日本人作曲・演奏のクラシック音楽を、「J-Classic」と称するのだそうだ。いつごろから、こう呼ばれているのかは、知らない。しかし、多くのCDショップに、このコーナーがある。そんなわけで、クラシックにうつつを抜かしていた、学生時代を思い出した。
昭和30年代後半は、学生にとって、レコードがかなり高価な時代である。代わりに、NHK-FMとFM東海(後にFM東京)を夢中で聴いていた。テレビでも定期番組があった。渡辺暁雄or小沢征爾&日本フィル(フジTV)、芥川也寸志or山田和男or森正&東京交響楽団(TBS)、岩城宏之or外山雄三&NHK交響楽団(NHK)、大町陽一郎&東京フィル(NET)など。とりわけ、渡辺暁雄さんの穏やかな語り口が好きだったし、シベリウスの作品にはじめて接して、寂寥感漂う演奏に、これまたのめり込んでいった。はっきり言って、技術的な水準は、現在の比ではない。でも、音楽を聴けるだけで、喜びがあった。
ところで、日本人作曲家の作品は、主にこうした番組で取り上げられていた。そして、武満徹、黛敏郎、間宮芳生、芥川也寸志、伊福部昭、外山雄三らを知った。黛は政治臭が強く、武満は鋭すぎて近寄り難かったが、間宮、芥川、伊福部の音楽に惹かれた。彼らは、映画音楽やテレビ音楽も書いていたので、その影響もあったのであろう。なかでも、伊福部の音楽は、「ゴジラ」をはじめ、特撮映画で耳を慣らされてしまったのかもしれない。曲自体は、おどろおどろしいが、克己を果たして未来を創造する自分を想像していた。氏は、今月中旬に亡くなられたそうで、残念である。浮世離れした日々を過ごしているので、まったく知らなかった。
彼らの先輩には、山田耕筰がいる。わが母校(高校)校歌を作曲してくれているが、特別な感情はない。それよりも、橋本国彦がすばらしい。戦前の軍歌を聴き、最近になって名前を知った。交響曲第1番には、「紀元節」の旋律が用いられており、涙腺を揺さぶらずにはおかない。戦中の国策協力が、仇となったのであろうが、まことにもったいない話である。
2006年2月27日(月)の記事
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