【大前研一のニュース時評】
ウイグル人権問題に反論
「お前たちだってやったくせに…」欧米の対処姿勢に従うはずがない中国
2021.7.24配信/夕刊フジWEB版
欧州議会は8日、香港や新疆ウイグル自治区での人権問題について、中国政府が状況を改善する姿勢を示さない限り、「2022年の北京冬季五輪にEU機関や加盟国の政府代表や外交官が招待に応じないように求める決議」を賛成多数で可決した。
アンゲラ・メルケル独首相の与党も加盟する中道右派や、エマニュエル・マクロン仏大統領が支持する中道派など、欧州議会の主要会派すべてが賛成票を投じた。
英国の下院も15日、同様に中国が人権状況を改善しない限り、五輪への招待を拒むよう英国政府に求める決議を採択した。
このまま欧州勢の「不参加」という流れになると、1980年のモスクワ五輪に対する西側諸国のボイコットを彷彿させる。私は五輪にこういう政争をからめるのはよくないと思っている。
だいたい、欧州の人権問題改善の主張に対して、中国が「はい、わかりました」と従うはずもない。不毛なことだ。
ま、最終的には欧州側が振り上げたこぶしを降ろすことになると思う。というのも、冬季五輪は欧州勢のお家芸だからだ。欧州の選手が出ないのだったら、日本はメダルラッシュだろう。そういう意味で、「参加しない」というオプションは、まずないと思う。
ウイグル問題については、米国の上院が14日、新疆ウイグル自治区からの輸入を全面的に禁止する「ウイグル強制労働防止法案」を可決した。
すでに米国が導入しているウイグル関連の制裁対象は、特定の中国企業や品目にとどまっていたが、この法律は同自治区全体を禁輸対象とした。輸入業者に対しても、ウイグル産の輸入品が生産過程で強制労働と無関係であることを証明するよう義務づける。
下院でも類似した措置を盛り込んだ対中法案を審議中。成立すれば、ウイグル産製品を米国に輸出する日本企業も含め、幅広い国・地域に影響が及ぶ。欧州の「参加しないかも」という脅しより、こちらの方が大きな圧力になるだろう。
この件では、中国の漢民族がイスラム系ウイグル人に綿花栽培の作業を強制労働させていることも問題視されている。中国は次のように米国に反論するのではないか。
--お前たちだってアフリカから黒人の奴隷を連れてきて、南部で綿花栽培の労働で酷使していただろ。ストウ夫人の「アンクル・トムの小屋」を読んでみろ。自分たちの歴史を忘れたのか…。今や先進国をしのぐ経済・技術大国となった中国であるが環境問題などに関しても都合のいいときには途上国だから、という言い訳をする。
もちろん、欧米諸国が過去にやっていたとしても、いけないものを「いけない」と言うことは正しい。正しいのだが、中国にしてみれば、「この野郎、お前だってやってたくせに」とホッペタの1つもたたきたいところだろう。
米国は記憶が薄いところがある。そういう点では、日本が捕鯨の問題で責められることも似ている。クジラの数が少なくなったのは、日本が獲り過ぎたのではなく、米国が19世紀に獲り過ぎたためだ。
もともと世界最大の捕鯨民族は米国だった。メルヴィルの「白鯨」を読んでみればわかる。世界中に出かけていた。1853年に米国東インド艦隊司令官長ペリーが来航して、翌年に日米和親条約が締結されることになったのも、捕鯨船の寄港地が必要だったからだ。そのおかげで日本は開国に至ったわけだが。ジョン万次郎を救ったのも捕鯨船だ。
いずれにしても、この新疆ウイグル問題については、大国の動きに目が離せない。
■ビジネス・ブレークスルー(BBTch)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。
コメント総数;69件
一、論じるにも値しない屁理屈を掲載するな
基本的人権の確立、有色人種への尊重も
まだ覚束無い前々世紀や前世紀中期の
欧米の歴史を今日の道徳で裁くな
ましてや現在のウイグルチベット迫害と
同一視するなど、それこそ言語道断だ
大前は先日の記事でもユニクロ経営者を
ヨイショするなど鼎の軽重を問われる
論理が目立つ
夕刊フジの品位をも疑われ兼ねないぞ
二、大前よ
「何だって?お前たちだってアフリカから黒人の奴隷を連れてきて
南部で綿花栽培の労働で酷使していただろ」
だから習近平はどんどんやっても良いと言うのかい?
ふざけた事を言うな、時は流れて時代も違うし遠い過去の事だ
ヨーロッパ人はそんな事を反省をし間違いに気づき現代ではこのような事はやめようと言っていることを理解できないのかい?
お前のような奴が居るから臭菌屁は全く進歩しないんだよ
かばうのもいいが相手を見てかばえ
習近平って言うこの男は地獄から来た冷酷でバカな男だ
そんな事ぐらい理解しろ!
三、大前君て、何でこうも非戦略的主張を繰り出せるんでしょうね。世界の支配者の思惑や論理を全く理解していません。
特に覇権国家や覇権を奪取したい国家の支配者は、ライバル国家を蹴落とし、覇権を維持(奪取)するためにライバル国をあらゆる手で蹴落とそうとするのであって、人権問題も五輪もその道具の一つでしかありません。中共が過去の人権問題で米国を責め立てても、それは中共にとっての武器にすぎず、同調する国家は少ないのです。逆に、米国による中共へのウイグル人権問題非難はより多数の国家が賛同していますし、声自体もはるかに大きいのです。つまり、人権問題では米国が中共に対して情報戦で勝っているのです。
そして、北京五輪ボイコットもこの情報戦の一環です。これにより習近平中共のメンツが丸潰れとなり大ダメージを与えられます。「わが国だけはボイコットせずにメダルラッシュを目指せ」との大前君の主張は、わが国を中共陣営に追い遣る「破滅的な主張」であることにまるで気付いていないことを如実に表しています。
彼の主張の逆張りをいけば正解ということです。
********************
コメント欄は、何故か発信者大前研一氏バッシング一色である。だが、何も中共(=北京冬季五輪)を擁護するために、欧米発の反中共ムーヴメントを批判しているわけではない(欧米の「過去」を批判しているのは事実)。戦後特有の現象として、何かと「反何某」が横行する。さながら「反大前研一」の様相である。接頭語「反」はアンチ(anti)の訳語と推察するが、日本以外の漢字圏(中国・台湾・香港など)では通用しない。因みに中国共産党でさえ、「抗日」「抗美(=米国)」を声高に叫ぶが、「反日」「反美」の語は用ゐていない。従い「反日」や「反米」「反中」おまけで「嫌韓」も、みんな戦後生まれの不浄日本語でしかない。
【アンチ(anti)】
名詞に付いて、反対・対抗・排斥などの意を表す接頭語。
「不浄」とは心身が穢れている状態を指す語で、我が國體(こくたい)にそぐわないからそう呼んだまでで、他意はない。
大前氏は、嘗て欧米が犯した悪行について、またぞろ中共が模倣しているのを皮肉たっぷりに揶揄しているのであって、現代の中共と欧米を比較してどちらが良いとも悪いとも論評していない。敢えて付言すれば、どっちもどっち(どちらも悪い)が言外の結論だろう。
ところで、森喜朗前東京五輪会長の女性蔑視発言(濡れ衣)といい、最近の小山田圭吾氏の経歴問題視やのぶみの絵本批判といい、集団リンチ(私刑)紛いの常軌を逸した排斥・排撃が続いている。これも不浄と断じたい。
*ご参考*
中華人民共和国ではもうオリンピックはできないね。
それ自体が五輪憲章違反だもん。
2021/07/24配信/【公式】竹田恒泰チャンネル2
竹田氏の仰る通りである。
尤も、書きたかったのは、上述の如き些末なことではない。我国を、西洋や中国より遅れた国であるかのように幻惑されてはならない、ということだ。いみじくも大前氏が、我国の捕鯨文化を擁護するために、捕鯨の歴史を例に挙げている。切り口が異なるものの、前稿で述べた私奴の持論を補強するかのような論陣であっても、中共を支持・擁護する謂いでないことは間違いあるまい。
時代を先取りして来た国家とは? 西洋列強でも戦後生まれの新興中華人民共和国でもないのですよ。誰あろう我が日本国なのである、と言わせてもらおう。そもそも、最初に人種差別(白人>有色人)撤廃を提案したのは、大日本帝国である(1919年パリ講和会議国際連盟設立準備委員会に於いて)。
・投票結果(賛成11票/反対5票、2票保有国あるため票数と国数は一致しない)
賛成・・・日本(提案国)、フランス、イタリア、ギリシャ、ユーゴスラビア、チェコスロバキア、ポルトガル、中国(中華民国)の八か国。
反対・・・アメリカ、イギリス、ブラジル、ポーランド、ルーマニアの五か国。
議長のウィルソン米国大統領が「全会一致方式」を唱えて否決したため、総会への提出を断念。米国の反対で成立しなかったことに腹を立てた米国内黒人労働者(はっきり言って「奴隷」)が、後に暴動騒ぎを起こしている。
なお、仏教的「人道(Humanitarian)」とキリスト教的「人権(human rights)」では、意味が微妙に異なる。
【人道】
人として行なうべき道。人として守るべき道。
【人権】
人間が人間として当然に持っている権利。
【権利】
1 ある物事を自分の意志によって自由に行ったり、他人に要求したりすることのできる資格・能力。⇔対義語「義務」。
2 一定の利益を自分のために主張し、また、これを享受することができる法律上の能力。⇔対義語「義務」。
「人道」が倫理道徳的であるのに対し、「人権」は契約(約束事)的である。「人道」は単一人(個人)でも成り立つが、「人権」は複数人(集団)を前提とする。単一人(一個人)だけでは〝人間の権利″が検証不可能だからだ。これだけでも、西洋近代個人主義のいかがわしさが解る。また、「人権」には、「権利」と表裏一体の「義務」がない。つまり、公共の福祉や他人の権利を守る義務など一切ない超利己主義的(我儘)な片務概念でしかない。こんな可笑しな語に幻惑される人の見識を疑う。但し、「人権」を文字通り解釈するなら、誰でも持ってる権利なればこそ他人にも自分と同等の「人権」があるわけで、一他人であっても「人権」を侵害すれば罪に帰結する。義務などなくとも、他人の「人権」を認めない限り成り立たない構造なのだ。
我が日本は、常に時代を先取りしてきた。人種差別撤廃運動に始まり、大東亜戦争での「民族自決(独立)」の大義名分然り。そして今日では、共存共栄・互助互恵型国際協調路線を主導しているのだ。それは、菅総理が言うように「対中包囲網ではない」のかもしれない。我国の先見性に目を付けた欧米が、過去の反省を踏まえてようやく追随し始めただけの話である。マフィア擬きの中国共産党など論外。二百年前の欧米列強による悪行(植民地支配・人種差別など)を今どき猿真似してるようではね。
コメント