『第90回都市対抗野球大会の出場に対する応援およびご支援のお願い』と題するハガキが来た。旧社のスポーツはまるでダメだったが、合併後急に強くなったみたい。それとも、他企業が弱くなったのかな。現役末期には、野球部某投手と同じ職場であった。ひと昔以上過去の話だから、もう現役ではないだろう。社会学者テーニエンスに依ると、会社組織はゲゼルシャフト(利益体)なのだとか。しかし、それほど単純明解ではないと思う。「野球の応援」では、全社挙げて一丸となれるのだ。ゲマインシャフト(共同体)的要素も皆無ではないのである。
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懐メロといえば、初訪台(1980年)時に聴いた台湾歌謡も忘れられない。「台湾歌謡」と言っても、台湾語で唄われる伝統的演歌調曲ではなく、日本の昭和40年代前半に酷似する「台湾ポップス」と言ったほうがわかりやすいかもしれない。恋愛歌ばかりの日本流行歌に飽きてた時期だけに、華字文化圏とはいえ日本的情緒も窺えて、妙に懐かく思えた。
欧陽菲菲やテレサ・テン(鄧麗君)ら台湾出身歌手が既に日本で活躍していたが、「中華民国」としての台湾は日中国交樹立(1972年)以降、国際的孤立が深刻であった。ゆゑに、殊更愛国心が叫ばれた時代でもある。蒋介石の息子蒋経国総統の統治期にあたる。蒋経国の評価には表裏があって、中華民国台湾化(民主化)先駆者が正とすれば、諜報機関の黒幕が負の評価である。民主化に関して、側近だった李登輝次代総統(1988-2000)の出現により開花したわけだが、その基礎は蒋経国が作ったといっても過言ではなかろう。
知らなかったけど、台湾が国際的に孤立したのは、未だに「中華民国」を名乗っていることにあるらしい。つまり【CHINA】の正統政府を大陸(中共)と争って敗れたにも拘わらず、その主張(大陸も我が領土)を引きずっているのが問題なのだとか。「独立」と言っても、現在実効支配していて宗主国も存在せず、”大陸反攻”さえ棄てれば何の障害もなく即刻独立可能という。中国共産党が「台湾独立」を認めないのは、独立されたら”両岸(中台)統一”の根拠を失うからに他ならない。統一モデル香港の実態が暴かれつつあり、且つ民進党政権の今こそチャンスと傍目には思うが、当事者(台湾人)にしてみれば、それほど簡単ではないのだろうなあ。
話題が逸れた。前言と矛盾するが、台湾でイの一番に思い出すのが下記音楽帯(カセットテープ)である。
『台湾旅行-歌のアルバム-第一集』
エコーがかかっているけど、オリジナルのままで加工したわけではない。台湾語と日本語訳詞で唄われている。公用語は北京官話と呼ばれる北京語なれど、庶民の日常会話は台湾語であった。同い年のお茶屋を営む知人が台北に住んでいて、夫婦同士は台湾語なのに、小学五年生だった一人娘とは面白いことに北京語で会話していた。もう四十年近く昔の話である。
1990年代以降、台湾は急速な経済発展を遂げ、それと引き換えに中国でも日本でもないこうした台湾情緒が失われていったのも事実である。グローバリズムの時流に押し流されて地方色が薄れているのは、何も我が国だけに限ったことではないのだ。
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