中国経済の失速は、習近平氏がインドもアメリカも「行きたくない」ほどの厳しさ
9/13(水) 17:30配信/ニッポン放送電子版
数量政策学者の高橋洋一が9月13日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。国連総会に王毅外相が欠席する見通しとなった中国政府の方針について解説した。
■中国・王毅外相、国連総会欠席か 米中首脳会談に影響も
~アメリカの「来て欲しい」という提案に「乗らないよ」ということか
アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルは、中国政府が9月19日からニューヨークで始まる国連総会一般討論に韓正国家副主席を派遣する予定だと伝えた。中国外交トップの王毅共産党政治局員兼外相は欠席する見通し。
飯田)韓正氏は主に儀礼的な役割を担っているようです。王毅氏は出席しないことになりました。
高橋)習近平氏もインドで開かれた20ヵ国・地域首脳会議(G20サミット)に行かなかったので、内向きになっているのかも知れませんね。アメリカの方は「来て欲しい」と言っているけれど、「それには乗らないよ」ということでしょうか。
■アメリカへ出向くという形になり、国内に説明しにくい
~成果もさほど期待できない
飯田)11月にサンフランシスコでアジア太平洋経済協力会議(APEC)が行われます。アメリカ側としては、そのタイミングで米中首脳会談を行いたいということが報じられていました。
高橋)アメリカに行くのが嫌なのではないでしょうか。アメリカにわざわざ行って首脳会談を開くことは、習近平氏にとっては不本意でしょう。国内に説明しづらいではないですか。
飯田)出向く形になってしまう。
高橋)「APECは持ち回りだ」などと言うけれど、中国国民には関係ありませんからね。「わざわざアメリカに行ってやるのか」という話になってしまうと、習近平氏の3期目の威厳に関わる可能性も出てきます。よほど成果があればいいけれど、そういう感じはしないでしょう?
飯田)何か成果が出るような方向にはなりそうもないし……。
高橋)せいぜい、いくつかの輸出規制を解いてもらうというレベルです。だから習近平氏は、APECには行きたくないのではないでしょうか。
■習近平氏がインドで開催されたG20サミットへ出席しなかった理由
飯田)これまで中国は、G20には毎回出席していましたが、今回インドで開かれたG20は欠席しました。
高橋)行かなかったですよね。プーチン氏が来ないので、行けば各国から叩かれるから嫌だったのでしょうが、インドで開催されることも嫌なのだと思います。
飯田)インドとは国境紛争を抱えていますからね。
高橋)これまでもインドと中国で覇権を争っているわけではないですか。
飯田)「グローバルサウスの盟主はどちらだ」というような。
高橋)インドの土俵に行ってやるのが嫌だったという考えもあると思います。そうすると、アメリカに行くのも嫌なのではないでしょうか。
■APECの開催がアメリカでなければ首脳会談に行くかも知れないが
飯田)アメリカ側としては、「対話のチャンネルは残しておきたい」という思いがあるのか、最近はブリンケン国務長官やレモンド商務長官、イエレン財務長官などが訪中しています。その流れで「首脳会談も」というような報道が一部ありました。
高橋)APECの開催地がアメリカではなく、東南アジアなどであれば行われるかも知れませんが、今回はG20の議長国がインドで、APECがアメリカでしょう? 行くのが嫌だと駄々をこねている感じがします。
飯田)どこかの第三国で開催される可能性もありますか?
高橋)APECがですか?
飯田)あるいは首脳会談のみでも。
高橋)首脳会談のみをどこかで行う可能性は、なくはないと思うけれど、どうなることやら。
■バイデン大統領、岸田総理は国連総会出席へ
~習近平氏の出席はないか
飯田)バイデン大統領や岸田総理は、国連総会に出席する予定だと言われています。
高橋)岸田総理は出席すると思いますが、まさか習近平氏は行かないでしょう。アメリカに行きたくないのではないでしょうか。
飯田)なるほど。
高橋)国内向けとして、中国国内は景気が悪いし、あまりいい成果がなさそうなときに行くのはよくないという考えかも知れませんね。
■不動産取り引きがGDPの3割を占める中国
~不良債権問題で中国のGDPはかなり悪くなっているはず
飯田)やはり中国経済は相当厳しい状況ですか?
高橋)厳しいですね。不良債権問題で大変なのですよ。日本もバブルのときは大変だったけれど、日本の不良債権は100兆円レベルでした。中国の場合、不動産の1社だけで40兆円くらいです。もう1社加えると60兆円レベルだから、全部合わせるとものすごい数字です。
飯田)すべての不良債権を合わせると。
高橋)地方に関しても「影の銀行(シャドーバンキング)」の話があって、「地方融資平台(Local Government Financing Vehicles)」というものですね。国際通貨基金(IMF)の推計では約1300兆円、民間の推計では約1800兆円の負債があると言われています。官民全部合わせると3000兆円ぐらいになる。
■中国には破綻法制がないので不動産取り引きが収縮している
高橋)すごい不良債権の量です。中国には破綻法制がなく、破綻させないからみんな疑心暗鬼になるのです。売掛金が全部吹っ飛ぶ形になるので、取り引きが大きく収縮します。
飯田)売掛金が飛んでしまう可能性が出てくるので。
高橋)破綻法制があって、「ここはダメだけれどここは大丈夫」とわかれば取り引きできるけれど、いまはまったくわからないから、不動産取り引きはやりにくいですね。中国の不動産取り引きは国内総生産(GDP)の3割ですから、GDPはすごく悪くなっているはずですよ。
飯田)でも、信用収縮が起こってしまうと……。
高橋)影響は大きいですね。
飯田)土地だと不動産をテコにして、別の事業を行うという方法も機能しなくなりますか?
高橋)景気のいいときには加速度で、不動産取り引きの何倍かの経済取り引きができるけれど、不動産取り引きが収縮してしまうとマイナスの影響も大きいのです。いま中国経済はそこに陥っていると見ています。
飯田)普通に「お金を借りて設備投資をしよう」というところも収縮してしまう。
高橋)当然でしょうね。GDPの3割ですから、そこが収縮してしまったら影響は大きいと思います。普通の国だと不動産取り引きは1割ぐらいしかないのです。
■破産事例がない中国 ~習近平氏が破産させない
飯田)全部を政府が支える形になるのですか?
高橋)処理しないと、どこかがダメになってしまうのですが、政府が抱えるのも難しいと思います。一般的には民間で、業績の悪いところは処理するというのが破産法制です。大きな問題が出たら、悪かったところだけに公的資金を注入するのが一般的なやり方です。
飯田)通常は。
高橋)それを全部政府が抱えるのは無理だと思いますし、歴史上こんなに大きい債務はほとんどないから、どうすればいいかよくわからないですね。私は昔、不良債権の償却大魔王と言われていましたが、こんなに大きいと処置の仕方がよくわからないです。
飯田)高橋さんが扱ったのは……。
高橋)たった100兆円でした。何千兆円などと言われたら、気が遠くなってしまってわからないですよ。オーソドックスに言うと、破産法制で潰すところは潰すしかないのだけれど、習近平さんはできないわけでしょう?
飯田)破産法制を行うには、まず物差しをつくって債務を確定させ、その上で「これはダメ、これはよい」と分ける。ダメなところは潰し、いいところには資本注入してもたせると。
高橋)だって習近平さんが「破産させるな」と言っているのだから。中国で破産事例がないというのは、そういうことでしょう。
コメント総数;104件
一、習近平も権力にしがみ付きたかったのでしょうが、今中国が抱えている様々な問題を考えたら、3期目などせずに後任に譲ってしまった方が良かったのかもね。最初は、賢い人なのかとも思ってましたが、そうでもなさそうだなと思うようになりました。集団指導体制でいた方が、問題発生を事前に察知できたでしょうし、色々軌道修正もできたのだと思います。今はYESマンの取り巻きだけになっているのでしょうから、問題解決に向かっていくことも難しいと思いますので更に大混乱でしょうね。将来、中国の歴史では習近平時代は文化大革命みたいにネガティブに捉えられることになることもあるかも。
二、早く中国から日本人は全面撤退しないと、何をされるかわからない。気に入らないと無実の罪で逮捕監禁の可能性があり、その家族も出国禁止になるかも。金がなくなると、ポルポトのキリングフィールドになることもありうる。
三、袋叩き
インドは同じチームレッドでもロシア寄り。アメリカなどいうに及ばず。世界で仲良くしてくれる国が少ないので出向けないのでしょうね。長期間国内を開けるとその立場を狙うものが現れるのか。
国民の不満を国外の問題にすり替えて誤魔化しているものの、そんなまやかしは長く続かないでしょうね。
この体制もそんな長くない気がします。世界には政治家の任期が2期8年という国も散見しますが、それが妥当なのだと改めて思わされます。
米国大統領選挙もどうなるでしょうね。
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ラヂオ局「ニッポン放送」はフジサンケイグループだから、親米右派メディアと見做されている。独立不羈を真正保守派の国家観とするなら、反中国・ロシア・北朝鮮の論調は間違ってないとしても、米国依存度が強すぎる印象を拭えない。
【独立不羈】-どくりつふき-
他からの束縛を全く受けないこと。
他から制御されることなく、みずからの考えで事を行うこと。
唐突ながら人間の性(さが)は〝性善説″と〝性悪説″に分かれるとされる。何れも古代シナ聖賢の教えだ。ただし、これは究極の二分論であって、現実には善いことをすれば悪いこともするのが人間なのである。こうした二分論に憑りつかれると思わぬ落とし穴に嵌ることになるから、自分は好まない。
【性善説】
人の本性は先天的に善であるとする説。
中国の孟子が首唱したもので、人間の本性は生まれながらにして善であり、悪い行為は、物欲の心がこの性をおおうことによって生ずる後天的なものであると主張する説
【性悪説】
人の本性は先天的に悪であるとする説。
中国の荀子が首唱したもので、人間のうまれつきは悪であって、善なる行為は教育、学問、修養など後天的な作為によって生ずると主張する説。
しかし、話を進めるうえで敢えて現代国家の分類に当て嵌めるとすれば、性善国家はほぼ我国だけで、圧倒的大多数が性悪国家と言わざるを得ない。それは、世界史を紐解けば容易に想像できよう。いやいや、そもそも分類方法が適切でなかった。恰も我国だけが善人で、他国は総て悪人のように誤解されかねない。『古事記』に倣ってやっぱりここはシラスとウシハクで分けるべきだった。
【シラス】-知らす・治らす・統らす-・・・神代高天原(皇統)系の治世イメージ
♦万物を自然界全体の共有物(=共有財産)とする考え方
→互助互譲互恵・共存共栄を旨とした高信頼型国造り
【ウシハク】-主佩く-・・・神代大国主命(≒渡来人)系の治世イメージ
♦万物を主(ぬし=支配者)の所有物(=私有財産)とする考え方
→弱肉強食の階級闘争型社会
【階級闘争】
対立する階級間で、経済的、政治的、文化的な支配権を得るための闘争。
マルクス主義では歴史発展の基本的動因とされた。
典型的なウシハク国家である現代中国の場合、万物が支配者(中国共産党=習近平)の私有物と考えられ、人民(国民)は牛馬同然の家畜(奴隷)に過ぎず、民主主義については西側の常識である「民是主(民が主権(支配)者)」とはまったくあべこべに「民的主(民の支配者」とする解釈を嘯いているのである。。
結局、彼ら(中国共産党)が非難してきた19~20世紀欧米列強の「帝国主義(≒植民地主義)」を今世紀になって猿真似しているだけの単なる時代錯誤者に過ぎないのだ。
【植民地主義】
発達した資本主義国が政治上、経済上、軍事上の圧力を背景に、一国の独立を奪い、自国の植民地(奴隷労働・搾取の温床となった)にする主義、政策。
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