いつもの縄のれんで、遅めの昼食をとった。本業は夜の飲み屋だが、ビジネス客用にランチタイムも開店している。20席程度の小ぢんまりした庵だ。午後1時を回っていたので、客は5・6人しかいなかった。「さんま定食」ができるまで、ひまつぶしに客の様子を観察してみた。
時間が時間だけに、ビジネス客は来ない。代わって、若いカップルや学生風の客が次々と入ってくる。「日替わり定食」が目玉メニューのようで、例外なくこれを注文する。しかし、限定メニューらしく「本日終了」を店員が告げる。彼らは、これまた例外なく、一度座った席を立ち、別の店へと去っていく。お茶を出したり引っ込めたり、店員は大忙しだ。そこへ、現場服姿の50代父っつあん風二人組のご入場。お決まりの「日替わり定食」をご注文なさったが、当然店員に切り口上を告げられる。しかし、この後の反応が、若者たちとは違っていた。「しょうがないなあ」といった顔つきで別のメニューをご選択あそばされたのである。
どちらがよいか、を問うているのではない。自分なら、父っつあんチームと同じ行動をとったであろう。これが、世代間のギャップというものか。団塊の世代は、嫌いな物でも食べざるを得ない時代を経験している。今ほど物がなかったからだ。現在は違う。嫌なら他にいくらでもある。「おまんま」のありがたさが、豊かになるほど薄れていくようだ。
2006年2月14日(火)の記事
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