TPP、英国加盟で合意
協定発効以降、新規加盟は初
3/31(金) 8:40配信/毎日新聞電子版
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に参加する日本など11カ国は31日、英国の加盟を認めることで合意した。2018年に協定が発効して以降、新規加盟が認められるのは初めて。英国の加盟により、TPP経済圏はアジア太平洋地域から欧州へと拡大することになる。
31日にオンラインで開いた閣僚級会合で合意した。英国は早ければ7月にニュージーランドで開催される閣僚級の「TPP委員会」で協定文書に署名する見通し。署名後、各国の承認手続きを経て、英国の加盟が正式決定する。
英国は20年末に欧州連合(EU)から離脱完了し、EU以外との経済関係を強化する狙いから21年2月にTPPへの加盟を申請した。英国が加盟すれば、世界全体の国内総生産(GDP)に占めるTPP加盟国の合計は12%から15%に拡大する。
TPPは16年に日本やオーストラリアなど12カ国で署名したが、米国がトランプ政権下の17年に離脱し、バイデン政権もTPPへの復帰に消極的だ。一方、21年9月に中国、台湾が加盟を申請。その後エクアドル、コスタリカ、ウルグアイも申請している。TPPを主導する日本は英国の加盟を協定拡大の呼び水にしたい考えだ。
英国の加盟後は、中国、台湾との加盟交渉が焦点になる。中国は国有企業への不透明な補助金や進出企業に対する技術移転の強要などが問題視されており、日本など参加国はTPPが掲げる「高水準のルールに基づく自由貿易」を維持できるよう厳しく審査する構えだ。
【平塚裕介】
コメント総数;349件
■石川智久(日本総合研究所上席主任研究員)
太平洋を中心とした経済連携協定であるTPPが、英国の瓶により、グローバルな経済連携協定へとスケールアップしたと見ることができます。日本の経済圏拡大という意味で基本的に良い動きと思います。日本としては、TPPを梃子に英国との経済や安保の面で連携強化を図ることが重要です。また、TPPに対しては、中国、台湾、エクアドル、コスタリカ、ウルグアイが加盟を申請しています。次の焦点は、これらの国の加盟に移ります。とりわけ大きな課題は中国の取り扱いです。中国については、TPPに対して様々な要求をしていることや、台湾との外交問題もあり、簡単には加盟することは難しいと思います。日本としては、加盟国が増える際には、日本の国益が損なわれないように、外交力を発揮する必要があります。さらに、英国の加盟を契機に、他の欧州諸国や民主主義国家を招き入れて、日本に有利な形でTPPを拡大していく必要があります。
■白鳥浩(法政大学大学院教授/現代政治分析)
イギリスが環太平洋パートナーシップ協定(TPP、CPTPPやTPP11ともいわれる)に加盟することで大筋の合意を見た。
2018年の協定発効以降、新規加盟国となったのは初めてであるという。ほぼ同時にフィンランドのNATO加盟も確実となったことも伝えられており、世界政治は激変の時代を迎えることとなる。
もともと環太平洋諸国だけで始まったTPPであるが、太平洋に領土を持ち「世界帝国」の側面を持っているイギリスが加盟することの意味は大きい。というのも単にヨーロッパへのゲートウェーを持つだけではなく、イギリス連邦(旧ブリティッシュコモンウェルス)というインド洋やアフリカなどを含む新たなマーケットへの経路を獲得することも視野に入って来る。
イギリスの加盟で、TPPはこうした単なる環太平洋の地域ブロックを乗り越えて、世界大に広がる可能性もある。
一、米国が抜けた後のTPPをまとめ上げたことはもっと評価する報道が有っていいでしょう。日本のメディアは政府を評価することにおよび腰ですよね。批判の方が楽ですからね。事実、TPP反対的報道は多かったですが、いまや無かったことみたいになってますし。
二、これは喜ばしい事じゃないんでしょうか?
イギリスなら、中国や韓国に比べてはるかに歩調を合わせられるし、認識も共有できると思う。
もともとTPPは対中国の側面もあったと思いますから、中国を牽制するという意味でもイギリスの加盟はプラスになると思う。
三、欧米の1国でも加入できることは非常に大きいと思います。
これはもっと大きく扱うべきニュースでしょう。
中共の加入をこの記事では取り扱っていますが、現状では論外の話でしょう、対中共を念頭にできた組織なのですから。
むしろ台湾が加入できるようにもっと積極的に進めるべきだと思います。
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*ご参考*
▼環太平洋パートナーシップ協定(TPP=CPTTP)加盟11か国
・日本(2016)・メキシコ(2016)・シンガポール(2005)・ニュージーランド(2005)
・カナダ(2016)・オーストラリア(2016)・ベトナム(2016)・ペルー(2016)
・マレーシア(2016)・チリ(2005)・ブルネイ(2005)/米国(2016→2017脱盟)
★TPP↓
Trans-Pacific Partnership(環太平洋パートナーシップ)
★CPTPP↓
Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership
(環太平洋パートナーシップの包括的先進的な協定)
【パートナーシップ】-partnership-
① 協力関係。共同。提携。
② 英国や米国で、複数の個人または法人が共同で出資し、共同で事業を営む組織。
出資者はパートナーと呼ばれ、組織を所有する。
昨年のロシア(露)・ウクライナ(烏)戦争勃発を機に国際情勢は、独裁統制国家と自由民主国家とが鬩ぎ合う流れになっている。国家防衛(国防)戦略の観点から、政治的には軍事同盟の強化、経済的にはサプライズチェーン(供給網)の確保が生命線となる。露烏戦争はウクライナのNATO加盟を巡る軍事的要因かもしれないが、NATO加盟国を中心としてロシアに経済制裁を科す結果となっている。
これに対してTPPは純然たる経済枠組みである。これを対中包囲網の一環と捉える向きもあるが、日本政府にそのような意図があって加盟したとは思えない。しかし、仮に中国共産党がそう思っているとすれば、これを〝攻め″のカードとして使えるわけだ。戦後政治最大の欠点は、専守防衛を金科玉条に〝守る″ことしか頭にないことである。
今日、中国にあって日本にない物は少ないが、日本にあって中国にない物は莫大な数量にのぼる。何故、これを有効活用しないのか不思議でならない。TPPについて言えば、加盟国の全会一致が承認要件である。つまり、日本が拒否権(?)を発動するだけで中国は加盟出来ないというわけ。まあ、中国に加盟意思があるとは思えず、単なる台湾加盟阻止への嫌がらせに過ぎなかろうが・・・。
反面、このような多国間協定は諸刃の剣でもある。即ち、加盟国は条文に則ってこれを誠実に履行する義務を負うが、未加盟国にとっては何の拘束力もないというわけ。とりわけ我国のような何事も生真面目に遵守する国民性では、逆に自縄自縛ともなりかねない。阻害要因となるようなら脱退すれば済む話だが、戦後政治家はこうした臨機応変の発想が出来かねるようだ。
外交の要諦は「守る」より「攻める」なのだ。
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《追伸》-4月4日(火)-
台湾加油!日本に出来ることはTPPに入れること
高橋洋一チャンネル
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