日中国交正常化から50年
「友好ムードにない」岸田首相、記念行事欠席
政界屈指の親中派・林外相が出席
「一連の暴挙にケジメを」石平氏
2022.9/29 11:27配信/夕刊フジ電子版
日本と中国は29日、国交正常化から50年を迎えた。ただ、経済主導の友好関係は冷め、両国は緊張状態にある。習近平国家主席率いる中国は軍事的覇権拡大を進め、沖縄県・尖閣諸島周辺での挑発行為を常態化させている。中国軍は8月、日本の排他的経済水域(EEZ)に弾道ミサイル5発を撃ち込んできた。岸田文雄首相は記念行事への出席を見送った。
■林外相が出席
経団連や日中友好団体は29日、東京都内のホテルで記念レセプションを開く。岸田首相は当初、招待を受けて出席を調整していたが、「友好ムードにない」(政府筋)と判断したとみられる。
記念レセプションには、岸田首相と習氏が祝電を送り、「政界屈指の親中派」である林芳正外相が出席する。日本側からは福田康夫元首相、自民党の二階俊博元幹事長、中国側からは孔鉉佑駐日中国大使らが参加する予定だ。
こうしたなか、松野博一官房長官は28日、安倍晋三元首相の「国葬(国葬儀)」参列のために訪日した中国の万鋼・人民政治協商会義副主席と面会した。松野氏は「首相と習氏の間には『建設的かつ安定的な日中関係の構築』という共通認識がある。50周年を機に、その実現に向けともに努力していくことが重要だ」と述べた。
■日中関係をどう見るか。
中国事情に詳しい評論家の石平氏は「一連の暴挙に対するケジメもつけずに関係構築に走るのは、中国の行動や言い分を認めることになる。日本の国益にまったくつながらない。習氏は10月の共産党大会で『異例の3期目』を目指している。来年3月には全国人民代表大会(全人代)も控え、中国は内政の季節だ。人事の顔ぶれや外交の方向性を見極めることが先決で、日本から焦って接触を図る理由はない」と語った。
岸田首相は習主席に毅然とした姿勢を続けられるか
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台日断交50年、外交部「日本は良き友人」
関係深化に期待/台湾
2022/09/29 19:08/フォーカス台湾(中央通訊社)日本語電子版
(台北中央社)中華民国(台湾)と日本の国交断絶から50年を迎えたのを受け、外交部(外務省)の欧江安(おうこうあん)報道官は29日の定例記者会見で、台日関係の展望に関する日本メディアからの質問に対し、「日本は自由や民主主義、人権、法の支配などの基本的価値観を共有する良き友人であり、両国国民の感情の結び付きは非常に深い」と述べた。その上で「台湾と日本が互いの交流を深化し続けてこそ、インド太平洋地域の平和と安定をさらに増進できる」と関係深化に期待を寄せた。
台湾は1972年9月29日、日本と中国が国交を正常化したのを受け、日本と断交した。
欧氏は、台湾と日本が共に中国の防衛ライン「第1列島線」に位置し、両国の国防が密接につながっていることや、経済や観光の面でも関係が深いことを強調。また、地域の安全保障において、日本がこれまでに多くの重要な国際機関や国際社会の場で台湾海峡の平和と安定を維持する重要性について発言したことに感謝した。
台湾が加入を目指す環太平洋経済連携協定(TPP)に関しては、日本がバリューチェーン(価値連鎖)において互いの友好的なパートナー関係を増進できるよう期待を示した。
日本と中国の関係については「日本は自身の国益のために適切な政策決定をすると信じている」とした上で、「日本が中国との関係を改善すると同時に、地域の平和や安定、繁栄、発展に寄与することを期待している」と述べた。
(編集:名切千絵)
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日中台間の歴史的経緯を踏まえたうえで、何かと話題になる「一つの中国論」について考察してみたい。
まず、夕刊フジの〝日中国交正常化″の見出しが間違い。中国とは戦前から国交があり、一度も異常(国交断絶)だったことはない。1972年以降、「中国」を指す固有名詞が「中華民国」から「中華人民共和国」に変更されただけの話だ。
別の意味で、中央通訊社(台湾)の〝台日断交50年″という標題も誤り、なぜなら、1952年に台湾の領有権を放棄させられるまでは日本固有の領土だったわけだから、台湾人も日本人もパスポートなしで相互往来できたのだ。少なくとも、終戦直後の中華民国(中国国民党)軍による台湾不法占領までは。1948年末に国共内戦に敗れた蒋介石ら政府幹部が台湾に逃れると、事態はさらにややこしくなる。中華民国とは国交があるにも拘わらず、日本領台湾で亡命政府を樹立したからだ。GHQ占領下の我国に外交権はなく、交渉の余地すらなかったのだ。まさに火事場泥棒に遭ったと言わざるを得ない。なお、1952年の台湾放棄に際して、我国は帰属(返還)先を明示していない。要するに、実効支配していた中華民国(=中国)への返還を実質的に拒否したことになる。(←これ重要)
中国(中華人民共和国)は、「一つの中国〝原則″」と呼称し、
①中国は世界で唯一つ、中華人民共和国だけ
②台湾は中国(中華人民共和国)固有の領土
③中華人民共和国は中国を代表する唯一の合法政府
一方の米国は、「一つの中国〝政策″」を掲げ、③のみ承認しているものの、①②は中国の主張を認識するに止まり、自国の見解を示していない。現代国際社会に於いて、当の台湾を含めて③及び①を否定する国家はあるまい。事実、台湾の通信社である中央通訊社は、「中国」と「台湾(中華民国)」を明確に区別している。〝大陸反攻″を唱えていた中国国民党不法占領政権時代ならいざ知らず、台湾土着政党たる蔡英文民進党現政権は、自国が「中国」であることを明確に否定している。この時点で、「一つの中国〝原則″」はもはや破綻しているのだ。
なぜなら、「中国」を名乗る国家は、台湾を含めて地球上に存在しないからだ。台湾が「中国」であることを否定している以上、②の主張も成立しない。つまり、「一つの中国〝原則″」は、ヤクザ体質の中国共産党と中国国民党、即ち中国人による妄想に過ぎないということだ。
国民性(民度)に於いても、日本・台湾対中国で明確に区分することが出来る。日本人と台湾人が互助互譲互恵・共存共栄を旨とする利他的ゲマインシャフト(共同体)型高信頼社会を目指しているのに対し、中国人は利害関係で離合集散を繰り返す究極の利己的ゲゼルシャフト(利益体)社会に収斂されている。
【ゲマインシャフト(共同体社会)】-Gemeinschaft-
ドイツの社会学者、テンニエスが設定した社会類型の一。人間が地縁・血縁・精神的連帯などによって自然発生的に形成した集団。家族や村落など。共同社会。
【ゲゼルシャフト(利益体社会)】-Gesellschaft-
ドイツの社会学者、テンニエスが設定した社会類型の一。人間がある特定の目的や利害を達成するため作為的に形成した集団。都市や国家、会社や組合など。利益社会。
台湾は台湾であって中国ではない。-台灣是台灣,不是中國。-
こんな分かり切ったことすら理解できていないのが、中国共産党である。
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