昨年夏、華流時代劇『寵妃の秘密』というネット配信ドラマを採り上げた。本稿ではその続篇『寵妃の秘密2』を話題にする。韓流時代劇と同じで、『三国志』『水滸伝』などを映像化した真面目(?)な歴史劇は退屈でつまらない。逆に何の文献にも依拠しない創作妄想(?)時代劇のほうが、遙かに面白い。“史実”か否かが気にならない、つまり、端からウソと判って視られるからだ。但し”作り話”なのだから、「史実」との照合も出来ない。あまつさえ連続ドラマになっていて、折悪しく途中回を見逃すと、物語自体がチンプンカンプンになってしまう。
さて登場人物だが、初版(第一シーズン)と殆ど同じ。違うのは、後日談の形式をとっているため、主人公の片割れたる東岳国の曲寵児は、最終回にしか登場しない。世を儚んで自殺した後の物語との設定になっているからだ。
第一シーズンの妙味は、現代っ娘曲小檀と古風な曲寵児の正反対な性格対比にあった。本作では寵児が最後にしか出て来ない。ゆゑに、小檀の現代感覚丸出しの行状にある。例えば、「イケメン」「スマホ」「ファイト」「OK」など、現代語や英語が頻出する。現代語は日本語字幕の意訳かもしれないが、英語部分は北京語音声でも確かにそう言っている。
前作もそうだったが、今回は特に現代っ娘小檀が真の主人公だから、現代社会(つまり、中国共産党独裁社会)こそが理想郷であるかのように描かれるところに、莫大なる違和感がある。また、小檀を中心に物語が進行するので、飽くまで女性が視るべきドラマだ。しかし、共同体社会(ゲマインシャフト)的要素が強い日本女性から観ると、果たして曲小檀の生き方に共感できるのだろうか。究極の利益社会(ゲゼルシャフト)ならではの人生観だからだ。
『寵妃の秘密2~愛は時空を超えて~』(2019年/中国)
-DVD日本国内販売予告篇-
視聴はYouTubeにて全話可能。但し、著作権の関係からか、日本語字幕付きは二話分だけ。日本国内はサービス対象外か。
コメント