台湾へのワクチン提供で中国が日本に報復も
反外国制裁法適用の恐れ
2021.06.25 07:00 配信/NEWSポストセブン(週刊ポストWEB版)
6月4日、日本から無償提供されたアストラゼネカ製ワクチン124万回分が台湾に到着した。コロナ対策では「優等生」と称えられた台湾だが、5月に入り感染が急拡大するなかでワクチン確保が進まず、日本に援助を求めたという。蔡英文総統はツイッターで「言葉では言い表わせないほど感謝しています」と日本語で投稿した。
日本と台湾の親密さが示された一方、中台の緊張関係も改めて浮き彫りになった。
蔡総統は5月下旬、「台湾が独ビオンテックからワクチンを調達するのを、中国が妨害している」と非難声明を出した。台湾問題に詳しいジャーナリストの野嶋剛氏が語る。
「中国は台湾に『中国製ワクチンを使えばよい』と言っていますが、台湾は交渉過程で予想される中国からの統一工作を懸念し、応じない方針です。現に中国は、ワクチン外交により中南米のパラグアイとホンジュラスに台湾との断交・中国との国交樹立などを求める圧力をかけたとされます」
コロナ禍以前にも、中国は感染症や防疫に関して台湾に幾度となく“嫌がらせ”を続けてきた。
「WHO(世界保健機関)に非加盟の台湾は、2003年のSARS流行時に情報提供が得られず多数の死者を出しました。台湾はその後WHOへのオブザーバー参加を求めましたが、親中派として知られる馬英九・前政権時代を除き、中国からの横槍で実現していません」
助け船を出した日本にも嫌がらせはあり得るのか。中国に詳しい評論家の宮崎正弘氏は指摘する。
「6月10日に成立・即日施行された中国の『反外国制裁法』に注目です。これは外国から不当な制裁や内政干渉を受けた場合、相手国の人や企業に『入国拒否や国外追放』、『中国国内の財産凍結』、『全ての中国企業との取引禁止』などの罰則を科すというもの。今回のワクチン提供が、今後、中国国内の日本人駐在員や日系企業に『反外国制裁法』を適用する呼び水になる恐れがある」
中国外務省の報道官は日本の支援について、「ワクチン支援は救命という初心に立ち戻るべきで、政治的利益をはかる手段に成り下がってはならない」と不快感を示した。
その言葉、そっくりそのまま返したい。
※週刊ポスト2021年7月2日号
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蔡総統「改めて感謝」
日本が台湾にワクチン約100万回分追加供与
2021/06/25 18:38 配信/フォーカス台湾(中央通訊社)日本語版
(台北中央社)日本政府が新型コロナウイルスワクチン約100万回分を台湾に追加供与すると発表したのを受け、蔡英文(さいえいぶん)総統は25日夕、フェイスブックで「日本政府、日本国民の助力に改めて感謝する」とつづりし、「台日友好の深い友情を再び示した」と謝意を表明した。
茂木敏充外相は同日午前、英アストラゼネカ製ワクチン約100万回分を来月中旬以前に台湾に供与すると発表した。日本政府は4日にも、アストラゼネカ製ワクチン約124万回分を台湾に提供していた。
日本からのワクチン追加供与に、台湾内では相次いで感謝の声が上がっている。中央感染症指揮センターの陳時中(ちんじちゅう)指揮官は25日午後の記者会見で、「非常に嬉しく、非常に感謝している」と述べた。
陳指揮官は、日本政府からのタイムリーなワクチン提供によって、接種対象がさらに拡大され、接種率も高めることができるとし「改めて感謝する」と謝意を示した。陳指揮官をはじめとする指揮センターのメンバーらは「ありがとう」の日本語や日本国旗のイラストなどが入ったマスクを着用して記者会見に臨んだ。
与党・民進党はフェイスブックで「日本政府に心から感謝する」と表明。野党・国民党はツイッターで「二度のご支援に対し、心より感謝申し上げます」と日本語で投稿した。
(張茗喧、江慧珺/編集:名切千絵)
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些か旧聞に属するニュースで恐縮ながら、中国という悪道に狂奔する国家の正体が窺い知れる記事なので敢えて採り上げる。因みに、「悪道」とは「善道」に対する仏教用語。「六道」に出て来る。
【六道】-ろくどう-
仏教の輪廻思想において、衆生がその業に従って死後に赴くべき六つの世界。
地獄道、餓鬼道、畜生道、阿修羅道、人間道、天道をいい、六趣ともいう。
人・天の二道は善趣(善道)、他の四道は悪趣(悪道)とされる。
仏典では修羅(阿修羅)をあげず五道とするのが一般的であるが、日本では六道輪廻の語が定着している。
六観音、六地蔵は、観音菩薩や地蔵菩薩が六道のそれぞれに姿を現し、迷える衆生を済度するという思想を象徴したものである。
また、死者を葬るとき冥土での入用として棺内に入れる六文の銭を六道銭という。
仏教の「人間道」が一般に用ゐられる「人道」と同義なのかは知らないが、少なくとも中国政府の言行を「人道的」と捉える変人は居まい。この種のニュースで、或るコメント者が、中国人ならぬ「中共人」なる造語を発案していた。「中国人」だと国籍上は人権弾圧されるチベット人、ウィグル人、内モンゴル人、満洲人なども含むが、彼らは間違いなく「中共人」とは呼べまい。言い得て妙である。
だが、書きたかったのは、そうした仏教的比較論ではない。巷間、米中対立を〝全体主義対民主主義″、〝自由経済対統制経済″〝人権擁護対人権弾圧″といった西洋近代主義的価値観の域を出ない括りに拘泥した論調ばかりが目立つ。自分はもっと歴史や伝統に則った文化的構造に帰結するように思う。
それには恰好の指針がある。古事記に出て来る「シラス」と「ウシハク」である。我国は神代の昔から「シラス」を是とする〝和らぎの国″である。島嶼国家に若干の類例もあるが、大陸国家の圧倒的大多数は「ウシハク」的であることを、歴史が証明している。
【シラス】-治らす-
万物を共有財産とする考え方→互助互恵・共存共栄社会
破壊より創造、戦争より平和、争いより協調、統一性より多様性
有機的共同体(ゲマインシャフト)のイメージ
【ウシハク】-主履く-
万物を主(あるじ)の所有物とする考え方→独善・独裁・独占を孕む弱肉強食社会
創造より破壊、平和より戦争、協調より争い、多様性より統一性
無機的利益体(ゲゼルシャフト)のイメージ
【ゲマインシャフト】
人間が地縁・血縁・精神的絆などによって自然発生的に形成した集団。
家族や村落など。 共同社会。
都市や国家、会社や組合など。利益社会。
もちろん、両極端と言いたいわけではなく、どちらかと言えば程度の微差でしかない。もう一つ、西洋が個人主義的なのに対し、東洋は集団主義的とされる。これに異論はないが、同じ集団主義的とはいえ、深層が異なる点に留意すべきだろう。そもそも人間は、群れをなさなければ生きられない動物である。これを前提に考察すれば、西洋式個人主義には限界があることが分かる。
そこで東洋の集団主義だが、「シラス」の共有財産という考え方は、単に人間だけに留まらず、自然界全体の共有物という意味である。そこには忌み嫌われる生き物(害虫・猛獣など)も含まれる。さらに、同じ生き物でも個体差があることに着目したのが「シラス」である。当然、人間にも個人差がある。だが、各個人は失敗すれば間違いも冒す不完全な生き物に過ぎない。そこで各人の能力に応じて役割分担型社会を構築し、個々人の欠点や短所を補完し合う(=互助)集団に仕上げたのだから凄い。
ところが、「ウシハク」の集団主義は、概して上意下達的であり、排外的でもある。多様性が容認されないばかりか、個人差もほとんど無視される。而して世界の趨勢は? はっきり言って「ウシハク」から「シラス」へ、なのだ。この時流に取り残されているのが、習近平中国共産党であり、金正恩朝鮮労働党であり、文在寅韓国大統領の左巻き特亜三国と彼らにキンタマ抜かれた〝獅子身中の虫″どもである。
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