電子技術が発達して、デジタル万能の世の中だ。便利かもしれないが、弊害も多い。デジタル信号は、二進法である。0と1の数字しかない。「ある」か「ない」、「白」か「黒」、「善」か「悪」など、常に二者択一を迫る世界である。しかし、世の中は、二進法ばかりではない。一般的な数学は、十進法であり、暦(月)や時計(時)は十二進法である。さらに、時刻(分・秒)や干支は六十進法を採用しており、ほかに二十進法だってある。
西暦2000年を記念して、二千円札が出たが、市場に出回ることなく、いつの間にか消えていった。日本の貨幣は、1と5の単位なので、使いづらいからであろう。欧州旅行の際、ウィーンのリムジンバスでこんなことがあった。運賃70シリングを、100シリング札でおつりをもらおうとした。すると、運転手が「10シリング硬貨がないか」と聞く。意味がわからず、「ない」と答えると、舌打ちしながら20シリング札と10シリング硬貨でおつりをくれた。硬貨は外国では使えない。運転手は、紙幣の方が何かと便利、と気を利かせてくれたのだ。空港で両替するまで、気がつかなかった。20の紙幣単位があることに、頭が及ばなかったのである。
これがインドネシアになると、すさまじい。100ルピアが約1円だから、両替すると、札束の山となる。やっかいなのは、2000ルピアとか20000ルピア紙幣が混じってくると、もういけない。頭がこんがらがって検算するのも嫌になる。それを狙い、日本人相手に、わざと複雑にして誤魔化す悪徳両替商がいるので要注意だ。
ところで、二者択一のデジタル思考は、完全に欧米型である。日本人は、曖昧な国民性と言われるように、多様性を持っている。いわばアナログ思考の代表といえよう。ともに長短両面ある。前者が、決断がすばやくできて、明快であるのに対し、後者は、決断が遅くなりがちで、曖昧になりやすいが、多面的な考察ができるよさがある。
2006年3月2日(木)の記事
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