■ 第二十五課 拾物屆
二月十四日ノ朝、崔允明ハ學校ヘ行ク途中デ、ガマ口ヲ拾ヒマシタノデ、ソレヲドウシテヨイカ、先生ニ尋ネマシタ。
先生ハ
「拾物ハ必ズ警察署カ憲兵隊ニ屆ケナケレバナラナイ。
屆ケルニハ、口頭デモ差支ナイガ、屆書ノ方ガヨイ。」
ト言ツテ、其ノ書式ヲ教ヘラレマシタ。
ソコデ允明ハ左ノ屆書ニガマ口ヲ添ヘテ、警察署ニ持ツテ行キマシタ。
拾 物 屆
一、ガマ口 一箇
金壹圓貳拾五錢入
右本日午前八時半壽松洞ニ於テ拾ヒ取候間
御屆申上候也
京城附安國洞百十七番地
崔 允 明
大正四年二月十四日
京城鍾路警察署御中
・ 練 習
一、拾物ヲシタ時ノ心得ヲオ話シナサイ。
二、ガマ口ヲ拾ツタ時ノ屆書ヲ、書イテゴランナサイ。
如何にも「正直」を奨励した時代らしい単元ですね。今では多分、学校で教わらないものの一つでしょう。自分も戦後教育で育った世代ですから、当然に学科としては教わっていませんが、「正直」を是としてきました。同様に現代っ子といえども、概ねその気持ちは変わってないと思うのであります。
というのも、学校だけが教育機会のすべてではない。一日の中、学校に居る時間は三分の一程度。残りは家庭を中心に校外で過ごし、その環境下で見聞きしたものも吸収しながら成長していくわけであります。
こうして、戦前の教科書を転載するにしたがって、戦後の教育からすっぽり抜け落ちているものが見えてきます。
この朝鮮総督府のシリーズを終えた時点で、自分なりにまとめてみたいと思っています。
ありがとうございました。
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