台湾寄りで中国刺激続ける日本に「ハシゴ外し」のリスク。
アメリカの対中政策に「変化の兆し」
7/12(月) 8:10配信/ビジネスインサイダージャパン
対中政策を「民主主義対専制主義」と位置づけ、台湾の蔡英文政権を強く支援してきたアメリカのバイデン政権のスタンスを、「冷戦思考」と批判する声があがっている。
また、政権高官が「台湾独立を支持しない」と発言するなど、対中政策を見直す兆しもみえる。
中国の習近平国家主席と秋に首脳会談を目指す「地ならし」、というのが筆者の見立てだ。
■サンダース上院議員による「冷戦思考」批判
2020年の大統領選で民主党の候補指名を争ったバーニー・サンダース上院議員は6月17日、バイデン政権の対中政策を「新冷戦外交」と批判する論考を、有力外交誌に寄稿した。
同氏は「ワシントンの危険な対中新コンセンサス 新冷戦を始めてはならない」と題した文章で、米中対立を「ゼロサム(一方の得が他方の損になる)」的な経済・軍事闘争とみる「コンセンサスはきわめて危険」として、政権と議会の「冷戦思考」を批判。
さらに、バイデン大統領の「民主主義対専制主義」という「決めつけ」を、「国家間ではなくアメリカ内部の問題。民主主義が勝つつもりなら、権威主義より人々により良い生活の質を提供できることを実証するべき」と主張した。社会民主主義者らしい提言だ。
サンダース氏は中国の言動を容認しているわけではない。
「中国政府の技術窃取、労働者や報道の権利侵害、チベットや香港での抑圧や台湾への攻撃的行動、新疆ウイグルの人々に対する邪悪な政策には反対だ」と批判もする。
しかし、そうした批判は「二国間協議のなかで行うべき」で、あくまで外交交渉の場で中国に圧力をかける必要があるという。
同時に、世界が直面する課題として「気候変動、コロナ・パンデミック、核拡散、経済格差拡大、テロと腐敗それに専制」をあげ、「これらの難問は中国を含む国際協力抜きに解決できない」として、中国との協力を呼びかける。
■鳩山元首相が「米中二元論」を批判
バイデン政権へのもう1つの批判は、日本の鳩山由紀夫元首相から寄せられた。
鳩山氏はやはり6月に米誌に「米中対立と日本の戦略的役割」と題して寄稿。
サンダース氏と同じように、「民主主義対専制主義」の対立軸を「価値観外交」と批判するとともに、同盟国などに対して「アメリカか、中国か」どちらかを選べと迫る二元論を押しつけるべきではないと主張した。
また、アメリカに対する具体的な提言として、(1)「ひとつの中国」政策の堅持表明(2)台湾独立を支持する動きに反対(3)地球温暖化とコロナ対策で米中が協力、という3点をあげた。
中国に対しては、世界貿易機関(WTO)での「途上国待遇」を自発的に返上するよう求めるとともに、「戦狼外交」を止めよと注文をつけている。
鳩山氏は米中経済の「ブロック化」に危機感を示し、ハイテク通信機器の技術標準やサイバーセキュリティについて、米中両国が統一的な世界基準をつくるよう主張。
日本政府に対しては、アメリカが日本への配備を検討している中距離ミサイルについて、米ロ間で結ばれていた中距離核戦力(INF)全廃条約のアジア版を締結するよう米中に迫るとともに、尖閣諸島問題は棚上げして日中双方とも領海・接続水域に立ち入らないよう提案している。
■対中政策の変化を感じる「2人の発言」
バイデン政権は、日米首脳会談や先進7カ国(G7)首脳会議で、中国を名指し批判する共同声明を打ち出すことに成功し、「専制主義」中国に対抗して「民主主義」陣営が団結する構図を描いてきた。
その一方で、非同盟国を含む20カ国・地域(G20)外相会合や、日米豪印4カ国首脳会合(Quad、クアッド)では、対中同盟化に反対する声があるため、中国を名指しで批判するのは避けざるを得ない限界もみえている。
バイデン政権の対中政策は、二国間対話を通じ対立と協調をコントロールする本来の外交ではなく、中国との対決を同盟・友好国に呼びかける「闘争」に近いものがある。
しかも、習近平国家主席とのトップ会談と外交を重視し、「新冷戦」外交は国務長官らにまかせたトランプ前大統領とは異なり、バイデン大統領は自ら「新冷戦」思考の旗振り役を担っている。
ところが最近、バイデン政権の対中政策に「調整」を示す変化があった。
ひとつは、アジア政策を統括するカート・キャンベル米国家安全保障会議(NSC)インド太平洋調整官の、米非営利団体アジア・ソサエティ主催のシンポジウム(7月6日)における発言だ。
キャンベル氏は「中国との平和共存は可能」とした上で、台湾との関係について「強力で非公式な関係を支持しているが、独立は支持しない」と発言。歴代政権が維持してきた「ひとつの中国」政策を再確認する立場を打ち出した。
また、バイデン政権発足後初めてになる予定の米中首脳会談についても、「そう遠くないうちに何らかの関与があると期待している」と述べ、実現に向けた環境整備を進める考えを示した。
もうひとつは、米軍制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長の議会証言(6月17日)だ。
ミリー氏は「中国には現時点で(台湾を武力統一する)意図や動機はほとんどないし、理由もない」と分析。中国による台湾の武力統一が「近い将来に起きる可能性は低い」と発言した。
武力統一については、米インド太平洋軍のデービッドソン司令官(当時)が3月の公聴会で、「中国が台湾に6年以内に軍事侵攻する」可能性に言及。多くの識者やメディアがこの発言に飛びつき、「有事切迫論」を展開している。
キャンベル氏、ミリー氏ともに今回の発言を通じて、その沈静化を図ったとも受けとれる。
■アメリカの「ハシゴ外し」を警戒すべき
バイデン大統領は6月17日の記者会見で、10月末にイタリアの首都ローマで開かれるG20首脳会合の機会に、習近平国家主席との会談を行う意欲をみせた。
政権が外交政策の柱とする同盟再構築および多国間協力がほぼ一段落し、その一方で「新冷戦」外交が世界のあらゆる領域や地域でハレーションを生みだしていることも、対話開始の動きと無関係ではない。
しかし、トップ・リーダーのメンツを重視する中国が、ここまで名指しで敵視されてきたことを一切水に流して、首脳会談にすんなり応じるかどうかは微妙だ。
そこでバイデン政権は、外交と軍事の政策責任者(=キャンベル氏とミリー氏)の口を通じ、政策転換のシグナルを中国と世界に発信した、というのが筆者の読みだ。
バイデン政権は台湾問題について、日本に対し、より積極的なポジションをとるよう要求し、菅政権もそれに応じて台湾関与政策を進めてきた。例えば、台湾のコロナ感染拡大に際して、日本は2度にわたってワクチンを優先的に無償供与し、中国を刺激する結果となった。
菅政権の高官による「失言」も目立つ。麻生太郎副総理・財務相は7月5日、中国が台湾に侵攻すれば、安全保障関連法に基づき「存立危機事態」と認定し、集団的自衛権の限定的な行使もあり得ると発言している。
だが、集団的自衛権の行使は、米軍と中国軍が衝突するなどアメリカ側の関与が「絶対必要条件」だ。中国軍の台湾への侵攻や武力行使だけでは発動できない法的制約がある。
したがって、もし中台間の衝突発生だけで自衛隊が出動すれば、中国はそれを日本による「宣戦布告」とみなすだろう。当然、軍事的衝突を覚悟しなければならない。
中山泰秀防衛副大臣は6月28日、米シンクタンクのハドソン研究所の講演で、「台湾は友人ではない。我々は兄弟であり、家族だ」と発言。また、台湾を「国家」と表現して問題視された。
バイデン政権が進める対中政策「調整」のシグナルを見落としてはならない。
反中世論の高まりと比例し、台湾への情緒的共感に寄りかかって対中政策を展開すると、アメリカの「ハシゴ外し」を食らうおそれもある。
(文・岡田充)
岡田充(おかだ・たかし):共同通信客員論説委員。共同通信時代、香港、モスクワ、台北各支局長などを歴任。「21世紀中国総研」で「海峡両岸論」を連載中。
♦コメント総数;111
一、もう アメリカが後ろ盾になっても ならなくても関係ありません。
もう はっきりしていますから。
世界制覇の野望を隠そうともしなくなった中国共産党ですから。
それに どのように対処していくのか?は
日本自身が決めることです。
個人的には アメリカが もし、クワッドから抜けても
残った国々で同盟を強固にしていくべきだと思います。
アメリカも そのような方針転換するようであれば、
世界中の国々から信用を無くすだけです。
二、さすが共同通信の人だけあって中国擁護の記事となっている。
台湾が世界最先端、世界最大の半導体生産国である以上アメリカが台湾を中国に渡すことはなく、台湾に親中政権が出来る事すら許さないだろう。
親日国の台湾を香港のようにしてはならず、このような媚中記事に騙されず、台湾と尖閣はセットで日米が防衛する覚悟をしておくべきだと思う。
三、中国刺激するなって答えありきから都合良い処だけ切り抜いた記事って印象
サンダース氏や鳩山氏は今になって意見変えたわけじゃ無く昔から中国シンパで言ってる事変わってないしカート・キャンベル氏やマーク・ミリー氏の発言は別の意図の様に思える
実際行動に移す前には政府高官が武力行使否定して火消しするのがイラクの時もアフガンの時も使ってたアメリカの手法だから寧ろ嵐の前の静けさの様な本気度の方が強い感じる
個人的にはコレは政策変換のシグナルと言うより分かってるよな?と笑顔で銃突きつけてる様に見える
可能性の一つとして考慮しておく事自体は必要だと思うがアメリカと言う国は自分達の安全や利権の為なら何でもするし妥協はしないので中国がアメリカの安全や利権脅かしてる限り方向性は変わらないと思うよ、例え大統領、政権が親中派であってもね
----------------------------------------
岡田充氏の〝長い物には巻かれろ″的幼稚な論説とは、真逆のタイトルを付けたのには理由がある。TV・ラジオ・新聞雑誌などを通じ、日頃知識人ぶって偉そうに宣うマスコミ陣より、コメント者(おそらく一般庶民)のほうが、よほど現実的で正鵠を射ていると思ったからだ。
【一寸の虫にも五分の魂】
どんなに小さく弱い者でも、それ相当の思慮や意地を持っているのだから、
小さく弱い者ても、馬鹿にできない喩え。
[使用例] 通用しないとは僕の口から断定したくない。僕だって一寸の虫に五分の魂はある[武者小路実篤*真理先生|1949~50]
[解説] 「一寸」と「五分」で語調を整えたものですが、文字どおりには魂が身体の半分となり、魂の大きさを強調する表現となっています。
【長い物には巻かれろ】↔対義語「一寸の虫にも五分の魂」
自分より力の強い者や上位者には、とりあえず従っておくのが無難で得策とする喩え。
[使用例] 西洋人は強いから無理でも馬鹿げていても真似なければやり切れないのだろう。長いものには捲まかれろ、強いものには折れろ、重いものには圧おされろと、そうれろ尽しでは気が利かんではないか。気が利かんでも仕方がないと云うなら勘弁するから、あまり日本人をえらい者と思ってはいけない[夏目漱石*吾輩は猫である|1905~06]
[解説] ことわざは、ある時代の価値観にもとづいて、人々の思考や行動の規範的役割をはたすことがあります。この表現は、そうしたものの典型的な例といえるでしょう。「長いもの」というのは、漠然としていますが、権力や社会的な強者をさして使われています。この場合は、むしろそれ以上明確にしないことによって、ことわざの威力を増しているようです。「巻かれろ」は、自分の判断を放棄して、なされるがままになれということです。前時代的な大勢順応主義ですが、このことわざが今日なお根強い影響力を保っていることも否定できないでしょう。
とはいえ、こうした規範は、社会が変動すれば、おのずから見直されます。また、ことわざは、かならずしも肯定的に使う必要はなく、漱石のように否定的な文脈で引いても差し支えありません。
我国の歴史や伝統から生じた俚諺なので、どちらも一面の真理なのだろう。しかし、出来る出来ないは別として、精神的には前者を是とし、後者を否定的に捉えるのが我国古来の文化だと思っている。観点を変えれば、平世の国民性が後者とすれば、乱世のそれが前者ではないかと考える。何故なら、諸外国と違って我国の平世は、概ね悦服統治(民をして悦んで従わせる統治形態)が施されていたため、「御上に任せておけば間違いない」との安心感があったと思われる。
岡田氏の場合、現代日本の置かれた国際的立場が、平世と変わらないと見做しての論考なのだろう。平世と乱世を明確に区別する基準などないから、人様々に異なる観方があって当然だろう。だが、重度平和ボケ症のせいか危機意識がまるで伝わって来ない。少し暢気すぎはしないかと言わざるを得ない。
大袈裟に言えば、(日本が)死ぬか生きるかという瀬戸際に立たされているのである。菅総理は、「対中包囲網を作るつもりはない」と再三口にしながら、実際やってることは対中包囲網そのものである。麻生副総理、岸防衛相、中山福防衛相など、国防の要にある閣僚は、台湾有事に対する臨戦態勢が整ってることを示唆する発言を繰り返している。要するに、国防関係者は、【一寸の虫にも五分の魂】を示す覚悟が出来てるということだ。
然るに、岡田氏の場合、サンダース米上院議員とか鳩山元首相といった、中共にキンタマ抜かれたどうしようもない御仁の妄言を引き合いに出した時点で、既にアウト。微力ながらも戦おうという姿勢すら窺えない。イザという時には真っ先に逃げ出すに決まっている。但し、米国・中国とも、軍事力に怯えて覚悟を決めかねる臆病者を庇護する道理はあるまい。逃げ場はないのだ。そんな人物の御意見など、全く拝聴するに値しない。(←私奴個人の意見ですので、読者の方は御随意に。)
コメント