《 第68話 》 「ジョー発爆弾の秘密は!」
【 あらすじ 】 タイガーを襲ったどくろ仮面一味を追跡した月光仮面は配下の男を捕えるが、ドラゴンは逃げる。節子は波止場でどくろ一味と会い、山本記者と引き換えにロケットを渡す。山本を解放したどくろ仮面は一味を連れて引き上げ、祝は変装して紛れ込む。
どくろ仮面指定の月島埠頭第三波止場。
とみ 「あっ、来たわ。」
どくろ 「ふぃへっへっへっへ。さすがは新聞記者の妹だ。」
ドラゴン 「節子さんですね。」
節子 「はい。」
どくろ 「約束の物は持ってきたか。」
節子 頷いて 「それより兄を。兄が無事かどうか見せてください。」
どくろ 「よし、わかった。連れてこい。」
節子 「あっ、お兄様。」
山本 「おっ、節子。」
どくろ 「や、や、待て。約束の物を渡してからにしろ。早くしろ。」
山本 「節子。お前、何をしようというんだ。」
どくろ 「(山本に)黙れっ。」
とみ 「さ、お出し。」
どくろ 「ふぃへっへっへっへ。どうやら間違いはないようだ。よし、さあ、山本を放してやれ。」 山本を解放、ロケットを手に 「この中に秘密書類がある。ひっはっはっはっは。とうとう俺の手に秘密書類が。あっはっはっはっはっは。」
どくろ一味がアジトへ引き揚げたあと屋外に残る二人。
節子 「お兄様。あの中には、祝さんがいらっしゃるのよ。」
山本 「だから心配なんだ。いったいどくろに渡した中身は何なんだ。」
節子 「ジョー発爆弾の秘密の在処を書き留めた地図です。」
山本 「ば、馬鹿なっ。馬鹿なことをするなっ。」
節子 「でも、月光仮面が。それに、祝さんも承知です。」
どくろ仮面は、えらくあっさり山本を解放しましたね。悪党にも、悪党なりの「道」があった時代なればこそでしょう。大げさに言うなら、武士道精神とか、大和魂といった“日本人本来の心”の残滓を、ここに感じ取るのであります。
事情を知らない山本は、機密を渡すぐらいなら、自分が死んだほうがまし、との思いがあり、バテレンお由にしても、悪婆ではあるが、月光仮面に向かって「さあ、撃ってくれ。」という台詞(第63話)を吐いています。正義であれ悪党であれ、この覚悟と潔さ。「作り話」だからこそ可能だとも言えますが、当時の視聴者側(つまり“団塊の世代”)に、これ(伝統的な日本人の心)に対する共感がなければ、成り立たなかったシナリオではないでしょうか。
それに比べると、今時の事件のほうがよっぽど怖い。「誰でもよかった。」などと目的なき凶悪殺人事件が発生するのですから。
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