19世紀までは、白人支配の時代だった。そうしたなかで、20世紀前半の日本だけは、欧米列強と肩を並べる唯一の国家に伸しあがれた。世界の一等国として尊敬も集めた。何故だろう。いち早く近代化を進め、日清・日露戦争に勝利して強さを証明したこともあるが、何より高い道徳観念を備えていたからだ。
支配階級(武士)から庶民(町人・農民)に至るまで、貧乏を恥とせず、自然の恵みに感謝しつつ、お互いが助け合い、分相応の生活に満足していた。フランシスコ・ザビエルをはじめ、南蛮渡来した白人は、他民族には見られないこの優れた特性を、一様に驚嘆している。明治維新にしても、支配階級(武士)自らが特権を捨てた。他国には、到底考えられないことだったろう。当時の日本人は、みんな「勇気」を持っていた。私欲を捨てる「勇気」、弱者を助ける「勇気」、悪を正す「勇気」、強者に立ち向かう「勇気」。どれも尊いものである。
翻って、戦後の日本はどうだろう。目覚ましい経済発展を遂げ、世界有数の金満国家となった。中・韓両国を除いて、嫌われてはいないかもしれないが、尊敬もされていないように思う。他国からは、私欲に溺れ、弱者をいじめ、悪を放置し、強者に媚びているように映るからだ。
今こそ「勇気」を取り戻すときだ。
2006年2月16日(木)の記事
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