「プーチン氏にも正義がある」論の落とし穴
断固、ロシアの侵略行為を糾弾!
国際秩序破壊、むき出しの暴力で「帝国主義」復活へ
4/7(木) 17:00配信/夕刊フジWEB版
【日本の選択】
ロシアのウクライナ侵攻以来、日本では中立で客観的、かつ冷静に思われるような議論が散見された。まるで、「けんか両成敗」を是とするような論法だ。
まずはロシアの侵攻を非難する。いわく、「確かに、ロシアによる軍事力の行使は問題である」。この後に必ず、「しかし」というかたちで言葉が続くのだ。
例えば、「しかし、ウクライナ側にも問題があった」「しかし、ウラジーミル・プーチン大統領には、プーチン氏の正義がある」…。
ロシアを一方的に指弾するだけでなく、ロシアの論理に理解を示すべきだと説き、ウクライナの過失についても確認すべきだとの議論だ。一見すると「ロシアが悪い」と非難している議論よりも、冷静で客観的な議論を展開しているように思われる。
だが、これらの議論には陥穽(かんせい=落とし穴)がある。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー政権が対露交渉を誤っていたとしても、プーチン氏なりの正義があろうとも、軍事力を行使して他国を侵略することは許されないのだ。
なぜなら、大国が恣意(しい)的に軍事力を行使し、自らの要求を貫徹しようとすることは、現在の国際秩序を根底から否定する暴挙であるからだ。日本も含め、多くの国々が国際秩序の中で守られている。われわれは国際秩序の受益者なのだ。現在の国際秩序を破壊し、むき出しの暴力が全てを決定する帝国主義の論理を復活させることは、ほとんどの国々を不幸にする。
プーチン氏にも正義があるという議論についても、真剣に考える必要がある。
私も、プーチン氏にはプーチン氏なりの正義があることを疑わない一人だ。自らの正義を確信せずに、このような暴挙に打って出ることはできないはずだ。だが、その正義は許される正義なのか。そこが重要だ。
多くの人々が「『正義』の相対主義」に陥っているように思えてならない。人にはそれぞれの正義があり、それは尊重されるべきとの思考方法だ。自分の正義を押しつけるのではなく、他者の正義にも理解を示す姿勢に好感を持つ人も多いだろう。
しかし、考えてもみてほしい。地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教の信者たちにも彼らなりの正義があった。それは、われわれには全く受け入れがたい正義だった。
国際法を無視し、国際秩序を根底から破壊する蛮行に及んだプーチン氏の論理を理解しようと試みることは重要だ。だが、プーチン氏の正義を知ることと、プーチン氏の正義に賛同し、その行為を擁護することはまったく異なることだ。
国際秩序の受益者である日本は、断固としてロシアの侵略行為を糾弾するのが正しい。「国際秩序を守る」という重要な観点を忘れてはならない。
■岩田温(いわた・あつし)
1983年、静岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、同大学院修士課程修了。大和大学准教授などを経て、現在、一般社団法人日本歴史探究会代表理事。専攻は政治哲学。著書・共著に『「リベラル」という病』(彩図社)、『偽善者の見破り方 リベラル・メディアの「おかしな議論」を斬る』(イースト・プレス)、『なぜ彼らは北朝鮮の「チュチェ思想」に従うのか』(扶桑社)など。ユーチューブで「岩田温チャンネル」を配信中。
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一、岩田教授の指摘は全くもってそのとおりだ。
当事者間に積年の争いが存在したとしても、その解決に武力を行使したことが問題なのである。
その点で言えばロシアに全面的な非難が向けられるのは、至極まっとうな話である。
一方的な侵略攻勢のロシアに対して、侵害から自国を守るという、法以前に自然的本来的に許される戦闘形態を戦うウクライナが正当性が有するのは明らかである。
ロシアがらいくら弁明をしても、戦闘の形そのものが非難されるべき戦闘の形をとる以上、非難は避けられないのである。
また世界の非難を浴びながらも、なお戦闘を継続する行為は、非難を認識しつつ敢えて反倫理的行動をとり続ける点で悪質性はさらに高まる。
二、一般的に正義を論ずるのはそれぞれの立場で変わるものだから、ある程度の時間経過を待たなければ、多くが認める正義のより正しいと思われる歴史的判断はできないものだが、今はそんなことよりもとにかく戦争を止めてもらいたい。
この戦争にロシアの正義があるとするならば自国の安全保障が脅かされることへの懸念だろうが、そんなことをいうなら北方領土を侵されている我が国日本は、あなた方ロシアにずっと安全保障を脅かされたままだ。彼の海域で獲れる海産物資源は本来日本産であるはずのものがロシア産という表記で販売されている。どうしてこう大国はどこも被害妄想を加速するものなのだろうか。
三、正義とは何かをわかってなくて使うから、話が分からなきなる。プーチンにあるのは正義ではなく自分勝手な理屈や欲望である。これが正義ならヒットラーはヨーロッパを征服して大帝国を建設するという大正義があったことになる。起きている事象をいくらでも捻じ曲げて理屈を組み立てることができる。ネットで溢れている数々の陰謀論を見ればよくわかる。困ったことにこの陰謀論は物語としては結構面白い。観念論を言いながら冷静に考えよ、はない。起きている現実を冷静に分析し判断してこそ本質が見えてくるのではないか。ロシア軍が独立国であるウクライナに侵攻して多くの建物やインフラを破壊してウクライナ国民を無差別に殺害している。これを認識しているなら、「他国に攻め入って破壊と殺戮を繰り返しているが、しかし、プーチンにも正義がある」とはまともな感性ならとても言えないと思う。
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これは、ロシアのウクライナ侵略戦争を非難する解説記事だが、見出しに躍る「帝国主義」という語が懐かしい。自分の学生時分(1965-70年)、中国(当時の呼称は「中共」)はちょうど文化大革命期で、当然我国との国交はなかった。しかし、大学の生協では、中共製の文房具類が平然と売られていたし、珍しかったので万年筆などを買ったりもした。その中共が唱えていたのが「美国(米国)帝国主義打倒!」「日帝(大日本帝国)軍国主義打倒!」であった。あれから半世紀が過ぎた今日、あれほど「帝国主義」「軍国主義」を目の敵にしていた中共自身が皮肉なことに周回遅れで猿真似しているのだから、何をか言わんやである。
ロシア(旧ソ連共産党)も中国共産党も北朝鮮労働党も、出自を糺せばもともと匪賊(現代風には「反社」)集団の成り上がりであり、まともな国家(政党)と見做すのは間違い。共産主義の仮面を被った盗賊団が国家を丸ごと乗っ取っていると観たほうが実相に近い。因みに蒋経国時代の台湾では、中国共産党を「共匪」と蔑んで殲滅すべき対象にしていたのは事実である。
【匪賊】-ひぞく-
徒党を組んで掠奪・虐殺・強姦などを専らとする盗賊集団のこと。
中共・ロシア・北朝鮮などのいわゆる〝反社国家″に囲まれた我国に於いて、長年培ってきた利他の精神は通用しないどころか却って徒となると肝に銘ずべし。更に何れも核兵器を保有しているから怖ろしい。真に〝××に刃物″なのだ。ただし、世界広しと言えども。我国に仇をなす「反日国家」は、特亜三国(中韓北)とロシアぐらいしかない。その他は概ね友好的である。つまり、この四か国の異常ぶりがよく窺い知ることが出来る。
「反日」のウラにあるのが「妬み」「嫉み」「僻み」である。下に置きたい日本が世界中の耳目を惹き付けるのが癪に障るのだ。何故人心を魅了するのか。それは他でもない、利他心溢れる〝おもてなし″が人々を感激させるのだ。利己主義に凝り固まった匪賊擬き悪党どもには、逆立ちしても理解出来まい。利己主義と利他主義の差は、容易に埋められるものではないのだ。。
【利己主義】
社会や他人のことを考えず、自分の利益や快楽だけを追求する考え方。
また、他人の迷惑を考えずわがまま勝手に振る舞うやり方。エゴイズム。
【利他主義】
利己主義に対して、他人の幸福や社会の利益を図ることを第一義とする考え方。
「世のため他人のため」「滅私奉公」は、実践の一例
【ノブレスオブリージュ】-noblesse oblige(仏国語)-
身分の高い者はそれに応じて果たさねばならぬ社会的責任と義務があるという、欧米社会における基本的な道徳観。
もとはフランスのことわざで「貴族たるもの、身分にふさわしい振る舞いをしなければならぬ」の意。
唯物的進化論には否定的な立場だが、仮に人間が進歩しているとすれば、低次元の「利己(私益)」から脱却し、「利他(公益)」に到る精神的昇華(sublimation)を成し遂げることだろう。
【追記】
半年前(2021年9月20日付)の書き込みとタイトルがダブってしまいました。それほど似た内容を繰り返しているだけなのだろう。お恥ずかしい限りである。
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