菅首相、習氏と就任後初の電話協議
国賓訪日が焦点に
9/25(金) 21:47配信/朝日新聞電子版
菅義偉首相は25日夜、中国の習近平(シーチンピン)国家主席と就任後初めての電話協議を行った。首脳間などで緊密に連携をとっていくことで一致したが、首相は沖縄・尖閣諸島周辺で相次ぐ領海侵入を念頭に、東シナ海での中国側の動きに懸念を伝えた。焦点となっている習氏の国賓訪日には触れず、調整を先送りした形となった。
日本政府の説明によると、両首脳は新型コロナウイルスの感染症対策や経済関係者の往来再開に向け協議を行うことや、北朝鮮による拉致問題への対応をめぐる連携を確認。首相は会談後、記者団の取材に「首脳間を含むハイレベルの中で2国間および地域、国際社会の諸課題について緊密に連携していこうということで一致した」と語った。
習氏は会談で「日本との関係を引き続き発展させていきたい」と語り、首相は「日中の安定は2国間だけでなく、地域、国際社会のために極めて大事だ」と応じたという。
両国間の課題についても話題に上った。中国公船の領海侵入などが問題となっている東シナ海情勢をめぐっては、首相は「懸念」を伝え、香港の国家安全維持法の制定を念頭に「今後、議論していきたい」と述べたという。
一方、4月に予定されていたがコロナ禍で延期となった習氏の国賓訪日については、首相は「特にやりとりはなかった」と記者団に説明した。
菅政権は安倍政権の路線継承を掲げており、中国との経済的つながりを重視する立場を取るとみられる。親中派として知られ、菅首相誕生を後押しした自民党の二階俊博幹事長も、習氏の早期訪日の実現に期待感を表明している。
ただ、党内の一部には訪日に強い反対論があり、25日も保守系グループの議員が岡田直樹官房副長官に取りやめを求めた。加藤勝信官房長官はこの日の記者会見でも「今、具体的な日程調整をする段階にはない」と述べるにとどめていた。
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宙に浮く「国賓来日」、対中カードに 日中首脳会談
9/25(金) 23:49配信/産経新聞電子版
菅義偉(すが・よしひで)首相は就任後10日で中国の習近平国家主席と電話会談を行った。就任のあいさつをかわす儀礼的なものだが、中国の国家主席が日本の首相に就任の祝意を伝えるのは初めてだ。
安倍晋三前首相は平成24年12月に政権に返り咲いたものの、胡錦濤国家主席(当時)との会談は実現しなかった。翌年3月に習氏が国家主席に就いた際も同様で、安倍、習両氏の接触はこの年9月が初めてだった。
安倍政権の7年9カ月で少なくとも首脳同士の交流が行える状態にはなった。一方で、安倍政権は日米豪印4カ国の安全保障協力を強化し、中国に対峙(たいじ)するネットワークも形成した。
菅首相も習氏と会談する前に米国、オーストラリア、インドの3カ国首脳との電話会談を済ませた。25日の会談では習氏に対し、「東シナ海情勢」について懸念を表明。同席した坂井学官房副長官は尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺での中国による挑発行為が念頭にあったと説明した。
ただ、首相は安倍政権内で中国との経済関係を重視する立場をとってきた。12日の自民党総裁選候補者討論会では「反中包囲網」に反対する考えも示した。
日中両国の当面の焦点は、延期となった習氏の国賓来日だ。尖閣諸島周辺での挑発行為や香港の人権問題を理由として、自民党外交部会は国賓来日の中止を要求している。首相は25日の会談後、記者団から聞かれていない国賓来日に言及して「やり取りはなかった」と説明した。
首相は国賓来日について「具体的な日程調整を行う段階ではない」と繰り返してきた。安倍政権から続く姿勢だが、国賓来日を宙に浮いたままの状態に保つことが「対中カード」になるとの見方もある。
外務省幹部は「中国にとって国賓来日は習氏が正式に了承した行事だ。中止となれば習氏の判断が間違っていたということになる」と話す。来日の可否が明確になるまでは、日本が中国の軍事行動や人権問題などを批判しても過激に反発することもないと見る。
だが、尖閣諸島周辺では中国公船の航行が連続100日を超えるなど中国の挑発はエスカレートしている。日本を射程に収める中距離ミサイルの配備も進む。儀礼的な「友好」の裏で菅政権には、中国の脅威を見据えた着実な防衛力強化が求められている。
(杉本康士、石鍋圭)
コメント総数;64
1.来なくてよろしい。習近平が副主席時代、当時の民主党幹事長の小沢一郎がゴリ押しして当時の天皇陛下との会見をねじ込んだ悪夢を思い出す。習近平の個人的な見栄、エゴに付き合う必要はない。
2.国賓待遇でも、国賓待遇でないとしても、来てほしくないし、国際会議などの実務的な訪日でもない限り、こちらから呼ぶべきではないと思います。
3.中国は敵国であり、韓国も敵国だ。どちらも軍が日本に銃口を突きつけた事実がある。そんな国に忖度するようなことがあってはならない。厳しく対応すべきで、議員に親中派がいるならスパイとして公表すべきだ。
同じニュースを立場が異なる新聞社(朝日・産経)から転載し、比較してみた。それにしても、電話会談で出てもいない「国賓来日」が、見出しに躍るとは妙な話だ。それは、両社の思惑が反映しているからだ。中国共産党の立場で「国賓来日」を実現させたい〝朝日″と、日本国内の反対勢力(保守派)に配慮した〝産経″ということになる。
面白いのは産経の〝対中カード″という表現。確かに戦狼(恫喝)外交が失敗し、米英のみならずEU(欧州連合)まで敵に回した結果、中共としては「国賓来日」をテコに、国際的孤立から脱却したいとの思惑があろうことは、想像に難くない。つまり、中共が欲しがる「国賓来日」をエサに、相手が思案に困るような尖閣問題や香港・ウイグルなどの人権問題を追及すればよい、といった塩梅。逆らえば「環境が整わない」を理由に延々と先延ばしすればよい。せっかくの〝カード″だから、先方が諦めるまでは我国が先に引っ込める(中止にする)必要はない。ことあるごとに巧く活用すれば、逆に中共を手玉にとれるという寸法。
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