どうする韓国、中国が怖くて半導体封鎖に加われないのか
「ホワイト国」に再指定すれば日本も同罪
2/10(金) 17:01配信/デイリー新潮電子版
米国が主導する半導体の中国封鎖網。日本とオランダの参加が決まり、残すは韓国だけとなった。米中どちらと手を組むのか――。韓国観察者の鈴置高史氏が二股外交の先行きを読む。
■日蘭が参加、残るは韓国
鈴置:米日蘭の3国は1月27日、先端半導体を製造する装置の対中輸出規制で合意しました。ブルームバーグが「日米とオランダが合意、半導体製造装置の対中輸出規制―関係者」(1月28日、日本語版)で以下のように報じました。
・半導体製造能力増強に動く中国の野心阻止を目指す合意により、バイデン米政権が昨年10月に発表した半導体・同製造装置の対中輸出規制は、主要サプライヤーである東京エレクトロンやニコン、ASMLホールディングを擁する日本とオランダを加えた多国間の枠組みに拡大する。
・関係者によれば、対中輸出制限の合意を公表する予定はなく、日本とオランダが法整備を完了する過程で実施に数カ月かかる可能性もある。
ミソは、日蘭は合意内容を詳細には公表せず、粛々と「封鎖」作業を進めて行くということです。中国との摩擦を最小化するためです。どうせ嫌がらせして来るでしょうが。
日本政府の対応を産経新聞が「半導体の対中輸出規制、今春にも実施へ 省令改正検討」(2月4日)で報じています。
・特定の製品や技術を輸出する際に経済産業相の許可が必要となる外為法の省令を改正し、日本が強みを持つ半導体製造装置が輸出先で軍事利用されないようにする。
・ただ、中国が報復措置をとる可能性も考慮して、中国の名指しは避ける方向だ。
・米国は回路線幅14ナノメートル(1ナノは10億分の1)以下の半導体の先端技術を主な規制対象とした。日本も同様の対応をとる構えだ。
「半導体戦争で板挟みになる韓国 米国の圧迫と中国の嫌がらせ…頼みの綱は日本の輸出管理撤廃」でも指摘した、米国が主導する半導体封鎖網はこれでほぼ完成し、残すは韓国を参加させるだけになったのです。
■米中蜜月時代から台湾は輸出規制
――台湾は?
鈴置:台湾のTSMCは世界最高の高機能ロジックを作りますから、米国は当然、封鎖網に入れたい。もっとも、米国が要請せずとも20世紀から――米中関係が良好だった時から台湾は自主的に先端半導体の対中輸出は控えてきました。
だから、今になって米国が対中輸出規制に加わるよう求める必要はないのです。輸出規制品目を詰めるため非公式には話し合っていると思いますが。
早くも昨年秋から米台は協調して対中封鎖に乗り出しています。ブルームバーグは2022年10月23日、「台湾TSMC、中国有力スタートアップ向けの先端半導体を[の]生産を中止」(日本語版)でTSMCは中国企業が設計した先端半導体の委託生産を中止したと報じました。
一方、韓国はそんな自主規制の制度は持ちませんし、中国の顔色を見る国です。米国は脅し上げてでも韓国の先端半導体の対中輸出を止めるでしょう。
■対ロ制裁でも米国を裏切り
――「脅し上げる」必要はあるのですか?
鈴置:おとなしく頼んでいては、韓国は言うことを聞きません。2022年2月のウクライナ侵攻に伴う対ロシア制裁の時もそうでした。米国は金融制裁に加え、半導体など7分野の対ロ輸出中断を西側の国に要請しました。
日本や欧州など西側の32カ国は直ちに応じましたが、韓国だけが色よい返事をしませんでした。対ロ封鎖網に世界最大のメモリー生産国の韓国が加わらなければ意味がありません。
そこで米国は7分野に関し、韓国の対ロ輸出を全てチェックすると宣言。それらの製品は米国の技術によって生産されているとの理屈です。輸出1件ごとに米国にお伺いをする羽目に陥った韓国は困り果てました。
国務省傘下のVoice of America(VOA)も「[ワシントン・トーク]韓国、ウクライナ事態に微温的…米国との同盟から離脱するな」(2月26日、韓国語版)で核軍縮の専門家、M・フィッツパトリック(Mark Fitzpatrick)CSISフェローの言葉を借りて韓国を以下のように罵倒しました。
・今回のロシア侵攻に対する国際的な対応の特徴の1つが米国とほとんどの同盟国がひとつの心、ひとつの意思で行動した点だ。ある1国[韓国]を除き、すべてがロシアに対し厳格な制裁を加えた。
・韓国の小心で微温的な手法は率直に言って恥ずかしいものであり、愚かである。恥というのは、韓国は過去に侵略の被害者として大々的な援助を貰ったし、それが再び起これば助けをまた受けるからだ。
・韓国の経済規模はロシアよりも大きい。それにも関わらず、じっと座りこんで多者間の措置だけをとるつもりだと言っている。
・しかし、多者的な制裁はすでに施行されている。米国のほかのすべての同盟国はその措置をとった。そのうち、一部は独自の措置をとっている。韓国も前に出て同じようにせねばならない。
米国の怒りに驚いた韓国は3月になって要求を受け入れました。が、米国は「肝心な時に裏切る韓国」に改めて気付きました。韓国には要請ではなく恫喝しかない、との思いを増したことでしょう。
■「封鎖網」でも続く小田原評定
――韓国は左派政権だった……。
鈴置:ええ、文在寅(ムン・ジェイン)政権でした。しかし、当時、保守政党の大統領候補だった尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏も「[対ロ]経済制裁により、我が国の企業が被害を受けないよう徹底的に備えよ」と語っていたのです(『韓国民主政治の自壊』第1章第1節「西洋の没落に小躍り」参照)。
文在寅政権も尹錫悦政権も同じ穴のムジナです。左派だろうが保守だろうが、韓国人には民主主義を守るために専制に立ち向かう気概はありません。
――対中半導体封鎖にも加わらない?
鈴置:小田原評定が続いています。「中国のメモリー市場ではいずれ中国メーカーに追いつかれてシェアを落とす」との見通しから「製造装置や素材分野で供給を頼る西側に属した方が得だ」との主張もあります。
その典型である韓国貿易協会の「封鎖参加論」は「半導体戦争で板挟みになる韓国 米国の圧迫と中国の嫌がらせ…頼みの綱は日本の輸出管理撤廃」で紹介した通りです。
一方、不参加論も根強い。政府系機関、対外経済政策研究院(KIEP)のキム・フンジョン院長は2月3日、「2023 経済学共同学術大会」の基調演説で「特定の国を排除すべきでない」と訴えました。
聯合ニュースの「メモリー半導体の輸出の過半が中国向け…特定国の排除ではなく多重的な協力が必要」(2月3日、韓国語版)から発言を拾います。
・昨年の韓国のメモリー輸出のうち、中国向けが51・3%を占める。この輸出代金が韓国の技術競争力を支え、源泉技術投資の際に必要な資金となっている。
・現在、論議されている地域と供給網に関する協議体は米国、豪州、日本を中心とし、中国排除の性格が極めて濃いのが特徴だ。韓国はその中の一部だけに参加している状況だ。
・韓国は米国、日本だけでなく中国、ASEAN国家とも密接な関係を結ぶ国だけに、多者主義の回復が国益として必須である。
・それゆえに韓国の対外戦略は特定国排除ではなく、多重的な協力により全ての利害当事国との協力を強化することを目標とすべきだ。
色々と理屈をこねていますが、要は「中国に逆らうな」と国民に呼びかけたのです。
■得意技の横流しで二股
――結局、韓国はどっちの道を選ぶのでしょうか。
鈴置:「選ばない」という選択をすると思います。米中双方が怖いからです。
――米国はそれを許すのでしょうか。
鈴置:許さないと思います。対ロ制裁に加わらなかった時の韓国へのビンタの激しさを考えても。
――米国にまたもやビンタされたらどうするのでしょう、韓国は。
鈴置:韓国には奥の手があります。米国の命令通りに、先端半導体の対中輸出は止める。しかし、先端半導体を製造するための装置と素材は中国の半導体メーカーに横流しする――です。こうすれば中国に「封鎖」の実害は及ばず、韓国も中国の怒りを買うこともなく「封鎖」参加に対する報復を受けなくて済みます。
韓国の横流しには実績があります。日本が対韓輸出管理強化に動くきっかけとなった事件です。韓国の貿易統計によると韓国は例年、半導体製造用のフッ化水素(HSコード2811111000)を年間4万トン強輸入していました。ほぼ日本製です。
ところが2018年には輸入量が2倍の8万3300トンに跳ね上がったのです(「岸田首相から3匹目のドジョウ狙う韓国 米中対立で日本の『輸出規制』が凶器に」参照)。
危険な国家への横流しを疑った日本政府が韓国政府に問いただしたのですが、答は一切ありませんでした。そこで2019年7月にフッ化水素など3品目の対韓輸出を1件ごとにチェックする仕組みに変更。翌8月には輸出に制限を設けないホワイト国(現・Aグループ)から韓国を外しました。
■日韓で食い違う貿易統計
当時の文在寅政権はこの措置を不当としてWTOに日本を訴えました。しかし、韓国の保守政党は核兵器の製造にも使うフッ化水素が北朝鮮に横流しされたと疑い7月12日、「統計の矛盾」を国会で追及しました(「日本に追い詰められた韓国 米国に泣きつくも「中国と手を切れ」と一喝」参照)。
ノーカット・ニュースの「政府、『韓―日フッ化水素統計の不一致…不良品を返却したとのこと』」(2019年7月12日、韓国語)によると、質問は以下です。
・韓国関税庁の統計によると、2019年1月と5月に韓国が日本に向け輸出した、半導体製造用のフッ化水素はそれぞれ30キロと3万9620キロである。
・しかるに、日本の財務省の貿易統計では今年、韓国から輸入されたフッ化水素は120キロと集計されており、大きな差を見せている。
・政府が日本の経済報復に対処すると言いつつ(日本財務省の)ホームページで容易に確認できる水準の統計資料に対しても現状を把握しないでいるのを見る時、この政府の対処がどれだけいいかげんかを如実に示した。
――韓国政府はどう答弁したのですか?
鈴置:産業通商資源部の通商交渉本部長が「関連業界に確認した結果、日本から輸入したフッ化水素に不良が確認され、日本に再び送り返したということだ」と答えました。
日韓の統計不一致に関する弁明には全くなっていないのですが、国会での追及はここ止まりだったようです。結局、その後の日韓協議で韓国政府は「今後、輸出の管理体制を強化する」と日本に約束、横流しを暗に認めたのです。
■韓国に目を光らせる米国
――そんな前科がある以上、韓国はまたやりそうですね。
鈴置:韓国には世界1位と2位のメモリー・メーカーがあり、それぞれ韓国に加え中国に大工場を持っている。対中禁輸品でも韓国本社が輸入し中国工場に回す、という手口を使えるのです。
2022年秋にも「怪しげな動き」がありました。10月7日、米政府は米国企業に対し、先端半導体の製造装置の対中輸出を禁じました。
ただ、韓国の2大メーカー―サムスン電子とSKハイニックスは1年間の適用猶予を受けました。中国工場の能力を増強中との理由です。聯合ニュースが「韓国半導体大手2社の中国工場 米が装置輸出規制強化を1年猶予」(2022年10月12日、日本語版)で報じました。
韓国は1年間ですが「風穴」を開けた。この抜け道を利用して、米国が輸出を禁じる製造装置を中国に持ちこむことが可能になったのです。
――なぜ、米政府がそんなにワキの甘いことを……。
鈴置:当時、米政府は韓国の半導体、電気自動車、バッテリーメーカーに対米投資を要請していたので、譲歩したと見られます。でも、韓国の「横流し」には目を光らせ続けています。そもそも、日本製フッ化水素の横流しが表面化したのも「米政府が発見し、日本政府を使って韓国に改善させた」と見る関係者が多いのです。
■「ホワイト国に戻す」と言い出した外務省
――ところが……。
鈴置:そうです。ところが、2023年に入って日本の外務省が「対韓輸出の管理を緩める」とリークし始めた(「半導体戦争で板挟みになる韓国 米国の圧迫と中国の嫌がらせ…頼みの綱は日本の輸出管理撤廃」参照)。こんなことをやれば、韓国に連座します。外務省の国会議員への説明は以下です。
・韓国政府は輸出の仕向け先をチェックする体制を整えた。それを受け、日本も一度は厳格化した韓国向け輸出管理を緩めようとした。
・しかるに韓国がWTOに日本を提訴したのでそのままになっている。今後、韓国が提訴を取り下げれば、日本も対韓輸出の管理を緩めるのが筋だ。
米国が韓国の横流しに疑惑を持ち、その輸出先の監視を強化する時に日本が監視を緩めるというのですから「ピンボケも極まれり」です。まず、「韓国がチェック体制を整えた」は理由になりません。韓国政府が横流しする意図があれば、制度などいくら整えても関係ないのです。
それに対韓輸出管理の強化は、横流しを防ぐのだけが目的ではありません。半導体封鎖網が典型ですが、韓国は今、米中どちらの陣営に入るか、あるいは中立を維持するか、で岐路に立っています。
安倍晋三元首相が始めた対韓輸出管理の強化――フッ化水素など半導体関連3品目の対韓輸出の1件ごとの審査と、ホワイト国からの排除――こそは、韓国の喉元に突き付けた匕首です。
これは「自称・徴用工」判決を引き金とした日韓歴史摩擦を背景に生まれましたが、今や「韓国がどんな分野であろうと米日を裏切るなら、いつでも生命線を断つぞ」と脅す、極めて強力な戦略兵器となったのです。
だからこそ、韓国は安倍元首相が亡くなったのにつけ込んで日本に対韓輸出管理の緩和を要求し始めたのです。外相時代に2度も騙せた岸田文雄氏が首相になったことも、韓国の目にはまたとないチャンスに映っているでしょう。
韓国に近い外交官や学者、記者は「韓国に譲歩しないと米国に怒られる」と言って回っていますが、現実は正反対です。「今、韓国をホワイト国に戻したら、米国に怒られる」のです。
■「対北」ではすでに日米韓スクラム
――「日米韓の軍事協力体制を強化するためにも韓国に譲歩すべきだ」と外務省関係者は唱えます。
鈴置:現実とかけ離れた机上の空論です。まず、北朝鮮向けの3国軍事協力。日本が韓国に譲歩する前に、日米韓はスクラムを組み直しました。韓国が一気に前向きになったからです。
尹錫悦政権は過去の軍人政権並みの対北強硬策を打ち出しています。北朝鮮が核・ミサイルの開発に拍車をかけているからです。政権運営の面からも、国会の過半の議席を左派に握られている中で、保守層の支持を固める必要があります。
「徴用工」問題で日本政府が謝罪したり、日本企業がカネを払わなくとも、韓国の保守政権は北朝鮮に対しては日米と歩調を合わせるほかに道はないのです。
ことに今、韓国人は台湾海峡での緊張激化が北朝鮮の対南挑発を引き起こすと懸念し始めました。「第2次朝鮮戦争」の際、韓国は日本のバックアップ無しに戦えません(「台湾有事が引き起こす第2次朝鮮戦争 米日の助けなしで韓国軍は国を守れるのか」参照)。
韓国の軍や保守系の安保専門家の間では「日本との軍事協力体制を一刻も早く固めよう」との意見が増しています。日本が北朝鮮を攻撃可能なミサイルを配備するのに反対するのではなく、日本と攻撃目標を分担する方が合理的だ、との発想です。
中央日報の「<危機の韓日関係、連続診断28> 軍事力を高める日本…韓日米安保分業構造を議論すべき」(2月8日、日本語版)で複数の識者が「積極的な日本との軍事協力」を主張しています。ちなみに、誰も「日本の謝罪を前提にしよう」とは言っていません。
■譲歩は「弱み」と見なす
一方、中国向けの3国軍事協力。日本の対韓譲歩に関係なく、韓国は消極的です。政権が保守だろうと左派であろうと、韓国の国民に中国に立ち向かう覚悟がないからです。
――「優しくすれば韓国はこちら側に来る。厳しくすれば中国側に行く」と言う人がいます。
鈴置:外務省の人がよくそう言いますが、完全な間違いです。現実は逆なのです。韓国は米中の間で「より激しくビンタをして来る国」の言うことを聞きます。ロシアのウクライナ侵攻の際でも、米国に殴られるまで本格的な対ロ制裁に動かなかったことからも明らかです。
もし、中国に立ち向かおうとしない韓国に日本が譲歩すれば、韓国は「米日側につかなくても報復されない」と考え、ますます中国側に行ってしまいます。
韓国人は相手が譲歩してくれば、それを相手の弱みと見なし、さらなる譲歩を要求します。日本人は相手が譲歩すれば、こちらも応じないとまずいと考えがちです。日本人同士なら、それもいいのでしょうが、韓国人は韓国人であって日本人ではないのです。
■涙を流した野田首相
――しかし、「韓国が保守政権のうちに関係を改善しておかないと永遠にそのチャンスを失う」と説明する人もいます。
鈴置:外務省関係者があちこちで、そう言っています。岸田首相が「韓国との関係改善待ったなし」、「早急な関係改善」としきりに言うのも、外務省の「洗脳」の結果でしょう。本当は第2次朝鮮戦争に怯える韓国こそが「待ったなし」なのですが。
野田佳彦政権は2011年10月19日、韓国との通貨スワップの枠を30億ドル相当から600億ドル相当に引き上げました。欧州金融市場の動揺を受け、韓国で通貨危機の可能性が高まったからです。
「野田スワップ」に助けられた李明博(イ・ミョンバク)政権は、ドル不足という苦境を脱した途端に掌を返し、竹島に上陸したり、天皇陛下に謝罪を要求しました。
反日により、政権末期の権力弱体化を立て直そうとしたのです。李明博政権は保守政権でした。それでもこの様です。保守だろうと左派だろうと、日本から必要なモノを得れば、韓国は堂々と食い逃げするのです。
注目すべきは、尹錫悦政権の外交チームの中心には李明博政権当時の人材が座っていることです。食い逃げに味をしめた人たちなのです。
野田佳彦元首相は李明博大統領の話に及ぶと、涙を流して悔しがる、と言います。外務省の振りつけのまま動く岸田首相もまた、涙を流すことになるのかもしれません。
鈴置高史(すずおき・たかぶみ)
韓国観察者。1954年(昭和29年)愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本経済新聞社でソウル、香港特派員、経済解説部長などを歴任。95~96年にハーバード大学国際問題研究所で研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)でジェファーソン・プログラム・フェローを務める。18年3月に退社。著書に『韓国民主政治の自壊』『米韓同盟消滅』(ともに新潮新書)、近未来小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)など。2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。
デイリー新潮編集部
コメント総数;161件
一、ホワイト国に戻すと本気で考えているようでは、信念がなく、将来をも考えていない旧来の悪い日本体質。
中国にサムソンが半導体工場を建設・生産したのを大目に見ているのは、メモリーは中国が大きな供給国であり、供給が滞れば世界の自動車生産が停滞し、今後も素材に近いメモリーは中国が生産する図式。
米国に重要なのは、次世代の製品、AI半導体などの3ナノ以下のファウンドリ生産が重要であり、この生産は中国に絶対に実行させない決定を下し、その結果が半導体規制。
今後の新製品は、アップルとNVIDIA、AMD、クアルコムなど米国顧客が生産し、この半導体委託生産はTSMCが受注する。
TSMCに追いつこうとするサムスン電子は、20年間、26兆円の投資を米国で実施すると宣言し、中国とは、一線を画した。
中国の韓国イジメは、この行動には影響してない。
日本も冷徹に韓国との競争に勝つ信念、計画が必要。
二、新しい気づきを与えてくれた為になる記事だった。先端半導体対中輸出禁輸と同時に半導体製造装置や材料の横流しをする、と言うのは確かに指摘の通りだと感じた。
ホワイト国から外したのは、まさにそんな韓国の貿易の仕組みに対する再発防止を促すためであった。それをどこかの政党の右派議員が旧朝鮮半島出身労働者問題と絡める発言をした以降、敵にその発言を悪用され続けているのである。
不正な輸出をする国をどうしてホワイト国扱い出来ようか。
経産省は強烈な抗議をしないのか、それとも外務省や政府に忖度して押し黙っているのか。
韓国から中国へ半導体製造装置や材料の横流し行為をどうやって監視するか、どうやって防止するか、大きな課題だと思う。
三、保守政権下であってももはや韓国の中国に対する朝貢政策は覆らない。
韓国に誕生する政権は、親米保守のクーデター独裁政権でもない限りは今後このスタンスを崩すことはできないだろう。
記事中の米国による韓国への指摘通り、『韓国の小心で微温的な手法は率直に言って恥ずかしいもの』であり正に『愚か』であり、『恥というのは、韓国は過去に侵略の被害者として大々的な援助を貰ったし、それが再び起これば助けをまた受けるからだ』というのも的確すぎる。
『小田原評定』で『二股』というのもその通り。
問題は、我が国の政治や経済界に親韓勢力がいて、いつも韓国をこういう場面で助け、その都度増長させてきたことだ。
今回も、親韓の宏池会内閣で、親韓・親中の外相らが中心となって政財界の親韓・親中勢力で安倍政権で絞り上げた手綱を緩めようと画策し続けている。
韓国保守政権が誕生以来殆ど文在寅政権での反日政策を覆さない中で。
******************************
転載記事が長文なので、多くは書かない。コメント欄を含めて鈴置氏の見解に格段の異論はない。
米中対立の激化に伴い、国際社会の二極化が進行している。欧米先進国(G7)を中心とする所謂西側諸国共通の価値観として「民主主義」「自由」「人権」「法治主義」などが挙げられる。然るに、日韓関係の軋轢は、「法治主義」が共有されていないからではないのか。要するに、韓国側が信義則を著しく欠いているのが主要な原因と観る。
【法治主義】-ほうちしゅぎ-
権力者の恣意を排して、国家権力の行使を法律に基づかせることを主張する、近代立憲国家の政治原理。
【信義則】-しんぎそく-
社会共同生活において、権利の行使や義務の履行は、互いに相手の信頼や期待を裏切らないように誠実に行わなければならないとする法理。信義誠実の原則。
現代社会に於いて、信義則に背く輩が人心を掴む道理など有り得ず、結局のところみんなから疎まれて仲間外れになること必定である。
コメント