タイ國を初めて訪れたのは、もう20年ほど前だ。古都チェンマイ(またはタイ北部地方)は、なぜか不思議な魅力を感じる。大げさに言えば、純心だった頃の自分が知りたかった「生きるうえで、最も大切なものは何か」という命題を思い出させてくれたからだ。最初は、よからぬ動機から職場の友人を誘って行ったのだが、タイ北部人の意識構造に、大いなる興味を抱いた。
初対面のときは20歳代だった当地における唯一の知人(チェンマイの日本語ガイド)は、もう46歳になる。長女(高校生)、長男(中学生)の父親である。彼とは日泰比較談義を交わすことが多くなった。
國民學校初等科二(四年生用)修身教科書「山田長政」を読み聞かせたところ、まったく同じ内容を、中学校で教わったと、彼は言った。
アジア近現代史については、日露戦争の日本勝利で、植民地解放気運が盛り上がり、大東亜戦争において、白人支配に対する日本の勇気ある行動によって、多くのアジア諸国が独立できた、との認識も示した。これも、中学校で教わることだそうだ。
先の大戦で、タイは日本側に付いたため、戦後は敗戦国扱となったが、日本と違って占領されずに済んだことから、戦前戦中の日本を悪とするフィルターがかかっていない分、歴史観の一貫性が保たれているのかもしれない。
2006年6月14日(水)の記事
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