かっぱえびせんが少なくなった
事実上の“値上げ”となる各事情
9/3(火) 7:00配信/産経新聞
気づけば菓子が少なくなっていたり、牛乳の量が減っていたり…。値段は据え置き、容量やサイズを小さくする事実上の値上げ「シュリンクフレーション」が話題となっている。原材料費の高騰や消費量の低迷など、メーカー側はさまざまな理由を挙げるが、背景には何があるのか。(大渡美咲、田中徹)
ブルボンは来月17日出荷分から、人気商品「ルマンド」や「アルフォート」などの5種類のビスケット商品の内容量を変更すると発表。ルマンドは13本から12本に、アルフォートは11枚から10枚になる。同社は「原材料や燃料費、運送費の値上がりが続き、自助努力だけで対応するのは困難」としている。
カルビーも7月22日、人気菓子「かっぱえびせん」の1袋の内容量を90グラムから85グラムに減らした。「サッポロポテト」も85グラムから80グラム、「さやえんどう」も70グラムから67グラムに少なくしたという。ブルボン同様、輸送費や原材料価格の高騰が要因で、担当者は「自助努力のみでは価格維持することが極めて困難になった」と説明している。
こうしたシュリンクフレーションとみられる事例は、ほかにも相次いでいる。
ハウス食品は、レトルトカレーの「カレーマルシェ」を平成29年2月、1パックの内容量を20グラム減らして180グラムにした。商品のリニューアルに際し、電子レンジ対応の特殊なパッケージに変更した際、外箱のサイズは変えずに空気抜きの穴を設ける必要があったため、「どうしても容量を少なくせざるを得なかった」(担当者)。リニューアルで経費もかかっており、値段を据え置いたという。
明治は、28年に「おいしい牛乳」を1リットルから900ミリリットルに変えた。自社の飲用実態調査で牛乳の消費量が過去10年間で1割落ちたとする結果や1リットルを飲みきるまでの日数が延びているとする状況を勘案し、容量を減らす決断に踏み切った。
担当者は「牛乳を余ることなくおいしく飲んでいただきたいという思いがある。(価格を見直さなかったのは)キャップ式の容器とすることで利便性を高め、容器の遮光性を高めて風味を落ちにくくするなど付加価値を高めたため」と力を込めた。
こうした現状について、東京大学大学院の渡辺努教授(マクロ経済学)は、「原材料費の高騰などが要因の商品小型化の波は、以前からある」としつつ、「メーカー側も、小型化には製造工程を変えるなど費用と手間がかかる。値上げするにしても、世の中の賃金が思うように上昇せず、消費者が価格に敏感になっている社会情勢では(価格を)上げたくても上げられないのでは」と推測した。
10月には消費税が8%から10%に上がり、さらなる「加速」も懸念されるシュリンクフレーション。公式的に発表しないまま小さくなった商品もあり、インターネット上では《ステルス値上げ》《スモールチェンジ》などと批判も上がる。
消費者が変更前の商品と比較し、容量が減ったことを検証する書き込みや投稿なども相次いでいる。不二家の人気菓子「カントリーマアム」も、インターネット上で「小さくなった」と指摘され、以前の商品と現在の商品を並べた画像が話題を呼んだ。
ただ、不二家によると、カントリーマアムに関しては単純に容量を減らしているわけではないという。担当者によると、原料高騰により枚数が変わるほか、季節や地域ごとにさまざまな味を投入するなど戦略的に販売。「容量や枚数は、その都度変えている」と説明している。
■シュリンクフレーション 商品の値段が変わらないまま容量が小さくなる実質上の値上げのこと。英語で縮むという「シュリンク」と、物価が上昇する「インフレーション」を合わせた造語。容量の変更に気がつかない消費者も多く「隠れ値上げ」とも呼ばれている。
コメント総数;378
・ 企業も経費や物価が上がって値上げしなきゃいけないのは理解出来るし、値上げすると売れないから容量を減らして実質値上げするのもわかってる。
ただ「持ち易くする為」とか「容器の形状を変えたから」とか、わざとらしい取って付けた様な言い訳は見苦しいだけだし気分悪いので止めてくれ。
本記事に対して当方が言いたかったことは、上記「コメント」に凝縮されている。付言すれば、世の中全般(当然、自分を含む)に、姑息な手段で世間を欺こうとする姿勢は、世間の非難を恐れて卑屈になってる証拠。なぜ「値上げしたい」旨を正々堂々と公言できないのか。それは食品業界自体が「自信」を喪失しているからだと思う。
「自信」とは、【自らを信じる】と書く。他人(顧客)を信頼する前に、自分(企業理念)が信じられぬようではどうしようもない。だが、おそらく従業員の総意ではあるまい。上層部の独断専行に決まっている。正にこれこそ西洋エリート社会流【上意下達】万能主義の弱点である。我国の歴史的伝統的組織は、真逆の考え方で成り立っている。【上意下達】を何ら吟味することなく唯々諾々受けた従業員も「共犯者」なのだ。主君がバカ殿様なら、一命を賭して諫言するのが真の忠臣だったはず。そういう意味で、昔の大企業は余裕があったので、企業理念に反しない限り対立意見の持ち主でも採用し、無駄飯を喰わせていた時代があった。彼等こそが「御家の一大事(企業存亡の危機)」を救える唯一の人材だからに他ならない。
個々人の卑屈(正々堂々としてない)な精神が、やがてあらゆる集団(企業・国家)をも蝕む。集団力学的には、個人の意思とは無関係に暴走しかねない危うさが潜んでいる。企業・国家意思は従業員・国民の総意と見做されることに留意する必要がある。ただし、その逆は成り立たない。つまり、個人(一従業員・一国民)の意思は必ずしも企業・国家の意思とは限らない、ということ。組織イメージは個々の構成員によって地道に積み上げられるもので、一時の風評や外面(CM・広報という名のプロパガンダ)に惑わされてはいけない。
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