦って犠牲にならなければならないのだ。悲しいことだが、これが現実なんだ。」
あや子 「もしものことがあったら、あたくしが繁ちゃんと木の実ちゃんを育てるわ。十郎さんは、あの子たちの親を捜してやるんだって、いつも言ってらしたわ。」
博士の苦悩は、善かれと思って為した研究が、己の信念に反して、人々を不幸に陥れる結果となっていることへの苛立ちでしょう。節子の場合は、兄のために迷惑をかけてしまったとの悔悟の念ですね。
一方、あや子の場合は、最悪の事態を考えて、祝の遺志(?)を継ぐことを決心しています。つまり、祝と一心同体であることを意味しましょう。“台詞起こし”は、全体のほんの一部に過ぎないので、これだけではわかりませんが、全篇を視聴した感じでは、月光仮面とは祝の化身であり、またあや子の化身でもある、という気がしています。
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