《 第60話 》 「張られたワナ」
【 あらすじ 】 記事を見て祝事務所にやっていたカボ子は、その記事がどくろ仮面を欺くための嘘だと教えなかった五郎八を叱る。その頃、どくろ仮面は、盗み出したオルゴールとドラゴンの眠り爆弾を使って月光仮面を抹殺する計画を立て、オルゴールを鳴らす。
鍵のかかった祝探偵事務所門前。
カボ子 「う~ん、五郎八のやつ、何処行ったんだろう? 祝先生、死んじゃったっていうのに。あ~どうしよう。」
節子 「カボ子さん。こんにちは。」
カボ子 お辞儀しながら 「ああ、節子さん、いらっしゃい。」
節子 「どうなすったの?」
カボ子 「留守なのよ。あたしね、新聞見て、驚いて飛んできたっていうのに、鍵はかかっているし、五郎八はいないし・・。」
節子 「ふ~ん、繁ちゃんや木の実ちゃんは?」
カボ子 「だ~っれも居ないのよ。あら? せ・つ・こ・さん、あ・な・た、ちっとも驚いていないわね。あの~、これ、あなたのお兄さんの新聞でしょ?」
節子 「ええ。」
カボ子 「あら? だったら驚いてよお~。祝先生、爆死したのよっ。」
節子 「ええ、知ってるわ。」
カボ子 手で口を覆いながら 「んまあ、あ・き・れ・た。」
謀(はかりごと)はしょせん謀。こうした不自然な態度によって、口から洩れなくとも、ウソがわかってしまうものです。
節子さんのほうは、記事の裏(祝は無事)を知っているわけで、知らないカボ子さんに、身内同然の祝が死んだというのに、平然としていられる節子さんが奇異に映るのは、当然でしょう。
その夜、祝探偵事務所にて。
カボ子 「じゃあ、八時になれば連絡があるのね。」
五郎八 「そうだよ。ねえ、山本さん。」
山本 「ああ、必ずあるよ。」
カボ子 「んっん、五郎八さんも人が悪いわね。それならそうと私に教えてくれてもよかったでしょ。ずいぶん心配しちゃったわ。」
五郎八 「ところがね、女は口が軽いからさ、迂闊には喋れないんだよ。(山本に)ねえ。」
カボ子 「んまあ、ひどい。じゃあ、節子さんは固いって言うの?」
節子 「あら、そんな。喧嘩しちゃ困るわ。私はお兄様の記事の裏を読み取っただけですもの。」
五郎八 「(カボ子に) ほ~ら、みろ。要は頭だよ、アタマ。」
カボ子 「何言ってんのよ。かぼちゃアタマのくせに。」
五郎八 「あっりゃあ、かぼちゃアタマとは何だよ。カボ子ちゃんなんかと婚約してるからね、こんなことになったんだよおっ。」
カボ子 腕まくりしながら 「あらあ、言ったわねえ。」
五郎八 小さくなって 「あ、いえ、そのう。ごめんなさい。」
節子 「おほほほ。五郎八さんって、全然カボ子ちゃんに弱いのね。」
山本 「名探偵袋五郎八君も、女の子には弱いな。」
五郎八 「そう言っちゃねえ~。」
ね、最後はこうなるんです。重大なる秘密(祝情報)をうっかりカボ子さんに洩らしたのは、五郎八氏じゃなかったかな。(第54話)
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